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31.父の迷い
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少し話がしたい。そう言われて私はお父様の部屋に来ていた。
このタイミングで呼び出されたということは、十中八九ランドラ様関連の話がしたいということだろう。
ただ、お父様は中々話を切り出してこない。紅茶を飲みながら、ただ黙っているだけだ。
「……お父様、それで今日はどのような用件で私を呼び出したのですか?」
「あ、いや……」
このままでは埒が明かないと思った私は、お父様にそう問いかけた。
話がしたいと呼び出したのだから、話をして欲しい。それを話すかどうか悩まれたら、こちらも困ってしまう。
「……ランドラのことは、聞いているかな?」
「ええ、聞きました。どうやら大変なことになっているようですね」
「ああ、大変なことになっている。無論、こうなることはわかっていたことではあるのだが……」
お父様は、重々しい口調でそう呟いた。
やはりお父様は、今回の件でかなり参っているようだ。親友の息子の窮地、そんな彼からの手紙、お父様の心は大いに揺れているだろう。
「この手紙を見てもらいたい」
「手紙? ああ、ランドラ様からの手紙ですか?」
「いや、そうではない……」
「これは……」
そこで、私はお父様から一通の手紙を渡された。
ランドラ様からもらった手紙を見せてくれるのかと思ったが、どうやらそれはアルガール侯爵からの手紙のようだ。
とりあえず、私はその手紙を読んでみる。私が読んでもいいのかと一瞬思ったが、お父様がいいと言ったのだから特に問題はないだろう。
「……アルガール侯爵は、この事態を想定していたのですね」
「ああ、そのようだ」
「侯爵として正しい判断を、ですか……」
「最期の最期まで、彼は誇り高き男だった……」
「そうですね……」
手紙には、ランドラ様が助けを求めてきても侯爵として正しい判断をするようにと記されていた。
自分のことは気にせず、判断して欲しい。それが侯爵の望みであるようだ。
「だが、この手紙を見れば見る程、私はランドラのことを助けたいと思ってしまう。彼のことを思い出してしまうのだ」
「お父様……」
「もちろん、助けるべきではないということはわかっている。しかし、私の心は……」
「……お父様、少し聞かせたいことがあります」
「む?」
お父様は、かなり迷っているらしい。
意見するのは、とりあえずお父様の中で意見がまとまってからの方がいいと思っていた。
だが、これ程に迷っているというなら、この段階でとある情報を明かしておくべきであるように思える。
それは、私がアルガール侯爵から聞いた最後の言葉だ。それを今伝えることには、深い意味がある気がする。
このタイミングで呼び出されたということは、十中八九ランドラ様関連の話がしたいということだろう。
ただ、お父様は中々話を切り出してこない。紅茶を飲みながら、ただ黙っているだけだ。
「……お父様、それで今日はどのような用件で私を呼び出したのですか?」
「あ、いや……」
このままでは埒が明かないと思った私は、お父様にそう問いかけた。
話がしたいと呼び出したのだから、話をして欲しい。それを話すかどうか悩まれたら、こちらも困ってしまう。
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「ああ、大変なことになっている。無論、こうなることはわかっていたことではあるのだが……」
お父様は、重々しい口調でそう呟いた。
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「この手紙を見てもらいたい」
「手紙? ああ、ランドラ様からの手紙ですか?」
「いや、そうではない……」
「これは……」
そこで、私はお父様から一通の手紙を渡された。
ランドラ様からもらった手紙を見せてくれるのかと思ったが、どうやらそれはアルガール侯爵からの手紙のようだ。
とりあえず、私はその手紙を読んでみる。私が読んでもいいのかと一瞬思ったが、お父様がいいと言ったのだから特に問題はないだろう。
「……アルガール侯爵は、この事態を想定していたのですね」
「ああ、そのようだ」
「侯爵として正しい判断を、ですか……」
「最期の最期まで、彼は誇り高き男だった……」
「そうですね……」
手紙には、ランドラ様が助けを求めてきても侯爵として正しい判断をするようにと記されていた。
自分のことは気にせず、判断して欲しい。それが侯爵の望みであるようだ。
「だが、この手紙を見れば見る程、私はランドラのことを助けたいと思ってしまう。彼のことを思い出してしまうのだ」
「お父様……」
「もちろん、助けるべきではないということはわかっている。しかし、私の心は……」
「……お父様、少し聞かせたいことがあります」
「む?」
お父様は、かなり迷っているらしい。
意見するのは、とりあえずお父様の中で意見がまとまってからの方がいいと思っていた。
だが、これ程に迷っているというなら、この段階でとある情報を明かしておくべきであるように思える。
それは、私がアルガール侯爵から聞いた最後の言葉だ。それを今伝えることには、深い意味がある気がする。
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