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23.二人の末路
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「……」
自らの完全な負けを悟ったのか、ソネリアはなんとも無気力になっていた。
彼女には最早、何かをする気力は残っていないらしい。牢屋の中で項垂れるソネリアを見ながら、私はそう思っていた。
もちろん、私のソネリアを見る目は確かなものではないため、彼女が演技をしているだけという可能性もある。
ただどちらにしても、ソネリアが何かすることはできない。王城の牢屋に捕まっている限り、それは不可能なことだ。
「……ユーリア嬢、こちらへどうぞ」
「リオレス殿下……」
「少々衝撃的なものかもしれません。とにかく、気を確かに持っておいてください」
私は、少し気を引き締めてからリオレス殿下についていく。次の目的地は、ラウヴァン殿下の牢屋だ。ソネリアの来訪によって、彼にも変化があったらしい。
という訳で私は少し離れた場所に位置する、ラウヴァン殿下の牢屋までやって来た。その中で彼は、隅っこの方で丸まっている。
「ラウヴァン殿下……」
「うわあああああ!」
私が声をかけてみると、辺りにラウヴァン殿下の声が響いた。
それは恐怖の声だ。彼は私に、怯えているらしい。声をかけただけで、この有様とはなんとも驚きだ。
「ソネリア嬢が何をしようとしていたのか、それを聞いてから兄上はこうなりました」
「……驚きました。まさかラウヴァン殿下がここまで臆病だったなんて」
「そうですね。僕も驚いています。もちろん、元より臆病な部分があることはわかっていましたが、少なからず愛していたソネリア嬢に裏切られたことが大きかったのでしょうか? 先に裏切ったのは兄上の方ですが」
ラウヴァン殿下の反応は、過剰なものだといえた。ただそれはきっと、彼なりに今回の件を色々と考えた結果なのだろう。
当然のことながら、私もリオレス殿下もラウヴァン殿下を恨むような立場だ。ソネリアのことがあったから、警戒しているのかもしれない。命を狙われるということに関して。
それが一過性のものかどうかはわからない。ただしばらくの間、ラウヴァン殿下は言い知れぬ恐怖と戦うことになりそうだ。
「もしかしたら駆け落ちしたのも、王太子という地位に対する責任から逃れるためだったのかもしれませんね……」
「そのかの可能性は、ないとは言い切れませんね。ともあれこれで、兄上もしばらくの間大人しくしていることでしょう。少々辛辣な言い方かもしれませんが、不安が一つなくなったといえます」
ラウヴァン殿下とソネリアの現状は、私達にとっては都合が良いものだった。
大人しくしてくれるというなら、それに越したことはない。その間になんとか、ラスタード王国を取りまとめたいものだ。
自らの完全な負けを悟ったのか、ソネリアはなんとも無気力になっていた。
彼女には最早、何かをする気力は残っていないらしい。牢屋の中で項垂れるソネリアを見ながら、私はそう思っていた。
もちろん、私のソネリアを見る目は確かなものではないため、彼女が演技をしているだけという可能性もある。
ただどちらにしても、ソネリアが何かすることはできない。王城の牢屋に捕まっている限り、それは不可能なことだ。
「……ユーリア嬢、こちらへどうぞ」
「リオレス殿下……」
「少々衝撃的なものかもしれません。とにかく、気を確かに持っておいてください」
私は、少し気を引き締めてからリオレス殿下についていく。次の目的地は、ラウヴァン殿下の牢屋だ。ソネリアの来訪によって、彼にも変化があったらしい。
という訳で私は少し離れた場所に位置する、ラウヴァン殿下の牢屋までやって来た。その中で彼は、隅っこの方で丸まっている。
「ラウヴァン殿下……」
「うわあああああ!」
私が声をかけてみると、辺りにラウヴァン殿下の声が響いた。
それは恐怖の声だ。彼は私に、怯えているらしい。声をかけただけで、この有様とはなんとも驚きだ。
「ソネリア嬢が何をしようとしていたのか、それを聞いてから兄上はこうなりました」
「……驚きました。まさかラウヴァン殿下がここまで臆病だったなんて」
「そうですね。僕も驚いています。もちろん、元より臆病な部分があることはわかっていましたが、少なからず愛していたソネリア嬢に裏切られたことが大きかったのでしょうか? 先に裏切ったのは兄上の方ですが」
ラウヴァン殿下の反応は、過剰なものだといえた。ただそれはきっと、彼なりに今回の件を色々と考えた結果なのだろう。
当然のことながら、私もリオレス殿下もラウヴァン殿下を恨むような立場だ。ソネリアのことがあったから、警戒しているのかもしれない。命を狙われるということに関して。
それが一過性のものかどうかはわからない。ただしばらくの間、ラウヴァン殿下は言い知れぬ恐怖と戦うことになりそうだ。
「もしかしたら駆け落ちしたのも、王太子という地位に対する責任から逃れるためだったのかもしれませんね……」
「そのかの可能性は、ないとは言い切れませんね。ともあれこれで、兄上もしばらくの間大人しくしていることでしょう。少々辛辣な言い方かもしれませんが、不安が一つなくなったといえます」
ラウヴァン殿下とソネリアの現状は、私達にとっては都合が良いものだった。
大人しくしてくれるというなら、それに越したことはない。その間になんとか、ラスタード王国を取りまとめたいものだ。
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