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34.残されたもの
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「ああ、そういえば、バルギード様はランドラ様の近況についてご存知ですか?」
「ええ、噂には聞いていますよ」
「実は、父の元に彼から手紙が届いたのです。支援して欲しいという手紙が……」
「ほう……」
私の言葉に、バルギード様は驚いたような表情をした。
それが何に対する驚きかはわからない。だが、とりあえずこの事実は伝えておくべきだろう。
「親友の息子からの手紙ですから、お父様も悩みました。でも結局は断ることに決めました。オンラルト侯爵家として、助けるメリットはほとんどありませんでしたからね」
「まあ、そうでしょうね……しかし、まさかアルガール侯爵家がそれ程まで追い詰められているというのは驚きですね。まあ、その理由は理解できますが」
「ええ、そうですよね……」
ランドラ様が何故こうなってしまったのかは、言うまでもないだろう。
彼は悪手ばかりを重ねてきた。その皺寄せが、今来てしまっているのだ。
「実の所、こうなることは前アルガール侯爵も把握していたのです」
「おや、そうなのですか?」
「ええ、彼は私に言い残していました。もしもこの先にランドラ様が落ちぶれた時のことを……」
私は、バルギード様にもアルガール侯爵から最後に言われたことを伝えることにした。
お父様に伝えたことによって、私はそれを人に話すのを躊躇わなくなった。これはきっと私だけの問題という訳ではないので、夫となる彼には伝えておくべきだろう。
「アルガール侯爵は、私に資金を預けました」
「資金?」
「ええ、彼は私にその遺産となるはずだったいくらかを渡しているのです。もちろん、怪しまれないように色々と手順は踏んでいますが、とにかく私はアルガール侯爵から一定の資金を受け取りました」
「それは一体、どうして?」
「その資金は、最後の砦です。ランドラ様にもしものことがあった時、私が彼にそれを渡してもいいと判断したら渡して欲しいというのが、アルガール侯爵の望みです」
アルガール侯爵は、私に最後の頼みとしてそんな頼みをしてきた。
それは、彼なりに息子の将来を思いやった措置であるだろう。同時に、侯爵が私を信頼してくれている証でもある。
「セリティア嬢の判断とは?」
「彼が己の行いを反省しているかどうかを判断して欲しいとのことです」
「あなたが反省していないと判断したら?」
「その場合は切り捨てるようにと」
「なるほど……」
アルガール侯爵は、ただ優しい人ではなかった。
ランドラ様を甘やかす訳ではなく、厳しい道を進ませるつもりのようだ。
私は、厳正な審査をしなければならないだろう。それが、ランドラ様のためにもなるはずだ。
「ええ、噂には聞いていますよ」
「実は、父の元に彼から手紙が届いたのです。支援して欲しいという手紙が……」
「ほう……」
私の言葉に、バルギード様は驚いたような表情をした。
それが何に対する驚きかはわからない。だが、とりあえずこの事実は伝えておくべきだろう。
「親友の息子からの手紙ですから、お父様も悩みました。でも結局は断ることに決めました。オンラルト侯爵家として、助けるメリットはほとんどありませんでしたからね」
「まあ、そうでしょうね……しかし、まさかアルガール侯爵家がそれ程まで追い詰められているというのは驚きですね。まあ、その理由は理解できますが」
「ええ、そうですよね……」
ランドラ様が何故こうなってしまったのかは、言うまでもないだろう。
彼は悪手ばかりを重ねてきた。その皺寄せが、今来てしまっているのだ。
「実の所、こうなることは前アルガール侯爵も把握していたのです」
「おや、そうなのですか?」
「ええ、彼は私に言い残していました。もしもこの先にランドラ様が落ちぶれた時のことを……」
私は、バルギード様にもアルガール侯爵から最後に言われたことを伝えることにした。
お父様に伝えたことによって、私はそれを人に話すのを躊躇わなくなった。これはきっと私だけの問題という訳ではないので、夫となる彼には伝えておくべきだろう。
「アルガール侯爵は、私に資金を預けました」
「資金?」
「ええ、彼は私にその遺産となるはずだったいくらかを渡しているのです。もちろん、怪しまれないように色々と手順は踏んでいますが、とにかく私はアルガール侯爵から一定の資金を受け取りました」
「それは一体、どうして?」
「その資金は、最後の砦です。ランドラ様にもしものことがあった時、私が彼にそれを渡してもいいと判断したら渡して欲しいというのが、アルガール侯爵の望みです」
アルガール侯爵は、私に最後の頼みとしてそんな頼みをしてきた。
それは、彼なりに息子の将来を思いやった措置であるだろう。同時に、侯爵が私を信頼してくれている証でもある。
「セリティア嬢の判断とは?」
「彼が己の行いを反省しているかどうかを判断して欲しいとのことです」
「あなたが反省していないと判断したら?」
「その場合は切り捨てるようにと」
「なるほど……」
アルガール侯爵は、ただ優しい人ではなかった。
ランドラ様を甘やかす訳ではなく、厳しい道を進ませるつもりのようだ。
私は、厳正な審査をしなければならないだろう。それが、ランドラ様のためにもなるはずだ。
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