村八分にしておいて、私が公爵令嬢だったからと手の平を返すなんて許せません。

木山楽斗

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1.冷たい村

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 母が亡くなったことで、私の立場は益々悪くなった。
 元々、父親がわからない子供ということで母とともに村八分にされていた私は、村の人から爪はじきにされている。

「本当にどこの馬の骨の子なんだか……」
「あんな子にうろつかれたら、溜まったもんじゃないよ」

 アルカルド公爵家の領地の村、フルトアは田舎ののどかな村として知られている。
 ここを訪れた人達は、皆口を揃えて言う。ここの人達は、温かい人達ばかりだと。
 しかしながら、それは村の一面でしかない。この村の人達の本性は、もっと陰鬱なものなのだ。

「おい、エルーシャ。お前、こんな所で何をしているんだよ?」
「……」
「何無視しているんだよ! ロルガー様が話しかけているんだぞ?」
「……私に何か用?」

 フルトアの人々は、都会から私を連れて帰ってきた母のことを決して受け入れなかった。
 村を出て行き、都会で誰かとの間に子供を作った。そんな母のことを、この村の人達は皆軽蔑していたのだ。
 その結果、私も村の人達から私も迫害されることになった。ここにいる人達は、私や母を虐げる残酷な人達なのである。

「どこに行くかって聞いているんだよ。質問にも答えられないのか? やっぱり馬鹿なんだなあ、父親がわからない子ってやつは……」
「狩りに行くから、そこを退いてもらえないかな?」
「狩りだって、お前みたいな間抜けがそんなことできるのかよ?」

 目の前にいるロルガーとその取り巻きのゴルディンは、この村の中でも威張り散らしている二人だ。
 ロルガーは村長の孫で権力を持っている。ゴルディンはその取り巻きだ。この村に、二人に逆らえる子供はいない。

「できるかどうか、見せてあげようか?」
「あん? なんだと?」
「こうやって、弓に矢をセットして……」
「な、なんだよ」
「射るんだよ」
「うおっ……!」

 ただ、私だけは例外である。この二人に、逆らうことができるのだ。
 なぜなら私は、既に村中が嫌われている。今更、村長の孫をどうこうしたって、何も変わらないのだ。

「な、何をするんだよ!」
「こ、こんなことをしたらどうなるか……」
「私は、あなた達みたいに暇じゃないんだよ。邪魔をしないでもらえないかな?」
「うっ……」
「この、お祖父ちゃんに言ってやるからな!」

 ごちゃごちゃと言っている二人の間を、私は強引に抜けていく。
 こんな腐った村の中で、私は今日も生きている。そのためには、強くあらなければならない。誰にも頼らず、一人で生きていける強さを身につけなければならないのだ。
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