お前なんか娘じゃないと追い出しておいて、才能があるから戻って来いと言われましても

木山楽斗

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13.伯爵家の現状を聞いて

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「レネシア、久し振りね……まずは顔を見せてくれないかしら?」
「あ、は、はい……」

 私のことを後ろから抱きしめていたレネシアは、ゆっくりとその体を離した。
 私は身を翻して彼女の方を向き、屈んで視線を合わせる。妹の表情は、明るいものではなかった。

「どうかしたのかしら? 元気がないように見えるけれど……」
「その……」
「大丈夫よ、落ち着いて。ゆっくりと呼吸して、話してくれれば良いのだから」
「わ、私は知りませんでした。お姉様が、今まであれ程の重圧を受けながら、過ごしていただなんて……」
「それは……」

 レネシアの言葉からは、ある事実が推測できた。
 それは私にとって、予想していなかったものだ。実子ならば、愛するあの男との子供ならば、そのようなことはあり得ないと思っていた。

 事実として、あの両親の残虐さが私以外に向いたことはなかった。真っ当とは言えないものの、それでも両親は弟と妹を自身の子供としていたはずだ。
 ただそれはもしかしたら、私というわかりやすい発散先がいたからだけだったのかもしれない。唖然としていた。私は履き違えていたのだ。大きな過ちを犯してしまった。

「ごめんなさい、レネシア。あなたには辛い思いをさせてしまったようね……」
「いいえ、お姉様が受けてきた苦痛に比べれば、こんなものは……いえ、私はそれで逃げ出そうとしていたのですが……」
「会えて良かったわ。あなたのことをもう離しはしない……」

 私はレネシアをそっと抱きしめた。
 ルオードとレネシアをラウファス伯爵家に置いていくなんてことは、もうやめにしよう。あんな場所に二人を留まらせていい訳がない。
 両親がごねるというなら、外国などにまで逃げてやる。あの二人から逃れられない限り、私達に幸せなど訪れないことがよくわかった。

「お姉様、お父様とお母様はお姉様のことを連れ戻そうとしています……」
「……なんですって?」

 私が決意を固めていると、レネシアが驚くべきことを言ってきた。
 あの両親が私を連れ戻す。そのようなことがあるというのだろうか。純真な妹がこの場において嘘をつくと思えないが、何か勘違いしているのではないかと、私は思ってしまった。

「お姉様の活躍は、ラウファス伯爵家の耳に入ってきました。高い評価を受けた才能あるお姉様を、お父様とお母様は自分達のために引き戻そうとしています……」
「……なるほど、あの二人の考えそうなことではあるわね」
「お姉様に戻っていただけるなら、私は嬉しいと思います。でも、こんな所に戻って来てもらうなんてひどいことを私は……もう何が正しいことなのかわかりません」
「心配はいらないわ、レネシア」

 私は、クルード様の方に視線を向けた。
 すると彼は、ゆっくりと頷いてくれる。私が何を考えているのか、理解してくれているということだろう。
 それなら後は、行動を開始するだけだ。あの両親という巨悪を打ち倒し、ルオードとレネシアの幸せを掴み取るとしよう。
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