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33.世に出た記事
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オルマナの記事は、取材を受けてから程なくして世に放たれた。
事前に確認していたため、その内容は知っている。しかし、紙面に載っているのを見ると私の心も少し踊ってしまう。
「よく書けているね。まあ、多少の脚色はあるみたいだけれど……」
「それは仕方ないことよ。私の事情を赤裸々に話してしまうと、快く思わない人がいるもの」
「ふむ、その辺りに気を遣うことが、ジャーナリズムとして正しいかというと、微妙な所であると思うけれどね?」
「それはそうかもしれないけれど、あの子に危害が及んだりしたら駄目でしょう?」
「ああ、僕も君の判断に同意していないという訳ではないよ。ただ、もどかしいと思っているだけさ。糾弾できるなら、糾弾したいからね」
ギルバートは、エルシエット伯爵家の私への扱いについてひどく憤っていた。
その気持ちに関しては、嬉しく思う。そして私も、彼と気持ちは同じだ。糾弾できるものなら、糾弾したい。
だが、そういう訳にはいかないのが現状だ。エルシエット伯爵家と全面的にやり合えば、被害を受けるのは恐らくこちらだ。流石に、貴族に勝てる訳がない。
「そういえば、夫人はこの記事のことをご存知なのかい?」
「もちろん、一番に知らせたわよ。喜んでくださっていたわ」
「ふむ、それは良かったね」
「ええ、でも彼女もエルシエット伯爵家の扱いに関しては不満かもしれないわね……」
私の伯母様――ランバット伯爵夫人は、今でも私に大変よくしてくれている。お母様に向けられなかった愛を向けているのか、それは溺愛とさえいえるものだ。
そんな彼女は、エルシエット伯爵家への憎しみを深めているような気がした。私を愛せば愛す程に、その憎しみは深くなっているのかもしれない。
「でも、伯母様には迷惑をかけたくないし、エルシエット伯爵家についてはもう触れないつもりよ」
「……この記事は、エルシエット伯爵家の面々の目に入るのだろうか?」
「まあ、入らないということはないでしょうね。でも、あちらも私に興味なんてないだろうし、無視するだけなのではないかしら?」
「それが一番いいだろうか」
「ええ、そうだと思うわ。まあ悪くは書いていないし、多分そうなると思っているのだけれど……」
記事について心配だったのは、エルシエット伯爵家のことだった。
この素晴らしい記事を見て、彼らが何かをしてくるかもしれない。その可能性だけが怖い所だ。
しかし、きっと大丈夫だろう。特に悪く書かれていない以上、彼らも何かしようなんて思わないはずだ。もう私は、遠い地にいる訳だし。
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「ふむ、その辺りに気を遣うことが、ジャーナリズムとして正しいかというと、微妙な所であると思うけれどね?」
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