妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?

木山楽斗

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3.実の妹にとって

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 エポイル伯爵家とデュオーラム伯爵家の婚約が決まったのは、もちろんその婚約がお互いにとって利益となるものだったからだ。
 ただ、その婚約の始まりというものには、私が関係している。より正確に言えば、私とデュオーラム伯爵家の長女トゥーリア嬢だといえるだろうか。

 私は彼女と、慈善活動の場で知り合った。
 お互いに偶然、同じ場での活動に参加しており、私達はそれからも何度か会話を交わすようになったのである。
 その事実を、私達はお互いの両親に伝えていた。その結果、二つの家の間で婚約関係が結ばれることになったのである。

「トゥーリア嬢、お久し振りですね」
「ええ、お久し振りです、アルリア嬢」

 お互いの家族への紹介以来、トゥーリア嬢とは顔を合わせる機会がなかった。
 故に久方振りの再会ということになるのだが、彼女の様子はどうにもおかしかった。私の方を見て、気まずそうにしているのだ。

「……トゥーリア嬢、どうかしましたか?」
「え?」
「その、私に対して何か言いたいことがあるのではないでしょうか? 表情から、そんな感じがしたのですが……」
「それは……」

 私の質問に、トゥーリア嬢は言葉を詰まらせていた。
 どうやら、予測は間違っていないようだ。彼女は確実に、私に何か言いたがっている。
 しかしそれは、言いにくいことであるのだろう。とりあえず私は、トゥーリア嬢からの言葉を待ってみることにする。

「……家同士の問題である故に、言うべきかどうか迷っていましたが」

 トゥーリア嬢は、私の方を少し上目遣いで見ながら言葉を発した。
 その表情からはなんというか、申し訳なさのようなものが伝わってくる。その言動によって、私は彼女が誰のことを言おうとしているのか理解した。

「先日、アルリア嬢はお兄様からレメティア嬢のことを紹介されましたよね?」
「え? ええ……」
「お兄様と彼女の関係性は、はっきりと言って歪なものです。本人達は兄妹などと言っていますが、あれはもっとおぞましいものであるような気がします」

 トゥーリア嬢は、その表情を歪めていた。
 実の妹である彼女からすれば、チャルリオ様とレメティア嬢の関係は、とても気持ちが悪いものだろう。私だって、お兄様が赤の他人を妹だと言い出したら引くに決まっている。

 しかしながら、彼女も決定的な何かを知っているという訳でもないらしい。二人が男女の関係であるとか、そういうことではないということだろう。
 ただ、それはそれで奇妙なものである。まだ男女の関係と言われた方が、腑に落ちたかもしれない。トゥーリア嬢が言う通り、二人の関係はとにかく歪に思えてしまう。
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