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15.現れる悪意
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「これは……」
結界を張るための部屋まで来た私は、その中の光景に驚いていた。
昔はここにたくさんの魔法使いがいたはずなのだが、今は数名しかいない。明かな人員不足が見て取れる。
「……ラムーナ様?」
「……どうしてこちらに?」
私とレムバル様に気付いた魔法使い達は、疲れた声でそのようなことを言ってきた。
やはり、彼女達はかなり無理をしているようだ。いや、そうせざるを得ない状況に陥っているということだろうか。
「皆さん、ラムーナさんは結界を張りに来てくれたのです」
「結界を?」
「なるほど、そういうことですか……」
レムバル様の言葉に、周りの魔法使い達は納得したような顔をしていた。
それはつまり、彼女達は自らが張った結界が不完全であるということを理解していたということだろう。
しかし、どうすることもできなかったのだ。この人数であるならば、それも仕方ないように思える。
「今まで、なんとか穴を埋め合ってやってきたのですが……ロメリア様によって、王城内にいる魔法使いがどんどん減っていて……」
「……ロメリア様は、まだ横暴な態度を続けているのですね」
「情けない話ですが、こんな状況になっても彼女は変わっていません。危機感が足りないというか、そもそも理解できていないのか……」
レムバル様は、苦しそうな顔をしていた。
まったく反省していない妹に対して、色々と思う所があるのだろう。
もしもロメリア様が自分を見つめ直すことができていたなら、レムバル様も別の決断をしたかもしれない。彼の顔を見て、私はそのようなことを思っていた。
「……皆さん、すみませんでした。私が辞めたせいで迷惑をかけてしまって」
「ラムーナ様を責めようと思う人はいませんよ」
「ええ、この現状を生み出したのが誰であるかは明白ですから……」
「私達も、色々と事情がなければここから出て行きたいと思っています」
私の謝罪に対して、魔法使い達はそのように言ってくれた。
もちろん、この現状を生み出したのがロメリア様であるということは明白だ。
ただ、それでも私を恨む気持ちはあったかもしれない。それをおくびにも出さない彼女達は、優しい人達といえるだろう。
「……ここで何をしているのかしら?」
「……え?」
次の瞬間聞こえてきた声に、その場の雰囲気は一気に変わった。
その声を忘れたことはない。何度も聞いた忌々しい声である。どうやら私が、王城に来たことを聞きつけたらしい。
「ロメリア様……」
「あなたは、聖女補佐を退職したはずでしょう? ここにいるのはおかしいじゃない。さっさと出て行きなさい」
ロメリア様は、その表情を歪めて私にそう言ってきた。
憎悪に満ちたその表情に、私は少し怯んでしまう。なんというか、彼女の雰囲気が以前までとは異なっている。
元々わがままで自己中心的な性格ではあった。しかし、ここまで覇気があっただろうか。私は少しだけ違和感を覚えていた。
「……ロメリア、彼女は僕が招いたんだ」
「お兄様が?」
「ああ、王族の名の元に王城に入れた。それだけのことだ」
そんなロメリア様に対して、レムバル様は堂々と言い返した。
その言葉に、彼女はさらに表情を歪める。反論されたことに、かなり怒っているようだ。
「お兄様に、そのような権利があると思っているのですか? ここは私の城ですよ?」
「ロメリア……」
「私の意思にそぐわぬ意見をするというなら、例えお兄様であっても容赦しません。王城から摘まみ出しますよ?」
「……」
ロメリア様は、レムバル様をかなり見下しているようだった。
実の兄に対してそのような態度であるというのは、恐ろしいものである。彼女は本当に、かなり増長してしまっているらしい。
もちろん、彼女が元々そういう性格であることはわかっていた。だがやはり私は違和感を覚えていた。彼女は私が出て行く以前と以後では、何かが変わっているような気がするのだ。
「……まさか」
そこで私は思い至った。彼女は恐らく、邪悪なる者の影響を受けているのだ。結界が弱まった今なら、その可能性は大いにある。
