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6.侯爵家の汚点
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私は、ベルージュ侯爵家の離れに来ていた。
その離れの一室には、一人の男性がいる。その男性は、やって来た私達を見て、読んでいた本を閉じた。
「兄上、お邪魔します。リメリアさんを連れて来ました」
「……そうか」
ファナト様の呼びかけに、男性はゆっくりと立ち上がった。
それから彼は、ゆっくりと私の方に近寄ってきた。背の高い端正な顔立ちの男性は、私に視線を向けて来る。
「あなたが、例のヴォンドラ伯爵夫人か。いや、既に元伯爵夫人か」
「……あなたは、バルハルド様ですね」
「俺のことを知っていたか。まあ、知らぬはずもないことではあるが……」
私の言葉に、バルハルド様は目を瞑った。
何か思う所があるのだろう。その表情は、少し暗い。
彼のことを、私は知っている。こうして顔を合わせるのは初めてではあるが、ベルージュ侯爵家のバルハルド様は、それなりに有名だ。
「しかし念のため、改めて自己紹介するとしよう。俺の名はバルハルド……ベルージュ侯爵家の汚点だ」
「兄上、そのような言い方は……」
「妾の子である俺が汚点であるということは、紛れもない事実だ。否定した所で、どうにかなることでもない」
バルハルド様は、ファナト様に対して呆れたような笑みを浮かべていた。
しかし心なしか嬉しそうだ。弟が自分を汚点ではないと思っていることが、嬉しいのだろうか。
それらの会話から考えると、兄弟の仲は少なくとも良さそうだ。デリケートな話だと今まで聞いたことはなかったが、それはいらぬ気遣いだったのかもしれない。
「お義兄様は相変わらずですね」
「クルメアか。お前の方も変わっていないらしいな」
「ふふ、ええ変わっていませんとも。人間ちょっとやそっとでは変わりませんからね」
一方で、クルメア様との関係は微妙な所だろうか。
二人の間には、なんというか刺々しい空気が流れている。
とはいえ、険悪なようには見えない。これはこれで、仲が良いと考えても良いのだろうか。
「えっと、それでリメリアさん、あなたに持ち掛けたい話というのは……」
「バルハルド様との婚約……ですか?」
「ええ、その通りです」
ここに来た時から、薄々察していたことではあるが、やはりこれは婚約の話であるようだ。
それは恐らく、ファナト様やクルメア様が働きかけてくれたことだろう。わざわざこのような話を出す意味も薄いと思うし、多分そうだ。
ベルージュ侯爵家との繋がりができることは、正直とてもありがたい。ルヴァーリ伯爵家にとっても、それは利益になるだろう。
ただ問題は、目の前にいるバルハルド様が不服そうな顔をしていることだ。
もしかしたら、彼の方はこの婚約に乗り気ではないのだろうか。
その離れの一室には、一人の男性がいる。その男性は、やって来た私達を見て、読んでいた本を閉じた。
「兄上、お邪魔します。リメリアさんを連れて来ました」
「……そうか」
ファナト様の呼びかけに、男性はゆっくりと立ち上がった。
それから彼は、ゆっくりと私の方に近寄ってきた。背の高い端正な顔立ちの男性は、私に視線を向けて来る。
「あなたが、例のヴォンドラ伯爵夫人か。いや、既に元伯爵夫人か」
「……あなたは、バルハルド様ですね」
「俺のことを知っていたか。まあ、知らぬはずもないことではあるが……」
私の言葉に、バルハルド様は目を瞑った。
何か思う所があるのだろう。その表情は、少し暗い。
彼のことを、私は知っている。こうして顔を合わせるのは初めてではあるが、ベルージュ侯爵家のバルハルド様は、それなりに有名だ。
「しかし念のため、改めて自己紹介するとしよう。俺の名はバルハルド……ベルージュ侯爵家の汚点だ」
「兄上、そのような言い方は……」
「妾の子である俺が汚点であるということは、紛れもない事実だ。否定した所で、どうにかなることでもない」
バルハルド様は、ファナト様に対して呆れたような笑みを浮かべていた。
しかし心なしか嬉しそうだ。弟が自分を汚点ではないと思っていることが、嬉しいのだろうか。
それらの会話から考えると、兄弟の仲は少なくとも良さそうだ。デリケートな話だと今まで聞いたことはなかったが、それはいらぬ気遣いだったのかもしれない。
「お義兄様は相変わらずですね」
「クルメアか。お前の方も変わっていないらしいな」
「ふふ、ええ変わっていませんとも。人間ちょっとやそっとでは変わりませんからね」
一方で、クルメア様との関係は微妙な所だろうか。
二人の間には、なんというか刺々しい空気が流れている。
とはいえ、険悪なようには見えない。これはこれで、仲が良いと考えても良いのだろうか。
「えっと、それでリメリアさん、あなたに持ち掛けたい話というのは……」
「バルハルド様との婚約……ですか?」
「ええ、その通りです」
ここに来た時から、薄々察していたことではあるが、やはりこれは婚約の話であるようだ。
それは恐らく、ファナト様やクルメア様が働きかけてくれたことだろう。わざわざこのような話を出す意味も薄いと思うし、多分そうだ。
ベルージュ侯爵家との繋がりができることは、正直とてもありがたい。ルヴァーリ伯爵家にとっても、それは利益になるだろう。
ただ問題は、目の前にいるバルハルド様が不服そうな顔をしていることだ。
もしかしたら、彼の方はこの婚約に乗り気ではないのだろうか。
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