お前なんか娘じゃないと追い出しておいて、才能があるから戻って来いと言われましても

木山楽斗

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6.町で見かけた一団

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「一度乗りかかった船である以上、最後までやり遂げるつもりです」

 寮への道中、クルード様はそのように言ってきた。
 今回の件に関して色々と思う所はあるものの――しかもそれは私に対する不満などではないのだが、ともあれ彼の目は決意に満ちていた。
 なんとも立派というか、優しいものだ。クルード様には、正しく貴族としての器があるといえる。

「しかし、父上のことは少し心配ですね。ラウファス伯爵と話をすると言っていましたが、果たして上手くいくものか……」
「それに関しては、難しいと思います。お父様が聞く耳を持つ方だったなら、私はそもそも追放なんてされなかったでしょうしね……」
「……そうですか」

 ゴートン侯爵は、ラウファス伯爵を説得するつもりであるようだ。
 だがそれは、無理な話である。幼少期の頃はまともだったのかもしれないが、今のあの人は己の欲望のためだけに生きている悪徳貴族だ。真っ当な貴族であるゴートン侯爵の意見に耳を貸すはずがない。

「……あなたにこう言ったことを言っていいのかはわかりませんが、俺としてはラウファス伯爵と父上がかつては仲が良かったということが信じられません」
「それは幼少期の頃の話ですからね。あのお父様にもきっと純粋な時代があったということでしょう。しかしそれは捻じ曲がったのです。立派だったお祖父様の背中を見ていたはずなのに……」
「不可解といえば不可解なことですね」
「まあ、それを言ったら私の弟と妹も、あんな父親の元でまともに育っていますからね……親の意思を受け継ぐことばかりではないということでしょう」

 ラウファス伯爵は、先代の立派な背中を見てああなった。それはもう、本人の問題なのかもしれない。
 母の方は、どうだろうか。そちらの祖父母とはあまり認識がないが、まともとは言い難いような気がする。娘や孫のことも、結構放っておいている訳だし、少なくとも親子間において良好な関係ではないだろう。

「そうですね……よく考えてみれば、俺も同じだ。父上のように善人ではありません」
「まあ、それに関してはどうなのか、という所ではありますけれど……あら?」
「どうかされましたか?」

 そこで私は、足を止めることになった。
 寮に向かう道中、大通りには大勢の人がいた。その中でなんというか、怪しい者達を見かけたのだ。
 それはなんというか、雰囲気的なことであった。ただ私には、その一団が何かを企てているとしか思えなかった。そんな匂いがしたのだ。

「クルード様、役所に一旦戻りましょう」
「それはどうして?」
「今すれ違った者達は、何か問題を起こすような気がしてなりません。それは報告するべきことだといえるでしょう」
「……なるほど、わかりました」

 私の曖昧な言葉に、クルード様はゆっくりと頷いてくれた。
 彼は控えていた護衛に腕で合図を送る。それは私が指摘した一団を追いかけろということだろう。護衛はその指示に従って歩き始めた。私達も町長に事態を伝えに戻るとしよう。
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