お前なんか娘じゃないと追い出しておいて、才能があるから戻って来いと言われましても

木山楽斗

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8.公爵令息との対面

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 フェリトン公爵家の次男ヒューバート様は、私の姿を見て目を丸めていた。
 それはほぼ確実に、ラウファス伯爵家の娘がこんな所にいることを驚いているのだろう。
 それに私は、苦笑いを浮かべる。なんとか顔を合わせまいとしていたが、こうして合わせてしまったのが運の尽きといった所だろうか。

「ヒューバート公爵令息、どうかされましたか?」
「クルード侯爵令息、彼女は……」
「おやおや、公爵家の令息ともあろう方が、一目惚れなどしゃれになりませんよ。彼女はこの町で暮らす平民です。身分の差というものがありますから」
「いや、そういうことでは……ありませんが、確かに麗しい女性だとは思いましたね」

 クルード様の言葉に、初めは色々と言いたそうだったヒューバート様だったが、彼はそれをやめた。
 恐らくクルード様の言葉で、ある程度の状況を理解したからだろう。訳ありということで、気を利かせてくれているようだ。
 それは私にとっては、ありがたいことである。そもそも今は、私の身の丈話なんてしている場合ではないし。

「ヒューバート公爵令息、彼女が例の盗賊団を見つけ出してくれたのです」
「そうなのですか? それはなんともお手柄でしたね……」
「ああいえ、それはなんというか偶然で……感覚的に怪しいと思ったといいますか……」
「ほう? それは大変興味深いものですね。事件が解決した後、詳しく聞かせていただきたい。何せあの盗賊団の撲滅は、フェリトン公爵家の悲願ですから」

 ヒューバート様は、本当に興味深そうに目を細めていた。
 そういう表情をされてしまうと、私の方も考えなければならない。感覚的なことを言語化できるようにしておかなければ、何も伝えられずに終わってしまう。

「ともあれ、とにかく今はこの町に蔓延る盗賊団を撲滅せねば……」
「そのことに関してですが、私の護衛についていた者達が拠点を既に見つけています。こちらの彼女が怪しんだ者達の尾行をしていたものですから」
「それは朗報だ。しかし迅速な行動が肝心です。奴らの動きは活発ですから、その拠点とやらもいつ離れるかわからない」
「町長が戦える者を集めてくれました。既に大方の準備は整っていると思います」
「先陣はこちらの部隊が切ります。そちらは逃げる盗賊を狙っていただきたい。生死は問いません。もちろん生け捕りできるならその方が良いですが……」

 クルード様とヒューバート様は、既に作戦について話し始めていた。
 私というきっかけのせいで、こんな廊下で話が始まってしまったのは少々申し訳ない。
 しかしそういうことなら、町長を呼びに行かなければならないだろう。今回の討伐には、町の協力が必要不可欠なのだから。
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