小学生をもう一度

廣瀬純七

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新しい一日の終わり

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学校の一日が終わり、翔子は美紀と一緒に下校していた。夕暮れの空がオレンジ色に染まり、街全体が穏やかな静けさに包まれている。  

「今日は楽しかったね、翔子ちゃん!」  
美紀は隣を歩きながら笑顔で話しかけてきた。翔子は頷きながら、慣れない小学校生活で感じた緊張と楽しさを思い返していた。  

「うん、楽しかったけど、ちょっと疲れたかな。」  
「そりゃそうだよね。新しいクラスって最初はみんな緊張するもん。でも、翔子ちゃんはすぐ馴染んでたよ!」  
美紀の言葉に励まされ、翔子は自然と微笑みを浮かべた。  

「ありがとう、美紀ちゃん。」  
二人は角を曲がり、それぞれの家が見える道に差し掛かった。  
「じゃあ、また明日ね!」  
「うん、また明日。」  

美紀が手を振りながら家に入るのを見届けた後、翔子は自分の家の玄関を開けた。  

---

### **家でのひととき**  

靴を脱ぎ、ランドセルを下ろすと、体中の力が抜けた。リビングでは母親が夕飯の支度をしており、心地よい匂いが漂っていた。  

「翔子、おかえり。今日はどうだった?」  
母親の声に、翔子は少し考えてから答えた。  
「うん、楽しかったけど、ちょっと不思議な感じだった。」  

「そう?新しい環境だからね。慣れるまでは仕方ないわ。でも、翔子ならきっとうまくやっていけると思うよ。」  
母親の言葉に励まされ、翔子は軽く頷いた。  

夕飯を済ませた後、翔子は自分の部屋で少しだけ勉強をした。小学生の教科書は簡単すぎて物足りないと感じたが、それでも一つ一つこなしていくことで「翔子」としての自分を理解しようとしているようだった。  

---

### **お風呂の時間**  

夜になり、翔子は浴室に向かった。服を脱ぎ、鏡に映った自分の姿を見つめる。そこに映っているのは、自分が長年見慣れてきた「翔太」ではなく、可愛らしい小学生の女の子だった。  

「これが、今の自分か…。」  
思わず独り言を漏らしながら、翔子は湯船に浸かった。暖かいお湯が体を包み込み、今日一日の疲れが少しずつ溶けていくようだった。  

---

### **未来への不安と希望**  

翔子はお湯に浸かりながら、今日の出来事を思い返していた。美紀と一緒に教室で過ごした時間、授業で感じた緊張、そして女子トイレでの新しい体験。すべてが新鮮で、同時に戸惑いの連続だった。  

「これからどうなるんだろう…?」  
元の「翔太」に戻る方法が分からないまま、翔子はこの状況をどう受け入れるべきか悩んでいた。しかし、美紀の笑顔やクラスメイトたちの親しげな様子を思い出すと、心の中に少しだけ希望が芽生えた。  

「もしかしたら、これは新しい自分を見つけるチャンスなのかもしれない。」  

そう思うと、少しだけ気持ちが楽になった。お風呂から上がり、髪を乾かしてパジャマに着替えた翔子は、自分の布団に潜り込んだ。  

窓の外には星が輝き、静かな夜が広がっている。翔子は新しい生活への不安と期待を胸に抱きながら、ゆっくりと目を閉じた。  

「明日は、もっと頑張ってみよう。」  

そう心に誓いながら、翔子は深い眠りに落ちていった。  
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