小学生をもう一度

田中直人

### **「登校中のいたずら」**  

次の日の朝、翔子はランドセルを背負い、近所の道を歩いて学校に向かっていた。少しひんやりとした朝の空気が心地よく、昨日の緊張もだいぶ和らいでいた。幼馴染の美紀は今日は少し用事があるとかで、先に行くと言っていたため、一人での登校だった。  

道の先には、同じクラスの田中直人の姿があった。直人はいつも元気いっぱいで、クラスの中でもやんちゃな存在だ。翔子が近づくと、直人はニヤニヤしながら待ち構えていた。  

「おーい、翔子！」  
彼は手を振りながら駆け寄ってきた。  

「おはよう、直人くん。」  
翔子は少しぎこちないながらも挨拶を返した。  

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### **ちょっかいを出す直人**  

「昨日、女子トイレに入ってたの、見たぞー！」  
直人が急に大声で言うと、翔子は驚いて足を止めた。  

「えっ、それは…女子なんだから当たり前でしょ！」  
翔子は少しムキになって答えた。体は女の子だし、それが自然なのだが、まだ自分の中で完全に受け入れられていない部分があるため、直人の言葉が引っかかった。  

「でもさー、なんか変な感じするんだよなー。翔子って前より、ちょっと大人っぽくなった気がするし。」  
直人はランドセルを肩にかけ直しながら、いたずらっぽい笑みを浮かべた。  

「そんなことないよ！」  
翔子は顔を赤くしながら否定したが、直人の言葉が少し気になった。  

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### **直人の意地悪**  

「じゃあさ、翔子って走るの速いの？ 女の子ってみんな遅いイメージあるけど！」  
直人は急に走り出して、振り返りながら挑発するように言った。  

「速いよ！見てなさい！」  
翔子も思わず直人の後を追いかけた。気づけば二人で競争をしているような形になり、全力で走ると、翔子の方が少し早く前に出た。  

「えっ、マジで速いじゃん！」  
直人は息を切らしながら驚いた表情を見せた。  

翔子は得意げに笑った。「言ったでしょ！」  

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### **少し特別な関係**  

学校の門に着くと、直人はまだ少し息を切らしながら翔子を見ていた。  
「やっぱ、翔子って普通の女子と違うよな。」  

「どういう意味？」  
翔子は少しムッとして問い返したが、直人はふっと笑って言った。  
「別に悪い意味じゃないよ。なんか…翔子と一緒にいると面白いし、楽しいってだけ！」  

その言葉に、翔子は意表を突かれたような気分になった。でも、なんだか嬉しくもあった。  

「ありがとう、直人くん。」  
翔子は軽く微笑みながら、校舎の中へと足を踏み入れた。  

翔子にとって、直人の存在はまだ謎めいていたが、彼の無邪気な振る舞いがどこか安心感を与えてくれる気もしていた。これからどんな日々が待っているのか、翔子は少しだけ楽しみになっていた。