村八分にしておいて、私が公爵令嬢だったからと手の平を返すなんて許せません。

木山楽斗

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19.武器を持って

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「……よかった。行きそうですね」
「ああ、作物で満足したのだろう……どうやら食事は、事前に行っていたようだしな」
「それは、考えたくないことですね……」

 私達の目の前で、熊は踵を返していた。
 動物の考えなのでわからないが、どうやら一度山に戻るつもりであるらしい。
 そのことに、私達は安心する。あの熊と戦わずに済むなら、それが何よりだからだ。

「……くそっ、熊め!」
「……何?」
「あ、あれは……」

 しかしそこで、ロルガーが動いた。
 彼は、手に金属製の筒のようなものを持っている。あれは確か銃だ。村長が、何かの記念に貰ったものである。
 銃の威力は、かなりのものであると聞く。あれなら、あの熊も仕留められるかもしれない。

「食らえ!」
「グルルッ……」
「あっ……」

 ロルガーは、勢い良く銃を撃った。
 しかし、熊は彼の方向を向いただけで微動だにしていない。
 それは当たり前のことだ。彼の放った銃は、恐らく熊に当たっていない。撃つ瞬間にどう考えてもぶれていたし、あれでは無理だ。

「あっ、あっ……」
「グルアッ……」

 熊は、ロルガーと目を合わせて動かない。
 それは恐らく、先程した大きな音に警戒しているからだろう。
 だが、それもいつまで持つだろうか。きっと長くはない。すっかり怯えたロルガーは、既に銃を手放してしまっているし、きっと熊は危険などなかったと思うことだろう。

「アルディス様、熊を狙えますか?」
「……大まかになら当てることはできるだろう。しかし、例えば足を狙えて言われても難しいだろうな。俺の矢にそこまでの精度はない」
「わかりました。それならとにかく当ててください。私は目を狙います」
「わかった」

 そこで私達は、家の陰から出て同時に矢を放った。
 その二つの矢は、真っ直ぐに熊へと向かっていく。色々と心配していたが、アルディス様も中々の腕前だ。確かに熊の体を捉えている。

「グオオ!」

 二つの矢が命中した熊は、大きく吠えた。
 特に私の矢が目に無事に当たったのは、大きかったかもしれない。熊は、大きく唸っている。
 だが、あれでも致命傷にはならないのだろう。そこで私は駆けだした。ロルガーの隣に落ちている銃を拾うためだ。

「お、お前はエルーシャ?」
「話は後。これって、まだ使えるの?」
「あ、ああ……この弾を入れれば、まだ使えるが……」
「ここでいいんですね?」

 私は、ロルガーの傍で銃に弾を入れた。
 それを私は、熊に対して構える。その心臓辺りに狙いを定めて、銃から弾を放つ。
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