もしもそうだとしたら、それは非常にまずい事態だ。既に王都にそれらの存在が潜んでいるなら、私がやるべきことも色々と変わってくるかもしれない。
結界を張るための部屋まで来た私は、その中の光景に驚いていた。
昔はここにたくさんの魔法使いがいたはずなのだが、今は数名しかいない。明かな人員不足が見て取れる。
「……ラムーナ様?」
「……どうしてこちらに?」
私とレムバル様に気付いた魔法使い達は、疲れた声でそのようなことを言ってきた。
やはり、彼女達はかなり無理をしているようだ。いや、そうせざるを得ない状況に陥っているということだろうか。
「皆さん、ラムーナさんは結界を張りに来てくれたのです」
「結界を?」
「なるほど、そういうことですか……」
レムバル様の言葉に、周りの魔法使い達は納得したような顔をしていた。
それはつまり、彼女達は自らが張った結界が不完全であるということを理解していたということだろう。
しかし、どうすることもできなかったのだ。この人数であるならば、それも仕方ないように思える。
「今まで、なんとか穴を埋め合ってやってきたのですが……ロメリア様によって、王城内にいる魔法使いがどんどん減っていて……」
「……ロメリア様は、まだ横暴な態度を続けているのですね」
「情けない話ですが、こんな状況になっても彼女は変わっていません。危機感が足りないというか、そもそも理解できていないのか……」
レムバル様は、苦しそうな顔をしていた。
まったく反省していない妹に対して、色々と思う所があるのだろう。
もしもロメリア様が自分を見つめ直すことができていたなら、レムバル様も別の決断をしたかもしれない。彼の顔を見て、私はそのようなことを思っていた。
「……皆さん、すみませんでした。私が辞めたせいで迷惑をかけてしまって」
「ラムーナ様を責めようと思う人はいませんよ」
「ええ、この現状を生み出したのが誰であるかは明白ですから……」
「私達も、色々と事情がなければここから出て行きたいと思っています」
私の謝罪に対して、魔法使い達はそのように言ってくれた。
もちろん、この現状を生み出したのがロメリア様であるということは明白だ。
ただ、それでも私を恨む気持ちはあったかもしれない。それをおくびにも出さない彼女達は、優しい人達といえるだろう。
「……ここで何をしているのかしら?」
「……え?」
次の瞬間聞こえてきた声に、その場の雰囲気は一気に変わった。
その声を忘れたことはない。何度も聞いた忌々しい声である。どうやら私が、王城に来たことを聞きつけたらしい。
「ロメリア様……」
「あなたは、聖女補佐を退職したはずでしょう? ここにいるのはおかしいじゃない。さっさと出て行きなさい」
ロメリア様は、その表情を歪めて私にそう言ってきた。
憎悪に満ちたその表情に、私は少し怯んでしまう。なんというか、彼女の雰囲気が以前までとは異なっている。
元々わがままで自己中心的な性格ではあった。しかし、ここまで覇気があっただろうか。私は少しだけ違和感を覚えていた。
「……ロメリア、彼女は僕が招いたんだ」
「お兄様が?」
「ああ、王族の名の元に王城に入れた。それだけのことだ」
そんなロメリア様に対して、レムバル様は堂々と言い返した。
その言葉に、彼女はさらに表情を歪める。反論されたことに、かなり怒っているようだ。
「お兄様に、そのような権利があると思っているのですか? ここは私の城ですよ?」
「ロメリア……」
「私の意思にそぐわぬ意見をするというなら、例えお兄様であっても容赦しません。王城から摘まみ出しますよ?」
「……」
ロメリア様は、レムバル様をかなり見下しているようだった。
実の兄に対してそのような態度であるというのは、恐ろしいものである。彼女は本当に、かなり増長してしまっているらしい。
もちろん、彼女が元々そういう性格であることはわかっていた。だがやはり私は違和感を覚えていた。彼女は私が出て行く以前と以後では、何かが変わっているような気がするのだ。
「……まさか」
そこで私は思い至った。彼女は恐らく、邪悪なる者の影響を受けているのだ。結界が弱まった今なら、その可能性は大いにある。
もしもそうだとしたら、それは非常にまずい事態だ。既に王都にそれらの存在が潜んでいるなら、私がやるべきことも色々と変わってくるかもしれない。
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