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第8話 幸福のかたち
〇
季節はゆっくりと巡り、わたしたちの婚約発表から一年が経とうとしていた。
王都は今日も活気に満ちている。市場には新しい季節の果実が並び、子どもたちの笑い声が通りに響き、広場では新王と王太子妃への祝辞が歌として歌われていた。
――その光景の中で、かつて「無価値」と言われたわたしが、今は人々の幸せを見守る立場にいるのだと思うと、今でも胸の奥が熱くなる。
朝、王宮の執務室に入ると、窓辺でアレクシスが書類に目を通していた。長い指先がすらりと紙をめくり、鋭い眼差しがひとつひとつを確認している。彼のそうした姿を見ていると、今でもふと息をするのを忘れてしまうほどだ。
「おはようございます、殿下」
「おはよう、レティシア。今日は視察の日ですね。少し緊張していますか?」
「少しだけ。でも、楽しみのほうが大きいですわ。民の暮らしをこの目で見ることができるのは、貴重な経験ですもの」
「ええ。それに、今日の視察はあなたが提案してくれたものです。民の声を聞き、共に歩む王政を――あなたの言葉が、王国の方針を大きく変えた」
彼の言葉に頬が熱くなった。
ほんの一年前、誰にも耳を傾けてもらえなかったわたしの意見が、今は“王国の未来”を形作る力の一端を担っている。夢のような変化だが、それは確かに現実だった。
◇
馬車に乗り、王都の郊外へ向かう。車窓の外には、緑の大地がどこまでも広がっていた。季節は春から初夏へと移り変わり、野原には色とりどりの花が咲き誇っている。そんな景色を眺めながら、わたしはふと、かつての自分を思い出した。
――あの頃のわたしは、いつも下ばかり見て歩いていた。
“自分には何もない”と信じ込み、未来に何の希望も持てなかった。
けれど今は、まっすぐ前を見ている。隣には彼がいて、手を取り合って歩いている。
「レティシア」
思考の中にいたわたしを、アレクシスの声が優しく呼び戻す。
「何を考えていたのですか?」
「昔のことを、少しだけ。……今がどれほど幸せなのか、改めて感じていました」
「私も同じです。あなたがいてくれるだけで、すべてが意味を持つ。王としての責務も、未来への不安も、あなたと共にいることで乗り越えられる気がするのです」
その言葉に胸が温かくなる。
――愛されるということは、こんなにも力になるものなのだと、わたしは初めて知った。
◇
視察先は、王都から少し離れた小さな村だった。
かつては荒廃していたこの土地も、近年の政策で少しずつ活気を取り戻しつつある。村人たちは畑で働き、子どもたちは学校で学び、広場では人々が集まって歌を歌っていた。
「陛下! 王妃様! ようこそいらっしゃいました!」
村長が駆け寄り、深く頭を下げる。彼の顔は希望に満ちていた。
「皆さんの暮らしが少しずつ良くなっていると聞きました。詳しくお話を伺わせていただけますか?」
「ええ、もちろんですとも! 水路が整備されて畑の収穫が増えましたし、子どもたちが読み書きを覚えるようになりました。……それも、王妃様が提案された“民の声を聞く制度”のおかげです」
驚きに息をのむ。
あのとき、ほんの思いつきのように口にした提案が、こうして実を結んでいるなんて――。
「わたしの提案なんて、ほんの小さなものですわ。でも、こうして形になるのを見られて、とても嬉しいです」
「小さな声が大きな力になるのです。あなたが教えてくれたでしょう?」
アレクシスがそう言って笑う。その笑顔が、どんな褒美よりも誇らしかった。
◇
村の人々と共に食卓を囲み、子どもたちの話に耳を傾ける。
「大きくなったら王宮で働きたい!」と無邪気に笑う少年。
「お花屋さんになって王妃様に花束を届けたい」と照れながら言う少女。
彼らの言葉ひとつひとつが、未来の輝きのように感じられた。
――これが、“幸福”というものなのかもしれない。
かつては“ざまあ”という言葉に憧れ、誰かに勝つことだけを望んでいた。けれど今は違う。
“誰かの笑顔の理由になる”ことこそが、本当の勝利なのだと心から思える。
◇
視察を終えて王都へ戻る帰り道、アレクシスがふと口を開いた。
「レティシア。今日の君の姿を見て、改めて確信しました。私は君となら、どんな未来でも恐れずに進める」
「……わたしもです。殿下と出会って、わたしの世界はこんなにも広がりました」
「では――そろそろ次の段階へ進みませんか?」
