醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗

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 部屋で、お父様とお姉様達に責められていた私の元に、お兄様とセリーヌ様が来てくれた。
 二人は、私の数少ない味方である。この二人が来てくれたことは、私にとってとても嬉しいことだ。

「セリーヌ様、これはストライム家の問題……」
「父上、それなら彼女も関係あるはずですよ? 彼女は俺の婚約者、充分な関係者ではありませんか」
「アレイド、お前は誰に口を聞いている?」
「俺は、事実を言っているだけに過ぎません」

 お父様にとって、まずいのはセリーヌ様がいたことである。
 彼女は、オルフェニー侯爵家の令嬢だ。そんな彼女に、娘を責められている姿を見られるのはまずいのだろう。

「セリーヌ様、急に現れて、私達の批判だなんて、何様のつもりですか?」
「あら? 私の言葉に何か反論がありまして?」
「今回の件は、彼女が婚約破棄されたのが悪いのです。それを責めることに正当性がないとでもいうのでしょうか?」
「正当性なんてありませんわ。彼女は婚約破棄されただけに過ぎませんもの。勝手に婚約破棄されて責められる道理がどこにあるというのでしょう?」

 イルシャナお姉様は、セリーヌ様に食い下がった。
 二人のお姉様は、彼女に対して敵意を持っている。あまりよくわからないが、私を守る彼女のことが気にいらないのかもしれない。
 しかし、そんなイルシャナお姉様の言葉にセリーヌ様は怯まなかった。堂々と反論して、一切退かない彼女は、とても心強い。

「あなたは、何もわかっていませんね。この妹のせいで、私達がどれだけ迷惑を被ったか……色々なことを言われて、とても苦労したのですよ」
「あなたが今やっていることで、彼女は苦労していますのよ。まあ、私に言わせれば、あなた方は軟弱ですわ。人に責められたから他人を責める。みっともないとしかいいようがありませんわね」

 ウェリリアお姉様の言葉にも、セリーヌ様は堂々と言い返した。
 何を言っても、彼女には効かない。彼女は、強い令嬢なのである。

「父上、ここは一つこの場を収めませんか?」
「何?」
「彼女をこれ以上責めるのはやめにしていただきたい。セリーヌの言う通り、彼女は婚約破棄された身です。今は悲しみも深い。そんな彼女には、休息が必要だ」
「……良かろう」

 お兄様の提案を、お父様は受け入れた。
 どうやら、これ以上私を責めることに利益がないと思ったようだ。
 このままでは、お姉様達がセリーヌ様に余計なことを言うかもしれない。そういう思考が働いたのだろう。

「さて、それでは行きましょうか?」
「あ、はい……」

 私は、セリーヌ様の後についていく。
 こうして、私はお父様とお姉様達から解放されたのだった。
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