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私は、王城の廊下で第四王子のケルド様と出会った。
言葉から考えると、彼は私を心配してくれているようだ。端から見ても、私は落ち込んでいるように見えたのだろうか。それは、少し恥ずかしい。
「あなたは確か、エルーナ・ストライムさんでしたよね?」
「あ、はい……」
「兄……クードムの婚約者という認識は、間違っていませんか?」
「あ、えっと……」
その質問に、私は少しだけ言葉を詰まらせた。
私は、クードム様の婚約者だった。だが、それはもう先程までの話だ。今の私は、もう彼の婚約者とは言えない。
ただ、それを言っていいのかがわからなかった。まだ正式に発表されたことではないので、言うのを躊躇ってしまったのだ。
「何かあったようですね?」
「その……」
「……少しだけ、話を聞かせてもらえますか? よろしければ、こちらでどうでしょう?」
ケルド様は、近くの部屋の戸を開けながらそう言ってきた。どうやら、私の躊躇いによって、何かあったことを察したらしい。
私は、ゆっくりと頷いた。彼になら、話してもいいと思ったのである。
彼は、信頼できる人だ。私を見て、特に表情を変えない彼は、この痣に嫌悪感を抱かない彼は、信じていいと思ったのである。
「さて、とりあえず、あなたとクードムの関係について、聞いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい……実は、彼から婚約破棄を言い渡されて――」
「婚約破棄ですって!」
向き合って座って、私達は話を始めた。
婚約破棄という言葉を聞いて、ケルド様はとても驚いている。やはり、婚約破棄というのは一大事であるようだ。
「あ、すみません。動揺してしまいました」
「いえ、大丈夫です」
「兄は、一体どうして婚約破棄などということを?」
「その……彼は、私のこの顔が気に入らなかったらしくて……」
「……その痣のことですか」
私の言葉に、ケルド様は少し悲しそうな顔をした。
その表情だけで、私にはわかる。彼は、私がこの痣によって蔑まれていることを悲しく思ってくれているのだ。
こういう人は、非常に珍しい。私が痣によって差別されることを快く思わない人は、この国も一定数はいるのだ。
そういう人と会うと、嬉しくなる。自分の存在を認められる気がするからだ。
「兄も……そういう偏見を持っている人だったのですね」
「ええ……知らなかったのですか?」
「情けないことに、そうなのです。どうやら、僕は兄のことをよく理解していなかったようですね」
ケルド様は、自嘲気味な笑みを浮かべた。兄のことをよく知らなかった自分を、情けなく思っているのだろう。
もしかしたら、王族の兄弟は結びつきが薄いのかもしれない。一応、次の国王を争う中であるから、そこまで仲良くできないのだろうか。
言葉から考えると、彼は私を心配してくれているようだ。端から見ても、私は落ち込んでいるように見えたのだろうか。それは、少し恥ずかしい。
「あなたは確か、エルーナ・ストライムさんでしたよね?」
「あ、はい……」
「兄……クードムの婚約者という認識は、間違っていませんか?」
「あ、えっと……」
その質問に、私は少しだけ言葉を詰まらせた。
私は、クードム様の婚約者だった。だが、それはもう先程までの話だ。今の私は、もう彼の婚約者とは言えない。
ただ、それを言っていいのかがわからなかった。まだ正式に発表されたことではないので、言うのを躊躇ってしまったのだ。
「何かあったようですね?」
「その……」
「……少しだけ、話を聞かせてもらえますか? よろしければ、こちらでどうでしょう?」
ケルド様は、近くの部屋の戸を開けながらそう言ってきた。どうやら、私の躊躇いによって、何かあったことを察したらしい。
私は、ゆっくりと頷いた。彼になら、話してもいいと思ったのである。
彼は、信頼できる人だ。私を見て、特に表情を変えない彼は、この痣に嫌悪感を抱かない彼は、信じていいと思ったのである。
「さて、とりあえず、あなたとクードムの関係について、聞いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい……実は、彼から婚約破棄を言い渡されて――」
「婚約破棄ですって!」
向き合って座って、私達は話を始めた。
婚約破棄という言葉を聞いて、ケルド様はとても驚いている。やはり、婚約破棄というのは一大事であるようだ。
「あ、すみません。動揺してしまいました」
「いえ、大丈夫です」
「兄は、一体どうして婚約破棄などということを?」
「その……彼は、私のこの顔が気に入らなかったらしくて……」
「……その痣のことですか」
私の言葉に、ケルド様は少し悲しそうな顔をした。
その表情だけで、私にはわかる。彼は、私がこの痣によって蔑まれていることを悲しく思ってくれているのだ。
こういう人は、非常に珍しい。私が痣によって差別されることを快く思わない人は、この国も一定数はいるのだ。
そういう人と会うと、嬉しくなる。自分の存在を認められる気がするからだ。
「兄も……そういう偏見を持っている人だったのですね」
「ええ……知らなかったのですか?」
「情けないことに、そうなのです。どうやら、僕は兄のことをよく理解していなかったようですね」
ケルド様は、自嘲気味な笑みを浮かべた。兄のことをよく知らなかった自分を、情けなく思っているのだろう。
もしかしたら、王族の兄弟は結びつきが薄いのかもしれない。一応、次の国王を争う中であるから、そこまで仲良くできないのだろうか。
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