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18.国王の乱心
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「父上、ご無事ですか?」
「……レムバルか」
私とレムバル様は、国王様の私室に来ていた。
ロメリア様に取りついた悪魔はここにやって来て、国王様に飛び掛かったらしい。
当然、兵士達は悪魔と止めたり国王様を守ったりしたそうだ。しかし相手がロメリア様に取りついているため、ほとんど手出しができず手をこまねいているというのが現状のようである。
「私のことはいい。それよりもロメリアのことを頼む……あの化け物は、私の愛娘を食い物にしようとしている」
「父上……」
「あの化け物は許さない……捕まえて八つ裂きにしてやる」
国王様の言葉に対して、レムバル様は複雑な表情を浮かべていた。
その顔からは、呆れと悲しみのような感情が読み取れる。恐らくこんな時まで娘に対する偏愛を語る父に対して、色々と思う所があるのだろう。
「近頃ロメリアの様子がおかしかったのも、あいつが原因に違いない。考えてみればおかしかったのだ。王城の魔法使い達などをクビにしろなど、優しく寛大なあの子が言うようなことではなかった」
「……」
「ロメリアは昔から優しく穏やかな子だった。そうだろう?」
国王様の語るロメリア様は、実際の彼女とはかけ離れたものだった。
それはつまり、彼女は父親の前では本性を隠していたということなのだろう。もしかしたら彼女は、媚を売ることによって自分のわがままを押し通せるとわかっていたのかもしれない。
「父上……お言葉ですが、ロメリアが今までしてきた横暴は全て彼女の意思によるものです。あの悪魔の影響ではありません」
「……そんなはずはないだろう」
「ラムーナさん、そうですよね?」
「ええ、あの悪魔がこの王都に入って来られたのは私が張った結界の効力がなくなってから。つまりは私が辞めてしばらくしてからということになります」
「何かの間違いだ。そもそも、お主が張った結界が不完全だったのではないか?」
私の言葉に対して、国王様は表情を歪めていた。
その怒りに満ち溢れた顔を、私は哀れに感じていた。こうやって面を向かって話すことによって、私は理解したのだ。国王様は、現実を受け入れられていないのだと。
「父上、ラムーナさんを侮辱するなどあってはならないことです。それがわからないのですか? わからない程に、父上は落ちぶれてしまったのですか?」
「そもそもの話、お主が聖女に決まったことが全ての過ちだった。元々ロメリアを聖女に据えるという話にしていれば、あの子も変に嫉妬を拗らせなかっただろうに……」
「父上、何を言っているのですか?」
国王様は、ゆっくりと言葉を吐き出していた。
恐らく今の彼には誰の声も聞こえていないだろう。自分の世界に籠って、空想の世界に浸っているだけだ。
「……レムバル、今の父上に何を言っても無駄だ」
「……兄上?」
そこで私とレムバル様は、部屋に入って来た一人の男性に注目することになった。
その人物は、この国の第一王子であるルドベルド様だ。 どうやら、彼も騒ぎを聞きつけてここに来たらしい。
ルドベルト様は、その鋭い目で父親を見つめている。その視線にも色々な感情が込められているのだろう。怒っているのか悲しんでいるのか、判断がつかないような視線だ。
ただその視線には、決意のようなものが籠っている気がする。その決意があまり明るいものではないような気がして、私は少しだけ不安を覚えるのだった。
「……レムバルか」
私とレムバル様は、国王様の私室に来ていた。
ロメリア様に取りついた悪魔はここにやって来て、国王様に飛び掛かったらしい。
当然、兵士達は悪魔と止めたり国王様を守ったりしたそうだ。しかし相手がロメリア様に取りついているため、ほとんど手出しができず手をこまねいているというのが現状のようである。
「私のことはいい。それよりもロメリアのことを頼む……あの化け物は、私の愛娘を食い物にしようとしている」
「父上……」
「あの化け物は許さない……捕まえて八つ裂きにしてやる」
国王様の言葉に対して、レムバル様は複雑な表情を浮かべていた。
その顔からは、呆れと悲しみのような感情が読み取れる。恐らくこんな時まで娘に対する偏愛を語る父に対して、色々と思う所があるのだろう。
「近頃ロメリアの様子がおかしかったのも、あいつが原因に違いない。考えてみればおかしかったのだ。王城の魔法使い達などをクビにしろなど、優しく寛大なあの子が言うようなことではなかった」
「……」
「ロメリアは昔から優しく穏やかな子だった。そうだろう?」
国王様の語るロメリア様は、実際の彼女とはかけ離れたものだった。
それはつまり、彼女は父親の前では本性を隠していたということなのだろう。もしかしたら彼女は、媚を売ることによって自分のわがままを押し通せるとわかっていたのかもしれない。
「父上……お言葉ですが、ロメリアが今までしてきた横暴は全て彼女の意思によるものです。あの悪魔の影響ではありません」
「……そんなはずはないだろう」
「ラムーナさん、そうですよね?」
「ええ、あの悪魔がこの王都に入って来られたのは私が張った結界の効力がなくなってから。つまりは私が辞めてしばらくしてからということになります」
「何かの間違いだ。そもそも、お主が張った結界が不完全だったのではないか?」
私の言葉に対して、国王様は表情を歪めていた。
その怒りに満ち溢れた顔を、私は哀れに感じていた。こうやって面を向かって話すことによって、私は理解したのだ。国王様は、現実を受け入れられていないのだと。
「父上、ラムーナさんを侮辱するなどあってはならないことです。それがわからないのですか? わからない程に、父上は落ちぶれてしまったのですか?」
「そもそもの話、お主が聖女に決まったことが全ての過ちだった。元々ロメリアを聖女に据えるという話にしていれば、あの子も変に嫉妬を拗らせなかっただろうに……」
「父上、何を言っているのですか?」
国王様は、ゆっくりと言葉を吐き出していた。
恐らく今の彼には誰の声も聞こえていないだろう。自分の世界に籠って、空想の世界に浸っているだけだ。
「……レムバル、今の父上に何を言っても無駄だ」
「……兄上?」
そこで私とレムバル様は、部屋に入って来た一人の男性に注目することになった。
その人物は、この国の第一王子であるルドベルド様だ。 どうやら、彼も騒ぎを聞きつけてここに来たらしい。
ルドベルト様は、その鋭い目で父親を見つめている。その視線にも色々な感情が込められているのだろう。怒っているのか悲しんでいるのか、判断がつかないような視線だ。
ただその視線には、決意のようなものが籠っている気がする。その決意があまり明るいものではないような気がして、私は少しだけ不安を覚えるのだった。
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