村八分にしておいて、私が公爵令嬢だったからと手の平を返すなんて許せません。

木山楽斗

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4.出ない力

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 村の人達奪われて、食事を取ることができないということは時々ある。
 そういう時の夜は、とても苦しい。空腹で力が出ず、睡眠をとることも難しいのだ。
 そんな夜をなんとか越えた私は、今日も山に出掛けることにした。今日こそ食料を得なければならないからだ。

「エルーシャ、お前畑を荒らしたんだってな?」
「……」
「お祖父ちゃんが言っていたぜ?」
「……そこを退いてくれないかな?」

 その山に出掛ける道中、私はまたロルガーとゴルディンに絡まれていた。
 昨日のように退けたい所なのだが、今の私にはそれ程の元気がなかった。空腹によって、体に力が入らないのだ。
 なんとか力を振り絞ることはできると思う。しかし、それは狩りのために取っておかなければならない体力だ。ここで使う訳にはいかないのである。

「はっ! 昨日までの勢いがないじゃないか!」
「あっ……」
「なっ、お、おい、どうしたんだよ?」

 ロルガーに肩を押されて、私はゆっくりとその場に尻餅をついた。
 そうなるとは思っていなかったのか、やった本人ですら驚いている。だが彼は、すぐに笑みを浮かべた。

「そういえばさぁ、今日の朝も、ラディソンさんの畑が荒らされていたみたいだぜ? それもお前がやったんだろう?」
「私じゃない……」
「本当かよ」

 どうやら村では、また畑が荒らされるという事件が起こっているらしい。
 恐らく、それは本当に動物の仕業であるだろう。前の犯行が成功して、味を占めたといった所だろうか。

「おい、あれを見ろ。エルーシャだぜ?」
「なんだよ。尻餅なんてついちまって……」

 気が付くと私の周りには、村の人達が集まっていた。
 周りの人達は、力なく地面に座っている私に対して、下卑た笑みを向けてくる。

「いつもは威勢がいい癖に、今日は何かあったのか?」
「はっ! 調子が悪いってことか。ああ、もしかしてラディソンさんの畑を徹夜して荒らしていたんじゃないのか?」
「本当にどうしようもない奴だな。お前は……」

 周りに集まった人達の視線は、いつにも増して嫌なものだった。
 無実の罪を着せられているからだろうか、なんというかとても気分が悪い。
 早くこの場からは、立ち去った方がいい気がする。しかし体には、中々力が入らない。やっぱり昨日ほとんど食べていないことが響いているようだ。

「なぁ、今の内に……うん?」
「な、なんだ、あれは……」

 私が項垂れていると、周囲に集まった人達が騒ぎ始めた。
 辺りを見渡してみると、一台の馬車がこちらに向かってきているのが見える。どうやら、誰かがこの村に来たようだ。
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