村八分にしておいて、私が公爵令嬢だったからと手の平を返すなんて許せません。

木山楽斗

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13.お風呂から上がって

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「お風呂、すごく気持ちよかったです」
「そうか。それなら何よりだ」

 お風呂というものは、驚くべきものだった。
 温かいお湯は、川の水とは違っていて、なんだかとても癒された。よくわからないが、温かいと安心できるのだ。
 石鹸などの道具もすごかった。そのいい匂いはまだ残っているし、今はすごくいい気分だ。

「川で水浴びするのと、全然違うんですね?」
「……悪いが、俺にはそれはわからない。川で水浴びをしたことがないからな」
「あ、そうなんですか? でも、そうですよね。貴族のアルディス様は、ずっとお風呂に入っていますよね……」

 アルディス様に質問した後、私はまた少し恥ずかしくなった。
 恐らく、私にとって当たり前の水浴びは、アルディス様などにとっては珍しいことなのだろう。
 それが理解できない無知さが、嫌になってくる。あの村から出て、私は本当にやっていけるのだろうか。なんだか少し心配になってきた。

「別に恥じるようなことではない。人間にはそれぞれ生活というものがある。俺とお前の生活が違うというだけだ」
「でも、私の生活はここの人達とも違います」
「それも同じだ。人間の生活などというものは、住んでいる地域によって異なるものだ。お前はこれから、新しい地での生活を学べばいい」
「新しい地での生活……」

 そこで私は、あることが気になった。
 私はこの後、一体どこに行くのだろうか。それはまだ、聞いていないことだった。

「あの、村に一旦帰った後、私はどうなるんですか?」
「うん? ああ、その辺りについてはまだ考えている所だ。いくつか案はあるが、決定するにはまだ判断材料がかけている」
「判断材料?」
「いや、それはお前が知らなくてもいいことだ」
「そ、そうですか……」

 私の質問に、アルディス様は曖昧な答えを返してきた。
 よくわからないが、私の扱いはかなり難しいらしい。こんなどこの馬の骨ともわからない女の行き先は、やはり簡単に決められないのだろうか。
 それなら、私を知ってもらった方がいいかもしれない。何ができるかとかは、きっと判断材料になるはずだ。

「あの、私は狩りの腕にはそれなりに自信がありますよ?」
「む? そうなのか……」
「そ、それから山菜の知識もあります」
「なるほど……」

 私のアピールに対して、アルディス様は端的な答えしか返してくれなかった。
 ただ、彼は何か考えるような仕草をしている。やはり、この情報は私の行き先を決めるにあたって重要なものだったのだろうか。
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