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14.彼の基準は
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「イルガンは、別に君のことを快く思っていないということはないと思うよ」
「そ、そうなのですか?」
イルガン殿下が出て行った後、クロードお兄様が言葉を発した。
彼は笑顔を浮かべている。ただその言葉は、信じて良いものなのだろうか。
イルガン殿下は、私が王位争いを混乱させると言っていた。それは多分事実なのだろうし、美しい云々を抜きにすると、口振りからして歓迎されていなかったように思えるのだが。
「彼の判断基準に根底には、美しさというものがある。彼はとりわけ、自身と親族を美しいと思うらしくてね。その時点で、一定の好感度は担保されていると思っていい」
「……なるほど」
クロードお兄様の言い分は、至極納得できるものだった。
イルガン殿下に関して、美しさ云々を抜きにして考えるのは愚かなことだったのだろう。
何はともあれ、過度に嫌われていないというなら安心できる。いや、彼に関しては本当に安心してもいいのか、微妙な所ではあるが。
「まあ、彼にはそれなりの野心がある訳だからな。既にアゼルトと懇意の君には、釘を刺しておきたかったのかもしれない……うん?」
「クロードお兄様、どうかされましたか?」
「ああいや、なんだか外が騒がしい気がしてね……」
クロードお兄様は、話している途中で怪訝な顔をした。
しかし彼の言う外が騒がしいという言葉が、私にはわからない。何も聞こえないのだが。
「実は音には敏感なんだ。ここは特に人も来なくて静かな場所だからね。いつの間にかそうなっていたんだ」
「そうなんですか……それはすごいですね。でも、何かあったんでしょうか? 少し気になります」
「僕達には関係がないことだろうさ。これも一つの助言かな。そういう風に考えた方が楽なんだ」
「なるほど……」
クロードお兄様の言葉に、私は頷く。彼の言葉は、参考になる。アゼルトお兄様は、こういったことを私に学ばせたかったのだろう。
「でもすみません。私はそろそろ帰らないといけなんです」
「おや、何か用事でもあるのかい?」
「実は最近、礼儀や作法の指導をしてもらっているんです。既にご存知かもしれませんが、レシリア様という令嬢の時には、それで問題が起こったので」
「ああ、例の件のことか……」
基本的に暇を持て余していた私だが、レシリア様の事件があってからは、少々やることができていた。
その一つは、礼儀や作法の勉強である。それがなっていなかったばっかりに、レシリア様に絡まれることになったので、学んでおくことにしたのだ。
指導に関しては、アゼルトお兄様のお世話をしているシエーラ様が行ってくれている。とても厳しい指導だが、お陰で私の所作も以前と比べると幾分か良くなっているはずだ。
「君は真面目だな。僕なんてこの書庫に籠って人と関わらないようにしているから、礼儀や作法なんて知らないよ」
「クロードお兄様は強かですから、それで問題ないのではありませんかね?」
「僕はか弱いのだけれど、まあいいか。君もまた来るといい。僕はいつでも歓迎するよ」
「はい、それではまたお願いします」
クロードお兄様に一礼してから、私は書庫から出る。
ここにはまた来るとしよう。そう思いながら、私は周囲を見渡す。外が騒がしくなったと言われたが、特に何もないように思えるのだが。
「耳がいいんだなぁ……」
私は、クロードお兄様の耳の良さに感心しながら、書庫から出てすぐ近くにある階段を上った。
それで私は理解することになった。クロードお兄様が聞いた騒ぎというのが、何だったのかということを。
「そ、そうなのですか?」
イルガン殿下が出て行った後、クロードお兄様が言葉を発した。
彼は笑顔を浮かべている。ただその言葉は、信じて良いものなのだろうか。
イルガン殿下は、私が王位争いを混乱させると言っていた。それは多分事実なのだろうし、美しい云々を抜きにすると、口振りからして歓迎されていなかったように思えるのだが。
「彼の判断基準に根底には、美しさというものがある。彼はとりわけ、自身と親族を美しいと思うらしくてね。その時点で、一定の好感度は担保されていると思っていい」
「……なるほど」
クロードお兄様の言い分は、至極納得できるものだった。
イルガン殿下に関して、美しさ云々を抜きにして考えるのは愚かなことだったのだろう。
何はともあれ、過度に嫌われていないというなら安心できる。いや、彼に関しては本当に安心してもいいのか、微妙な所ではあるが。
「まあ、彼にはそれなりの野心がある訳だからな。既にアゼルトと懇意の君には、釘を刺しておきたかったのかもしれない……うん?」
「クロードお兄様、どうかされましたか?」
「ああいや、なんだか外が騒がしい気がしてね……」
クロードお兄様は、話している途中で怪訝な顔をした。
しかし彼の言う外が騒がしいという言葉が、私にはわからない。何も聞こえないのだが。
「実は音には敏感なんだ。ここは特に人も来なくて静かな場所だからね。いつの間にかそうなっていたんだ」
「そうなんですか……それはすごいですね。でも、何かあったんでしょうか? 少し気になります」
「僕達には関係がないことだろうさ。これも一つの助言かな。そういう風に考えた方が楽なんだ」
「なるほど……」
クロードお兄様の言葉に、私は頷く。彼の言葉は、参考になる。アゼルトお兄様は、こういったことを私に学ばせたかったのだろう。
「でもすみません。私はそろそろ帰らないといけなんです」
「おや、何か用事でもあるのかい?」
「実は最近、礼儀や作法の指導をしてもらっているんです。既にご存知かもしれませんが、レシリア様という令嬢の時には、それで問題が起こったので」
「ああ、例の件のことか……」
基本的に暇を持て余していた私だが、レシリア様の事件があってからは、少々やることができていた。
その一つは、礼儀や作法の勉強である。それがなっていなかったばっかりに、レシリア様に絡まれることになったので、学んでおくことにしたのだ。
指導に関しては、アゼルトお兄様のお世話をしているシエーラ様が行ってくれている。とても厳しい指導だが、お陰で私の所作も以前と比べると幾分か良くなっているはずだ。
「君は真面目だな。僕なんてこの書庫に籠って人と関わらないようにしているから、礼儀や作法なんて知らないよ」
「クロードお兄様は強かですから、それで問題ないのではありませんかね?」
「僕はか弱いのだけれど、まあいいか。君もまた来るといい。僕はいつでも歓迎するよ」
「はい、それではまたお願いします」
クロードお兄様に一礼してから、私は書庫から出る。
ここにはまた来るとしよう。そう思いながら、私は周囲を見渡す。外が騒がしくなったと言われたが、特に何もないように思えるのだが。
「耳がいいんだなぁ……」
私は、クロードお兄様の耳の良さに感心しながら、書庫から出てすぐ近くにある階段を上った。
それで私は理解することになった。クロードお兄様が聞いた騒ぎというのが、何だったのかということを。
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