旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?

木山楽斗

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5.激しい怒り

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「今回の件に対して、私は憤りを感じている」
「……僕も、流石にこれはどうかと思っているよ。だけど、クルメア、落ち着いて」

 私は、ベルージュ侯爵家を訪問していた。
 離婚した件について、ファナト様とクルメア様から手紙が届いたからだ。
 二人とも、ウルガド様の仕打ちには怒ってくれている。それは手紙の文面からも、伝わってきたことだ。

 身重なクルメア様を気遣って、私から訪ねることにして良かったと改めて思う。
 もしもそうしていなかったら、ただでさえ怒っている彼女に、さらなるストレスを与えていた所だ。

「ウルガドが馬鹿な奴であるということは、私も薄々わかっていた。しかしまさか、ここまでとは」
「クルメア様、落ち着いてください。私は大丈夫ですから」
「わかっている。しかし私は、君のことを妹のように思っていた。そんな君が侮辱された。それがどうしようもなく、腹が立つんだ」

 クルメア様は、いつもとは違った砕けた言葉遣いでそう言ってきた。
 恐らくこれが、元来の彼女なのだろう。それはなんとなく、わかっていたことである。
 なぜなら私も、クルメア様のことは姉のように思っていたからだ。彼女も同じ気持ちで、嬉しいのだが、あまり興奮させてはならないので、冷静を心掛ける。

「だからといって、クルメアは安静にしておかないと……」
「君も君だ。まさか、まだあの男を擁護するようなことを言うのか?」
「そんなことは言わないよ。僕もウルガドには呆れている。流石にもう友達ではいられないかな……そもそもウルガドが僕のことを友達だと思ってくれていたかは、わからないけれど」

 ファナト様は、少し悲しそうに呟いていた。
 それは本当に友達だと思っていなければ、出せない表情だろう。

「いつも甘い君も、今回は流石に堪忍袋の緒が切れたか」
「僕にだって許容できる限度があるからね……」
「ふふ、なんだか怖いな。君は怒ると人一倍怖い」
「そんなことはないと思うけれど」

 クルメア様の言う通り、ファナト様は多分怒ると怖いタイプだ。
 今も笑顔を浮かべているのだが、その笑顔には圧がある。多分、相当怒っているのだろう。

「さてと……リメリアさん、僕達――これはベルージュ侯爵家ということですが、実の所リメリアさんにある話を持ち掛けたいと思っているのです」
「ある話、ですか?」
「ええ、せっかく来てもらったので、本人に会ってもらうのが早いですかね。少し場所を移動しましょうか」
「あ、はい」

 そこでファナト様は、話を切り替えた。
 その話の内容に、私は眉を顰める。一体ベルージュ侯爵家は、何を考えているのだろうか。
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