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5.いらぬ心配
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「……災難でしたね」
「あ、はい。助けていただき、ありがとうございました」
「いえ、お気になさらず」
去っていくレシリア様の背を見つめながら、セディルス様は私に声をかけてきた。
彼のお陰で、私はなんとか難を逃れられた。しかし、その代わりにセディルス様が目をつけられたかもしれない。レシリア様の捨て台詞が、私は気になっていた。
「あなたは……」
「え? ああ……」
私の方を見たセディルス様は、その動きを止めた。
彼は目を見開いて、私の顔を見ている。一瞬私もきょとんとしてしまったが、すぐに理解した。私の公然の秘密を、彼は知っているのだと。
「なるほど、あなたでしたか……少し馴れ馴れしい態度で接してしまいましたね。申し訳ありませんでした」
「いえ、大丈夫です。その、正直な所、自分の立場とかそういったことについては、それ程頓着していたので、気軽に接してください」
「そういう訳にはいきません……いや、あなたがそれを望むなら、譲歩するべきですか」
セディルス様は、言葉の途中で何かに気付いたのか、少し笑みを浮かべた。
私の現状の立場を改めて考えた結果、立場を軟化させる方が良いと判断してくれたということだろうか。
それは私にとっては、とてもありがたいものである。誰からも腫れ物扱いされる現状は、心地良いものとは言い難かったから。
「そうだ。セディルス様――」
「様などと言うのは、やめてください。私はただの騎士見習いですから」
「……それではセディルスさん、一つ気になっていることがあるんです。レシリア様のことなのですが、彼女はあなたに対して、何かしらの対処を考えているようですが」
「そのことですか」
セディルス様改めセディルスさんは、私の言葉にゆっくりとため息をついた。
レシリア様が言い残した「顔と名前を覚えた」という言葉は、どう考えても危険なものである。それについては、大丈夫なのだろうか。心配である。
「悩むべきことではあると、認識していました。ただそれはあなたが気にすることではないと、言おうとも先程までは思っていました。しかし今となっては、それらの心配はいらないと言えます。レシリア嬢がしたことは、揉み消せるものではなくなりましたから」
「……どういうことですか?」
「ご自分の立場を、今一度お考えください。私の方から言えるのは、それだけです」
「……あっ」
セディルスさんに指摘されて、私は自分が王家の隠し子であるという重要なことを改めて思い出すことになった。
そんな私にレシリア様がしたことは、ほぼ確実に問題となる。彼女は知らぬ間に、王家に牙を向いてしまったのだ。
「あ、はい。助けていただき、ありがとうございました」
「いえ、お気になさらず」
去っていくレシリア様の背を見つめながら、セディルス様は私に声をかけてきた。
彼のお陰で、私はなんとか難を逃れられた。しかし、その代わりにセディルス様が目をつけられたかもしれない。レシリア様の捨て台詞が、私は気になっていた。
「あなたは……」
「え? ああ……」
私の方を見たセディルス様は、その動きを止めた。
彼は目を見開いて、私の顔を見ている。一瞬私もきょとんとしてしまったが、すぐに理解した。私の公然の秘密を、彼は知っているのだと。
「なるほど、あなたでしたか……少し馴れ馴れしい態度で接してしまいましたね。申し訳ありませんでした」
「いえ、大丈夫です。その、正直な所、自分の立場とかそういったことについては、それ程頓着していたので、気軽に接してください」
「そういう訳にはいきません……いや、あなたがそれを望むなら、譲歩するべきですか」
セディルス様は、言葉の途中で何かに気付いたのか、少し笑みを浮かべた。
私の現状の立場を改めて考えた結果、立場を軟化させる方が良いと判断してくれたということだろうか。
それは私にとっては、とてもありがたいものである。誰からも腫れ物扱いされる現状は、心地良いものとは言い難かったから。
「そうだ。セディルス様――」
「様などと言うのは、やめてください。私はただの騎士見習いですから」
「……それではセディルスさん、一つ気になっていることがあるんです。レシリア様のことなのですが、彼女はあなたに対して、何かしらの対処を考えているようですが」
「そのことですか」
セディルス様改めセディルスさんは、私の言葉にゆっくりとため息をついた。
レシリア様が言い残した「顔と名前を覚えた」という言葉は、どう考えても危険なものである。それについては、大丈夫なのだろうか。心配である。
「悩むべきことではあると、認識していました。ただそれはあなたが気にすることではないと、言おうとも先程までは思っていました。しかし今となっては、それらの心配はいらないと言えます。レシリア嬢がしたことは、揉み消せるものではなくなりましたから」
「……どういうことですか?」
「ご自分の立場を、今一度お考えください。私の方から言えるのは、それだけです」
「……あっ」
セディルスさんに指摘されて、私は自分が王家の隠し子であるという重要なことを改めて思い出すことになった。
そんな私にレシリア様がしたことは、ほぼ確実に問題となる。彼女は知らぬ間に、王家に牙を向いてしまったのだ。
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