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20.崩れ落ちた者
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「あぅ……」
静まり返っていた場に、音が響いた。
その鋭い重低音は、確かな痛みを想起させるものだ。
聞こえてきた方向に視線を向けると、ロダルト様が見える。どうやら彼が力なく膝をついているようだ。
その顔には、生気がない。それは当然のことであるだろう。
何せ彼は、公爵家を敵に回したのだ。その絶望は、私にも理解できる。
そんな彼を見下すマグナード様の表情も、明るいとは言い難い。
彼はどちらかというと、悲痛な表情を浮かべており、ロダルト様から目を離している。
本当は、彼を追い詰めたくはないのだろう。しかしそれでも、マグナード様は非情な判断を下した。それは貴族として、立派なことだと思う。
「……結果的に、口出しすることになってしまいましたね」
「ああいえ、その……申し訳ありません。私のせいで、あらぬ疑いをかけられることになってしまって」
「いいえ、それはあなたのせいではありませんよ」
そこでマグナード様は、私の方に視線を向けてきた。
その彼に、先程までの悲痛さはない。既に意識は、切り替わっているようだ。
ちなみに、ロダルト様は動かなくなっている。絶望によって、周囲の会話に耳を傾けることすらできていないようだ。
「あなたが僕との関係によって非難されることがあったら、どうぞ僕を頼ってください。これは僕にとっても問題ですからね。協力は惜しみません」
「ありがとうございます。正直、とても心強いです」
マグナード様の言葉に、私はそのような言葉を返していた。
それは、紛れもない私の本心だ。マグナード様及びビルドリム公爵家から助力してもらえるというのは、何よりも心強い事実だ。
もっとも、それに喜ぶことなどはできなかった。
明らかに気落ちしているマグナード様の前で、そんなことができるはずはない。
「さてと、そろそろ行きましょうか。彼はもう話ができる状態ではありません。とりあえず、一人にしておいてあげた方がいいでしょう。そのくらいの慈悲は、僕にもあります」
「そうですね……そっとしてあげておいた方がいいですよね」
マグナード様は、哀れむような視線をロダルト様に向けていた。
確かに、もうここにいる意味はない。ロダルト様のためにも、この場から離れるのが一番良さそうだ。
ビルドリム公爵家の助力がある以上、最早私がロダルト様に負けることはないだろう。
私は、ロダルト様の方を改めて見る。彼という人間は、色々と間違ってしまった。その代償はとても大きい。これから彼は、自分の短絡的な行動を存分に後悔することになるだろう。
静まり返っていた場に、音が響いた。
その鋭い重低音は、確かな痛みを想起させるものだ。
聞こえてきた方向に視線を向けると、ロダルト様が見える。どうやら彼が力なく膝をついているようだ。
その顔には、生気がない。それは当然のことであるだろう。
何せ彼は、公爵家を敵に回したのだ。その絶望は、私にも理解できる。
そんな彼を見下すマグナード様の表情も、明るいとは言い難い。
彼はどちらかというと、悲痛な表情を浮かべており、ロダルト様から目を離している。
本当は、彼を追い詰めたくはないのだろう。しかしそれでも、マグナード様は非情な判断を下した。それは貴族として、立派なことだと思う。
「……結果的に、口出しすることになってしまいましたね」
「ああいえ、その……申し訳ありません。私のせいで、あらぬ疑いをかけられることになってしまって」
「いいえ、それはあなたのせいではありませんよ」
そこでマグナード様は、私の方に視線を向けてきた。
その彼に、先程までの悲痛さはない。既に意識は、切り替わっているようだ。
ちなみに、ロダルト様は動かなくなっている。絶望によって、周囲の会話に耳を傾けることすらできていないようだ。
「あなたが僕との関係によって非難されることがあったら、どうぞ僕を頼ってください。これは僕にとっても問題ですからね。協力は惜しみません」
「ありがとうございます。正直、とても心強いです」
マグナード様の言葉に、私はそのような言葉を返していた。
それは、紛れもない私の本心だ。マグナード様及びビルドリム公爵家から助力してもらえるというのは、何よりも心強い事実だ。
もっとも、それに喜ぶことなどはできなかった。
明らかに気落ちしているマグナード様の前で、そんなことができるはずはない。
「さてと、そろそろ行きましょうか。彼はもう話ができる状態ではありません。とりあえず、一人にしておいてあげた方がいいでしょう。そのくらいの慈悲は、僕にもあります」
「そうですね……そっとしてあげておいた方がいいですよね」
マグナード様は、哀れむような視線をロダルト様に向けていた。
確かに、もうここにいる意味はない。ロダルト様のためにも、この場から離れるのが一番良さそうだ。
ビルドリム公爵家の助力がある以上、最早私がロダルト様に負けることはないだろう。
私は、ロダルト様の方を改めて見る。彼という人間は、色々と間違ってしまった。その代償はとても大きい。これから彼は、自分の短絡的な行動を存分に後悔することになるだろう。
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