刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗

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3.竜との出会い③

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「さてと……」

 私は、一度伸びをする。お墓参りも終わったので、これからどうするか、少し考える必要がある。
 帰ってから、もう一眠りしてもいいのだが、流石にそれは寝すぎだろう。といっても、特にやることがある訳でもない。特に趣味もないので、どうするべきか少し迷っているのだ。

「……あれ?」

 そんなことを考えていると、私の目に奇妙なものが映った。お墓の近くにある森から、光が漏れてきているのだ。
 光は、最初は赤色だった。しかし、次に光った時には青色になっている。その次は緑、さらにその次は黄色。黄色の次は、赤色に。光は、次々と色を変えていく。
 そんな自然現象は、聞いたことがない。何かが起こっている。そう思って、私は少しだけ体を強張らせていた。

「なんだろう……光の間隔が」

 奇妙な光が切り替わる間隔は、どんどんと短くなっていた。それが、何かが起こるまでの時間を表しているのではないか。そう思って、私の緊張感はさらに高まっていく。
 誰かを呼んだ方がいいのかもしれないが、なんだかあまり時間はないように思える。ここは、何が起こるかを見届けた方がいいのではないだろうか。
 そう思って、私は森に近づいていた。光に近づくべきかどうかはわからなかったが、好奇心も合わさって、そういう行動を取っていたのだ。

「あれは……?」

 森を少し進むと、光源はすぐに発見できた。台座のような形をした岩の上にある楕円形の物体が、光を発していたのだ。
 一目見てわかった。それは、何かの卵である。
 大きさとしては、私の腕に収まるくらいだが、中から出てくるものによっては、危険かもしれない。狂暴な魔物だった場合、生まれたてでもこちらを攻撃してくる可能性はあるだろう。

「でも……」

 しかし、私は不思議と安心感を覚えていた。その卵を見ていると、不思議とそう思えるのだ。
 同時に、あることに気がついた。卵から出てくる光は、温かいということだ。
 まるで、抱きしめられているかのように、私は温もりに包まれている。このまま深い眠りに落ちていきそうな……そんななんともいえない感覚に、私は思わずさらに足を進めていた。

「……え?」

 次の瞬間、卵は光を発さなくなった。温もりが失われたことによって、私は一気に現実に引き戻されていた。
 目の前に卵がある。もし、その中から狂暴な魔物が出てきたら、私はどうなるのだろうか。その結論に、私の体からは冷や汗が湧き出てくる。

「あっ……」

 逃げようと思った時には、もう遅かった。卵にひびが入り、その殻が一気に飛び散っていく。
 恐怖によって、私の腰は抜けてしまった。どうやら、私は卵から何かがかえるのを見ていることしかできないようである。
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