醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗

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 私は、セリーヌ様の傷口を治した。
 聖なる力を、私は完全に掴んだ。はっきりと使い方がわかる。

「治す……」

 私は、試しに先程木につけた傷に力を使った。
 すると、ゆっくりとその傷がいえていく。何事もなかったかのように、木は元の姿に戻ったのだ。
 それを見届けてから、私はセリーヌ様に目を向ける。彼女は自分の肩を触っていた。恐らく、その調子を確かめているのだろう。

「セリーヌ様、どうですか?」
「完全に治っていますわ。ナイフで突き刺したなんて、嘘みたいですわね」

 セリーヌ様の傷は、完治しているようだ。
 その確信はあったものの、その言葉に私は安心した。万が一、少しでも傷が残っていたら、とても申し訳なかったからである。

「セリーヌ、なんて無茶を……」
「治ったのだから、別にいいでしょう?」
「いい訳あるか。もし、何かあったら、どうするんだ……」

 お兄様は、かなり安心しているようだ。
 きっと、かなり焦っていたのだろう。その額からは、異常な程に汗が流れている。

「彼女ならできると思っていましたわ。だから、別に何も心配していませんでしたわ」
「ありがとうございます、セリーヌ様」
「いえ、感謝されるようなことではありませんわ。というか、あなたに対しては無茶な要求でしたわね。申し訳ありませんでしたわ」

 セリーヌ様は、いつもと変わらない笑顔を見せてくれた。
 やはり、彼女はすごい。あんなことは、私を信じていたとしても普通の人にはできない。勇気に溢れた彼女だからこそ、成し遂げられたことなのだ。
 こんな風に、私もならなければならない。堂々として凛とした貴族に、私はなるのだ。

「さて、何はともあれ、これであなたの力は証明できましたわね」
「はい」
「言うまでもないとは思っていますわ。でも、念のため言わせてもらいます。その力を使って、大義を成し遂げなさい」
「はい、わかっています」

 この聖なる力は、私の武器である。この力を使って、私は地位を得るのだ。
 地位が得られれば、様々なことに働きかけられる。この国を変えることも、不可能ではないだろう。
 ケルド様は、私のような人間のために動いてくれている。地位が得られれば、そんな彼の手助けをすることもできるだろう。

「なんだか、すごいな……まさか、本当にエルーナが聖なる力を持っているなんて……」
「あら? 信じていませんでしたの?」
「え? いや、そういう訳ではないけど……」

 お兄様は、色々と衝撃を受けているようだ。
 この一瞬で、色々なことがあった。そのため、かなり混乱しているだろう。
 そんなお兄様に対して、セリーヌ様は笑顔を向ける。このように笑い合える関係も、私にとっては憧れだ。
 こうして、私は聖なる力を使えるようになるのだった。
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