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21.彼女の行方は
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ラウヴァン殿下は、現在王城の地下牢に監禁されている。すぐにそこからは、移動することになるだろう。国王様はその準備を急いでいる。
その動きに関して、貴族達に悟られる可能性は充分あるだろう。これだけのことを隠すのは難しい。
とはいえ、ばれたからといってそこまで問題ではないとも考えられる。王家としては、白を切って切り抜ければいい。ラウヴァン殿下の所業は周知されているし、今更彼を助けるような者はいないだろう。
「……ソネリアはまだ、ナシャール王国にいるのでしょうか?」
「それはわかりませんね。兄上は途中で別れたと言っていましたが……」
ラウヴァン殿下は、ソネリアが現在どこにいるのか知らないという。なんでも金を奪われた彼は、ナシャール王国の王太子と接触できなかったことで、こちらに戻った方が良いという判断を下したようだ。
その際、ソネリアのことは置いてきたらしい。彼はなけなしのお金を運賃として、なんとか王城まで戻ってきたのだ。
「まあ、ソネリアに関してはラウヴァン殿下の身柄よりも軽いものですからね。そこまで気にする必要があることではないのかもしれませんが……」
「そのような言い方をしたくはありませんね……とはいえ、否定はできません。正直兄上の身柄を確保できたことで、僕は安心してしまっています」
王家の血を引くラウヴァン殿下は、追放されたといってもそれなりの価値を持つものだった。
例えば、彼の命を人質にラスタード王国側に要求するという動きなどがあったかもしれない。その場合は多分見捨てていただろうが、その選択を取ったという事実は良いものではないといえる。
さらに言えば、ラスタード王国への侵攻などの口実にされることなども、あり得ない話という訳ではなかった。
ラウヴァン殿下は確保できるなら確保しておきたかった存在だ。その点ソネリアにはそういったことはない。少なくともラウヴァン殿下程に影響力はないだろう。
「しかし、兄上の動きは早計だったともいえますね。金を盗まれたとはいえ、それで戻って来るなんて……」
「リオレス殿下は、お金を取り返せる可能性があったと思っていらっしゃるのですか?」
「可能性はあったといえます。兄上は随分とお金を持って行っていましたからね。それを持って王都から抜け出すのは容易ではありません」
「それならソネリアはお金を取り戻しているかもしれませんね……その場合、あちらの国でそれなりに平和に暮らしているのでしょうか……」
ソネリアに関して色々と思う所はあるとはいえ、流石に野垂れ死んで欲しいと思っている訳ではない。そう思えるくらいに、私は情を抱いてしまっている。
「……リオレス殿下、ユーリア嬢!」
私達がそんな話をしていると、兵士が慌てた様子でこちらにやって来た。
私は、リオレス殿下と顔を見合わせる。兵士は明らかに、何か問題があるという様子だったからだ。
私達は、少し気を引き締める。問題が起こっているというならば、それに対処しなければならない。それが私達の使命なのだから。
「何かあったのですか?」
「はい。王城に訪問者がありました。恐らく、ソネリア嬢かと……」
「ソネリア嬢……彼女も帰って来たという訳ですか」
兵士の言葉に、私達は驚いていた。
噂をすれば、といった所だろうか。どうやらソネリアは、少なくとも無事に王城までは帰って来られたらしい。
その動きに関して、貴族達に悟られる可能性は充分あるだろう。これだけのことを隠すのは難しい。
とはいえ、ばれたからといってそこまで問題ではないとも考えられる。王家としては、白を切って切り抜ければいい。ラウヴァン殿下の所業は周知されているし、今更彼を助けるような者はいないだろう。
「……ソネリアはまだ、ナシャール王国にいるのでしょうか?」
「それはわかりませんね。兄上は途中で別れたと言っていましたが……」
ラウヴァン殿下は、ソネリアが現在どこにいるのか知らないという。なんでも金を奪われた彼は、ナシャール王国の王太子と接触できなかったことで、こちらに戻った方が良いという判断を下したようだ。
その際、ソネリアのことは置いてきたらしい。彼はなけなしのお金を運賃として、なんとか王城まで戻ってきたのだ。
「まあ、ソネリアに関してはラウヴァン殿下の身柄よりも軽いものですからね。そこまで気にする必要があることではないのかもしれませんが……」
「そのような言い方をしたくはありませんね……とはいえ、否定はできません。正直兄上の身柄を確保できたことで、僕は安心してしまっています」
王家の血を引くラウヴァン殿下は、追放されたといってもそれなりの価値を持つものだった。
例えば、彼の命を人質にラスタード王国側に要求するという動きなどがあったかもしれない。その場合は多分見捨てていただろうが、その選択を取ったという事実は良いものではないといえる。
さらに言えば、ラスタード王国への侵攻などの口実にされることなども、あり得ない話という訳ではなかった。
ラウヴァン殿下は確保できるなら確保しておきたかった存在だ。その点ソネリアにはそういったことはない。少なくともラウヴァン殿下程に影響力はないだろう。
「しかし、兄上の動きは早計だったともいえますね。金を盗まれたとはいえ、それで戻って来るなんて……」
「リオレス殿下は、お金を取り返せる可能性があったと思っていらっしゃるのですか?」
「可能性はあったといえます。兄上は随分とお金を持って行っていましたからね。それを持って王都から抜け出すのは容易ではありません」
「それならソネリアはお金を取り戻しているかもしれませんね……その場合、あちらの国でそれなりに平和に暮らしているのでしょうか……」
ソネリアに関して色々と思う所はあるとはいえ、流石に野垂れ死んで欲しいと思っている訳ではない。そう思えるくらいに、私は情を抱いてしまっている。
「……リオレス殿下、ユーリア嬢!」
私達がそんな話をしていると、兵士が慌てた様子でこちらにやって来た。
私は、リオレス殿下と顔を見合わせる。兵士は明らかに、何か問題があるという様子だったからだ。
私達は、少し気を引き締める。問題が起こっているというならば、それに対処しなければならない。それが私達の使命なのだから。
「何かあったのですか?」
「はい。王城に訪問者がありました。恐らく、ソネリア嬢かと……」
「ソネリア嬢……彼女も帰って来たという訳ですか」
兵士の言葉に、私達は驚いていた。
噂をすれば、といった所だろうか。どうやらソネリアは、少なくとも無事に王城までは帰って来られたらしい。
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