22 / 24
22.謝罪の一つも
しおりを挟む
「あれは……」
「む……」
馬車が止めてある場所まで歩いてきた私とアルディス様は、その前に人だかりができているのを見つけた。
それを見て、私達は顔を見合わせる。そこにいる人達が、何を言ってくるのか。それを考えると、なんというか少し億劫だった。
いいことを言われても、悪いことを言われてもすっきりしない。それは既に、わかっていることだった。故にそこに行くのを躊躇してしまう。
「……お前はここで待っていろ」
「アルディス様……」
「俺が話をつけてくる」
「……いいえ、私も行きます。多分、皆納得しないですから」
「大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫です。私は大丈夫です」
私は自分に言い聞かせながら、アルディス様の手を強く握った。
すると彼は、それに応えてくれる。それが合図だった。私達はゆっくりと歩き始める。
「ア、アルディス様、それに……エルーシャ、様」
「お、お帰りになられるのですか?」
「……そのつもりだ。そこを退いてもらおうか」
私達の来訪に、村の人達は少し怯えていた。
ここで待ち構えていた彼らにとっても、私と対面するのはそれ程気持ちがいいことではないということだろうか。
しかしそれは当然のことかもしれない。今まで迫害してきた少女が、まさか公爵家の人間だったなんて、彼らも思っていなかっただろうし。
「ど、どうかお待ちください。今回の事件で、村は甚大な被害を受けました。多くの畑が荒らされて、多くの人が命を落としたのです。故に支援を、どうか支援をお願いします」
「ほう……」
群衆の中から出てきたのは、ロルガーと村長だった。
二人は、私達に向かって頭を下げる。しかしそれを見たアルディス様は、呆れたような顔をしていた。
「な、何か気に入らないことでもあるのでしょうか?」
「もちろん、今回の被害に対して何かしらの支援が必要であるということは俺も理解している。市民を助けるのが貴族の義務だ。お前達の言葉を否定するつもりはない」
「そ、それなら何を?」
「俺が気に入らないのは、お前達の態度だ。お前達がエルーシャに何をしたのか、俺は知っている。それなのに、お前達が最初に言ってくるのは支援の申し出なのか?」
「そ、それは……」
アルディス様は、とても不快そうに村の人達を見ていた。
それを見ながら、私は少し泣きそうになっていた。アルディス様の心遣いが、伝わってきたからである。
村の人達は、私を見ても謝罪の一つもしなかった。自分達が今までやってきたことへの反省が、彼らにはまるでないのだ。
今までのことなどまるでなかったかのように手の平を返して、私にただ遜る。この村の人達は、そんなひどい対応をしてきたのである。
私の心の中には、ふつふつと怒りの気持ちが沸き上がってきていた。本当に、この人達はどれだけ身勝手なのだろうか。私の怒りは、一気に溢れ出そうとしていた。
「む……」
馬車が止めてある場所まで歩いてきた私とアルディス様は、その前に人だかりができているのを見つけた。
それを見て、私達は顔を見合わせる。そこにいる人達が、何を言ってくるのか。それを考えると、なんというか少し億劫だった。
いいことを言われても、悪いことを言われてもすっきりしない。それは既に、わかっていることだった。故にそこに行くのを躊躇してしまう。
「……お前はここで待っていろ」
「アルディス様……」
「俺が話をつけてくる」
「……いいえ、私も行きます。多分、皆納得しないですから」
「大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫です。私は大丈夫です」
私は自分に言い聞かせながら、アルディス様の手を強く握った。
すると彼は、それに応えてくれる。それが合図だった。私達はゆっくりと歩き始める。
「ア、アルディス様、それに……エルーシャ、様」
「お、お帰りになられるのですか?」
「……そのつもりだ。そこを退いてもらおうか」
私達の来訪に、村の人達は少し怯えていた。
ここで待ち構えていた彼らにとっても、私と対面するのはそれ程気持ちがいいことではないということだろうか。
しかしそれは当然のことかもしれない。今まで迫害してきた少女が、まさか公爵家の人間だったなんて、彼らも思っていなかっただろうし。
「ど、どうかお待ちください。今回の事件で、村は甚大な被害を受けました。多くの畑が荒らされて、多くの人が命を落としたのです。故に支援を、どうか支援をお願いします」
「ほう……」
群衆の中から出てきたのは、ロルガーと村長だった。
二人は、私達に向かって頭を下げる。しかしそれを見たアルディス様は、呆れたような顔をしていた。
「な、何か気に入らないことでもあるのでしょうか?」
「もちろん、今回の被害に対して何かしらの支援が必要であるということは俺も理解している。市民を助けるのが貴族の義務だ。お前達の言葉を否定するつもりはない」
「そ、それなら何を?」
「俺が気に入らないのは、お前達の態度だ。お前達がエルーシャに何をしたのか、俺は知っている。それなのに、お前達が最初に言ってくるのは支援の申し出なのか?」
「そ、それは……」
アルディス様は、とても不快そうに村の人達を見ていた。
それを見ながら、私は少し泣きそうになっていた。アルディス様の心遣いが、伝わってきたからである。
村の人達は、私を見ても謝罪の一つもしなかった。自分達が今までやってきたことへの反省が、彼らにはまるでないのだ。
今までのことなどまるでなかったかのように手の平を返して、私にただ遜る。この村の人達は、そんなひどい対応をしてきたのである。
私の心の中には、ふつふつと怒りの気持ちが沸き上がってきていた。本当に、この人達はどれだけ身勝手なのだろうか。私の怒りは、一気に溢れ出そうとしていた。
45
あなたにおすすめの小説
聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。
三月べに
恋愛
聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。
帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!
衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?
何故、逆ハーが出来上がったの?
聖女だけど婚約破棄されたので、「ざまぁリスト」片手に隣国へ行きます
もちもちのごはん
恋愛
セレフィア王国の伯爵令嬢クラリスは、王太子との婚約を突然破棄され、社交界の嘲笑の的に。だが彼女は静かに微笑む――「ざまぁリスト、更新完了」。実は聖女の血を引くクラリスは、隣国の第二王子ユリウスに見出され、溺愛と共に新たな人生を歩み始める。
義妹がいつの間にか婚約者に躾けられていた件について抗議させてください
Ruhuna
ファンタジー
義妹の印象
・我儘
・自己中心
・人のものを盗る
・楽観的
・・・・だったはず。
気付いたら義妹は人が変わったように大人しくなっていました。
義妹のことに関して抗議したいことがあります。義妹の婚約者殿。
*大公殿下に結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい、の最後に登場したアマリリスのお話になります。
この作品だけでも楽しめますが、ぜひ前作もお読みいただければ嬉しいです。
4/22 完結予定
〜attention〜
*誤字脱字は気をつけておりますが、見落としがある場合もあります。どうか寛大なお心でお読み下さい
*話の矛盾点など多々あると思います。ゆるふわ設定ですのでご了承ください
【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?
鏑木 うりこ
恋愛
父親が一緒だと言う一つ違いの妹は姉の物を何でも欲しがる。とうとう婚約者のアレクシス殿下まで欲しいと言い出た。もうここには居たくない姉のユーティアは指輪を一つだけ持って家を捨てる事を決める。
「なあ、お嬢さん、指輪はあんたを選んだのかい?」
庭師のシューの言葉に頷くと、庭師はにやりと笑ってユーティアの手を取った。
少し前に書いていたものです。ゆるーく見ていただけると助かります(*‘ω‘ *)
HOT&人気入りありがとうございます!(*ノωノ)<ウオオオオオオ嬉しいいいいい!
色々立て込んでいるため、感想への返信が遅くなっております、申し訳ございません。でも全部ありがたく読ませていただいております!元気でます~!('ω')完結まで頑張るぞーおー!
★おかげさまで完結致しました!そしてたくさんいただいた感想にやっとお返事が出来ました!本当に本当にありがとうございます、元気で最後まで書けたのは皆さまのお陰です!嬉し~~~~~!
これからも恋愛ジャンルもポチポチと書いて行きたいと思います。また趣味趣向に合うものがありましたら、お読みいただけるととっても嬉しいです!わーいわーい!
【完結】をつけて、完結表記にさせてもらいました!やり遂げた~(*‘ω‘ *)
離婚したいけれど、政略結婚だから子供を残して実家に戻らないといけない。子供を手放さないようにするなら、どんな手段があるのでしょうか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
カーゾン侯爵令嬢のアルフィンは、多くのライバル王女公女を押し退けて、大陸一の貴公子コーンウォリス公爵キャスバルの正室となった。だがそれはキャスバルが身分の低い賢女と愛し合うための偽装結婚だった。アルフィンは離婚を決意するが、子供を残して出ていく気にはならなかった。キャスバルと賢女への嫌がらせに、子供を連れって逃げるつもりだった。だが偽装結婚には隠された理由があったのだ。
【完結】兄様が果てしなくアレなのですけど、伯爵家の将来は大丈夫でしょうか?
まりぃべる
恋愛
サンクレバドラー伯爵家は、果てしなくアレな兄と、私レフィア、それから大変可愛らしくて聡明な妹がおります。
果てしなくアレな兄は、最近家で見かけないのです。
お母様は心配されてますよ。
遊び歩いている兄様…伯爵家は大丈夫なのでしょうか?
☆この作品での世界観です。現実と違う場合もありますが、それをお考えいただきましてお読み下さると嬉しいです。
奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。
婚約破棄はこちらからお願いしたいのですが、創造スキルの何がいけないのでしょう?
ゆずこしょう
恋愛
「本日でメレナーデ・バイヤーとは婚約破棄し、オレリー・カシスとの婚約をこの場で発表する。」
カルーア国の建国祭最終日の夜会で大事な話があると集められた貴族たちを前にミル・カルーア王太子はメレアーデにむかって婚約破棄を言い渡した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる