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7.迅速な報告の成果
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カルタジャでの暮らしは、平穏に始まらなかった。
バルザール町長と話して寮に戻ろうとする最中に見つけた怪しい一団、それはどうやら最近各地を荒らしている盗賊団の一味だったらしい。
「奴らがこのカルタジャに足を踏み入れているとは思っていませんでした……しかしよくわかりましたね? アゼリアさん、あなたには嗅覚があるようだ」
「そのようですね。正直な所、自分でも驚いています」
私はなんとも感覚的に、その一団を怪しいと思った。
それは何故かと聞かれても、答えようがない。ただその人達のことが気になって、嫌な予感がしたのである。
「迅速な報告のお陰で、こちらもすぐに行動を開始できました。ただ寮に戻れなかったことに関しては、申し訳ありませんでしたね」
「いえ、そもそも報告したのは私ですから、できることをやるのは当たり前のことです」
報告に戻ってから、役所では色々と対応するべきことが浮かび上がってきた。
その結果私とクルード様も含めた職員達は、役所で一夜を過ごすことになったのである。
自己紹介もままならぬ間に、私は書類仕事などをすることになった。現在はとりあえず、交代で休憩中だ。
「しかし、盗賊団の討伐となると、色々と大変ですね……」
「まあ、その辺りに関してはやるしかないことですからね。幸いにも、クルード様がこちらに来てくださっていた。お陰でことをかなり迅速に対応ができます」
「そのクルード様は……?」
「フェリトン公爵家の者を受け入れる準備をしています。盗賊団の討伐に、王家に連なる家として主となっている家がここまで早く来てくれるのは、全てクルード様がいたからでしょう」
フェリトン公爵家のことは、当然私も知っている。ゴートン侯爵家と隣接する領地を持つ貴族で、現国王の弟君が当主を務めている家だ。
彼の家の領地にて例の盗賊団が悪事を働いたこともあって、その撲滅に精を出していると聞いている。今回の件にも、協力してくれるそうだ。
「……」
「アゼリアさん、どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません」
フェリトン公爵家の方々とは、一応面識がある。あちらがこちらのことを覚えているかはわからないが、もし覚えられていたら少々面倒なことが起こるかもしれない。
とはいえ、バルザールさんは察しているだろうし、それ程問題にはならないものだろうか。いやそもそも、私がフェリトン公爵家の誰かと対面するなんてことはないかもしれないし。
「……さてと、私もそろそろ休憩が終わりです」
「申し訳ありませんね。こき使ってしまって……」
「バルザールさん、その点については気になさらず。それから、あなたはよく休んでください。職員の誰よりも働いていたのですから」
とりあえず私は、今回の件の対応に戻ることにした。
フェリトン公爵家のことは、なるようにしかならないだろう。そんなことは気にせず、やるべきことをやるとしよう。
バルザール町長と話して寮に戻ろうとする最中に見つけた怪しい一団、それはどうやら最近各地を荒らしている盗賊団の一味だったらしい。
「奴らがこのカルタジャに足を踏み入れているとは思っていませんでした……しかしよくわかりましたね? アゼリアさん、あなたには嗅覚があるようだ」
「そのようですね。正直な所、自分でも驚いています」
私はなんとも感覚的に、その一団を怪しいと思った。
それは何故かと聞かれても、答えようがない。ただその人達のことが気になって、嫌な予感がしたのである。
「迅速な報告のお陰で、こちらもすぐに行動を開始できました。ただ寮に戻れなかったことに関しては、申し訳ありませんでしたね」
「いえ、そもそも報告したのは私ですから、できることをやるのは当たり前のことです」
報告に戻ってから、役所では色々と対応するべきことが浮かび上がってきた。
その結果私とクルード様も含めた職員達は、役所で一夜を過ごすことになったのである。
自己紹介もままならぬ間に、私は書類仕事などをすることになった。現在はとりあえず、交代で休憩中だ。
「しかし、盗賊団の討伐となると、色々と大変ですね……」
「まあ、その辺りに関してはやるしかないことですからね。幸いにも、クルード様がこちらに来てくださっていた。お陰でことをかなり迅速に対応ができます」
「そのクルード様は……?」
「フェリトン公爵家の者を受け入れる準備をしています。盗賊団の討伐に、王家に連なる家として主となっている家がここまで早く来てくれるのは、全てクルード様がいたからでしょう」
フェリトン公爵家のことは、当然私も知っている。ゴートン侯爵家と隣接する領地を持つ貴族で、現国王の弟君が当主を務めている家だ。
彼の家の領地にて例の盗賊団が悪事を働いたこともあって、その撲滅に精を出していると聞いている。今回の件にも、協力してくれるそうだ。
「……」
「アゼリアさん、どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません」
フェリトン公爵家の方々とは、一応面識がある。あちらがこちらのことを覚えているかはわからないが、もし覚えられていたら少々面倒なことが起こるかもしれない。
とはいえ、バルザールさんは察しているだろうし、それ程問題にはならないものだろうか。いやそもそも、私がフェリトン公爵家の誰かと対面するなんてことはないかもしれないし。
「……さてと、私もそろそろ休憩が終わりです」
「申し訳ありませんね。こき使ってしまって……」
「バルザールさん、その点については気になさらず。それから、あなたはよく休んでください。職員の誰よりも働いていたのですから」
とりあえず私は、今回の件の対応に戻ることにした。
フェリトン公爵家のことは、なるようにしかならないだろう。そんなことは気にせず、やるべきことをやるとしよう。
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