妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?

木山楽斗

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4.顔色が悪いのは

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「おや、お二人とも、来ていましたか」
「え? ああ、リオネル様。おはようございます」
「ええ、おはようございます」

 話をしていた私とトゥーリア嬢の元に、とある人物がやって来た。
 彼は、リオネル様。王弟であるランバース公爵家の長男だ。
 トゥーリア嬢と同じように、私はこういった場で何度も彼と顔を合わせていた。リオネル様は、慈善活動に熱心な人なのだ。

「おはようございます、リオネル様」
「トゥーリア嬢? どうかされましたか? なんだか、顔色が悪いみたいですが」
「いえ、なんでもありません。その……」
「?」

 私に視線を向けるトゥーリア嬢に対して、リオネル様は首を傾げていた。
 私達が話していたのは、エポイル伯爵家とデュオーラム伯爵家の事情だ。部外者である彼には、話すべきではないことだ。
 故に私も、苦笑いを浮かべておく。これでリオネル様も、ある程度は察してくれるのではないだろうか。

「ああ、そういえばアルリア嬢はご婚約が決まったのですよね。小耳に挟みました」
「あ、はい。そうなんです」
「おめでとうございます、でいいんですよね?」
「まあ、そうですね。めでたいことだとは思っています」

 事情を察したのか、リオネル様は祝福の言葉を口にした。
 ただ彼は、歯切れが悪い。私の婚約に問題があるということまで、察してしまったようだ。
 しかし私の方から、何かを言う訳にもいかない。ここは流してもらうしかないだろう。

「んっ……」
「トゥーリア嬢?」

 どうしたものかとトゥーリア嬢の方を見た私は、少し驚くことになった。
 思っていた以上に、彼女の顔色が悪いのだ。それはどう考えても、先程の話だけでなるものではない。
 そんなことを思っていると、トゥーリア嬢の体が少し傾いた。私は咄嗟に、それを受け止める。

「トゥーリア嬢! どうしたのですか?」
「す、すみません。少し眩暈が……」
「……熱い」

 トゥーリア嬢の体温を感じて、私は彼女の体に異変が起きているということに気付いた。
 その体は、熱を帯びている。どう考えたって、普通の状態ではない。恐らく彼女は、風邪を引いていたのだ。

「トゥーリア嬢、熱があるようです」
「そ、そういえば、今朝からなんとなく変な気はしていたような……」
「リオネル様、すみませんが、誰か呼んでいただけますか?」
「ええ、もちろんです。少しお待ちください」

 私が頼むと、リオネル様はすぐに動いてくれた。
 すると程なくして、使用人がやって来る。彼女達は、デュオーラム伯爵家の使用人だ。トゥーリア嬢について来ていた人達だろう。
 その人達にトゥーリア嬢の体を預けた後、私はリオネル様の方を見た。彼は私のことを、推し量るような目で見つめている。

「……私も念のために病院に行った方が良さそうですね?」
「……そうですね。ずっと話していたようですし」

 今日は慈善活動には参加しない方がいいだろう。トゥーリア嬢とずっと話していた私は、風邪がうつっている可能性がある。
 せっかくなので、私もトゥーリア嬢に同行するとしよう。お医者様に話も聞いておきたいし。
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