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16.二つの事実
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三日後、私とロナード様が国王様と話してから三日後に、王家による調査は終わった。
それは、異例の早さといえる。いくらロナード様という内情を知る人物がいたからといって、そこまで早く調査が終わるものだろうか。
という訳で、私とロナード様は再度国王様に呼び出されることになった。彼は親切にも、調査結果とその対応を私達に教えてくれるそうなのだ。
「端的に言ってしまえば、ロナード子爵令息の作った資料の通りだった」
「それは……」
「レヴィトン子爵の不正は、間違いなく行われていたものであるということだ。それに対して、王家は厳正な対処をするつもりだ」
国王様は、淡々と言葉を発していた。
その雰囲気は、少々異様ともいえる。彼は何かを掴んでいるようだ。
それはきっと、話しづらいことなのだろう。言葉が冷淡であるが故に、私はむしろ国王様の焦りのようなものが読み取れた。
「しかし問題は、それではない」
「え?」
「今回の調査によって、王家は二つの事実を掴んだ。今となっては、その二つの事実の方が重要といえる」
国王様は、少し感情を出していた。
その言葉の節々からは、疲れのようなものが伝わってくる。王家が掴んだ二つの事実、それは重たいものであるようだ。
「一つはロナード子爵令息に関することだ」
「僕、ですか?」
「ああ、お前はレヴィトン子爵と血が繋がっていない。それは紛れもない事実だということがわかった。だがそれはお前だけではなかった。その意味がわかるか?」
「……まさか」
国王様の言葉に、私とロナード様は顔を見合わせることになった。
その可能性については、今まで頭から抜けていたものである。しかしあり得ないものではなかった。現に一つ実例があるのだから。
ただそうなると、とんでもないことになる。私は額から汗を流しながら、国王様の方を見た。
「国王様、まさか伯父様は……」
「ああ、レヴィトン子爵には、遺伝子上子供はいないということになる。それは家にとって、未曽有の事態といえるだろう。後継者の問題が発生したともいえる」
「……それも定めということでしょう。父上や母上は、今まで好きなように振る舞い過ぎていた」
「ロナード子爵令息、忘れてはならないことが一つあるだろう。レヴィトン子爵家の血を引く者が、ここにいるということを」
ロナード様の弱音を聞いて、国王様は私の方を指差してきた。
私がレヴィトン子爵家の血を引く最後の一人、そんなことは思いもしなかった。
だが、それは最早重要なことという訳でもないかもしれない。不正の数々が露呈すれば、レヴィトン子爵家は打撃を受ける訳であるし。
「さて、それからもう一つの事実だが……」
「国王様?」
「ルシェーラ、お前の母親に関することだ」
「母に、関すること……」
国王様の言葉に、私は息を詰まらせることになった。
母に関すること、それはもしかしてその死の真相がわかったということかもしれない。
私が幼い頃に亡くなった母の死には、やはり伯父様が関わっているのだろうか。そう思いながら、私は国王様の次の言葉を待つのだった。
それは、異例の早さといえる。いくらロナード様という内情を知る人物がいたからといって、そこまで早く調査が終わるものだろうか。
という訳で、私とロナード様は再度国王様に呼び出されることになった。彼は親切にも、調査結果とその対応を私達に教えてくれるそうなのだ。
「端的に言ってしまえば、ロナード子爵令息の作った資料の通りだった」
「それは……」
「レヴィトン子爵の不正は、間違いなく行われていたものであるということだ。それに対して、王家は厳正な対処をするつもりだ」
国王様は、淡々と言葉を発していた。
その雰囲気は、少々異様ともいえる。彼は何かを掴んでいるようだ。
それはきっと、話しづらいことなのだろう。言葉が冷淡であるが故に、私はむしろ国王様の焦りのようなものが読み取れた。
「しかし問題は、それではない」
「え?」
「今回の調査によって、王家は二つの事実を掴んだ。今となっては、その二つの事実の方が重要といえる」
国王様は、少し感情を出していた。
その言葉の節々からは、疲れのようなものが伝わってくる。王家が掴んだ二つの事実、それは重たいものであるようだ。
「一つはロナード子爵令息に関することだ」
「僕、ですか?」
「ああ、お前はレヴィトン子爵と血が繋がっていない。それは紛れもない事実だということがわかった。だがそれはお前だけではなかった。その意味がわかるか?」
「……まさか」
国王様の言葉に、私とロナード様は顔を見合わせることになった。
その可能性については、今まで頭から抜けていたものである。しかしあり得ないものではなかった。現に一つ実例があるのだから。
ただそうなると、とんでもないことになる。私は額から汗を流しながら、国王様の方を見た。
「国王様、まさか伯父様は……」
「ああ、レヴィトン子爵には、遺伝子上子供はいないということになる。それは家にとって、未曽有の事態といえるだろう。後継者の問題が発生したともいえる」
「……それも定めということでしょう。父上や母上は、今まで好きなように振る舞い過ぎていた」
「ロナード子爵令息、忘れてはならないことが一つあるだろう。レヴィトン子爵家の血を引く者が、ここにいるということを」
ロナード様の弱音を聞いて、国王様は私の方を指差してきた。
私がレヴィトン子爵家の血を引く最後の一人、そんなことは思いもしなかった。
だが、それは最早重要なことという訳でもないかもしれない。不正の数々が露呈すれば、レヴィトン子爵家は打撃を受ける訳であるし。
「さて、それからもう一つの事実だが……」
「国王様?」
「ルシェーラ、お前の母親に関することだ」
「母に、関すること……」
国王様の言葉に、私は息を詰まらせることになった。
母に関すること、それはもしかしてその死の真相がわかったということかもしれない。
私が幼い頃に亡くなった母の死には、やはり伯父様が関わっているのだろうか。そう思いながら、私は国王様の次の言葉を待つのだった。
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