刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗

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13.お昼寝の後に①

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 部屋に戻ってから、私はリルフと一緒にまったりと過ごしていた。
 体を撫でてあげると、リルフはとても喜んでくれた。それがこちらも嬉しくて、ついつい時間を忘れてしまい、気づけば既にお昼時である。

「お昼か……」
「ピィ?」

 昼食の準備をしなければならないと思って、私は重要なことを思い出した。そういえば、リルフは何を食べるのだろうかと。
 この子が肉食なのか、草食なのか、はたまた雑食なのか。私は、まったく知らないのである。

「死活問題だよね……」
「ピィ」
「あ、そうだ。こういう時こそ、メルラムのメモだよね」

 困っていた私だったが、そこでメルラムからもらったメモのことを思い出した。
 これには、彼の竜に関する知識が記してある。リルフが竜なのかどうかは、まだわからないが、手がかりとして見てみるべきだろう。

「竜は雑食……なんでも、食べられるといわれている、か……」

 竜は、雑食であるらしい。なんでも、食べられるそうだ。
 だが、これは少し疑わしい部分もある。竜を目撃した人は、そこまで多くない。それなのに、どうしてなんでも食べられるといえるのだろうか。

「まあ、でも、雑食であるということは信頼できるのかな?」
「ピィ?」
「というか、わからない以上、結局食べさせるしかないのかな……本能とかで、食べられるか食べられないか、判断できない?」
「ピィイ!」
「やる気はあるみたいだね……」

 私の言葉に、リルフは力強い返事をしてくれた。多分、頑張って判別してみるということなのだろう。
 この子が、何者なのかはっきりとわかっていないし、伝承も完全に鵜呑みにできないので、完全に安心することはできない。だが、食事は絶対に必要なはずなので、食べさせない訳にもいかない。
 という訳で、この子の本能にかけるしかないというのが、現状である。

「とにかく、厨房に……いや、それは待った方がいいか」
「ピィ?」
「流石に、あなたを厨房には連れて行けないかも……あ、でも、毛もないし、大丈夫なのかな? まあ、でも、連れて行くべきではないよね」
「ピィ?」

 流石に、厨房にこの子を連れて行くのはまずいだろう。動物を厨房に入れるのは、衛生面から考えて、避けるべきことだからだ。

「それじゃあ、ちょっとしばらく待ってもらえるかな?」
「ピィ……」
「うっ……そんな顔、しないでよ……」

 私が出て行こうとすると、リルフがとても切なそうな顔で見つめてきた。その瞳を見ればわかる。この子は、行かないで、といっているのだ。
 だが、厨房にリルフを連れて行く訳には行かない。私は、どうすればいいのだろうか。
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