彼は優しくわたしの手を取った。その瞳は、どこまでも真っ直ぐで、揺るぎない決意を宿している。
「レティシア・アルバーン。私と結婚してください。今度は“婚約者”ではなく、“妻”として、人生を共に歩んでほしい」
時が止まったようだった。胸の奥で鼓動が激しく鳴り、目の奥が熱くなる。
涙があふれそうになりながら、わたしは彼の瞳を見つめ返した。
「……はい。喜んで、お受けいたします」
言葉と同時に、世界が静かに動き出す。
彼の笑顔、夜風の香り、遠くで鳴る鐘の音――すべてが幸福の音色のように聞こえた。
◇
その日、馬車の窓から見えた夕焼けは、生涯忘れられないほど美しかった。
かつて“いじめられっこ”だった少女は、今、愛する人と共に未来を歩もうとしている。
そしてその未来は、復讐やざまあではなく、“優しさと希望”で満たされていた。
――幸福とは、誰かを打ち負かすことではない。
大切な人と手を取り合い、共に笑い合うことなのだ。
わたしはそっとアレクシスの手を握りしめた。
この手を、もう二度と離さない。
そして、どこまでも共に歩んでいくのだと、心から誓った。
△
それからの日々は、穏やかで、けれどめまぐるしく過ぎていった。王家の正式な結婚式に向けて、準備は早くも始まり、王宮は昼も夜も慌ただしく人の出入りが絶えない。各地から届けられる祝電や贈り物、諸外国からの使節団との会談、そしてドレスや式次第の打ち合わせ……。ひとつひとつが現実味を増すたびに、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「レティシア様、こちらが式用のティアラ案ですわ」
「こちらは王家の紋章をあしらったマントでございます」
「指輪のデザインも、殿下がすべてお決めになりました」
侍女たちが差し出す品々はどれも見事なものばかりで、まるで夢の中にいるようだった。だが、夢ではない。
――あの日、涙をこらえながら廊下の影で一人きりだったわたしが、今は“王妃になるための準備”をしているのだ。
そう思うと、胸の奥が静かに震えた。
「……少し、信じられない気分ですわ」
呟いたわたしに、傍らで帳簿を整理していたメアリが微笑んだ。
「信じられなくても、現実です。あなたはもう、誰かの後ろで怯えていた令嬢ではありません。これからは“国の顔”として、人々に笑顔を与える存在になるのですわ」
「……ありがとう、メアリ。あなたがいてくれて、本当によかった」
「ふふ。こちらこそ、最初から見てこられたことが誇りですわ。あの頃の涙も、今ではすべて意味がありましたわね」
メアリの言葉に、わたしは静かに頷いた。
そう――あの苦しみも、孤独も、すべては今へと続く道だったのだ。
◇
準備が進む中で、わたしはもう一つ、大切なことを決めていた。
それは、「結婚式にあの人を招待する」こと――かつてわたしを嘲笑い、傷つけた張本人、セリーヌ・グラントだった。
なぜ、と自分でも思う。
けれど、彼女を憎む気持ちは、もう心の中に残っていなかった。
むしろ、あの過去があったからこそ今のわたしがあるのだと、どこかで感謝すらしていた。
「本当に招待状を出すのですか?」
「ええ。出席するかどうかは、彼女次第ですけれど」
アレクシスにそう告げたとき、彼は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「あなたらしい決断ですね。復讐ではなく、赦しを選ぶ――だからこそ、あなたはこんなにも強いのだ」
「赦すというより……過去を終わらせたいんです。あの頃のわたしに、ちゃんと“さよなら”を言いたいの」
「ならば、きっと彼女にもそれが伝わるでしょう」
◇
結婚式の前日、王宮の庭園は夜遅くまで灯りが消えなかった。
星空の下、アレクシスとふたりで歩きながら、わたしは静かに言葉を紡ぐ。
「ここまで来るのに、本当にいろいろなことがありましたね」
「ええ。でも、どの一歩も無駄ではなかった。苦しかった日々も、泣いた夜も、全部が今の私たちへと繋がっていた」
「……わたし、あの頃の自分に会えたら、こう言います。“大丈夫、ちゃんと報われるよ”って」
「きっと、今のあなたの姿を見たら、昔のあなたは信じられずに泣き出すでしょうね」
ふたりで顔を見合わせ、思わず笑ってしまう。
それは、ただの幸福の笑いではなかった。長い時間を共に歩んだからこそ、心からこぼれた、未来へと続く笑いだった。
◇
そして――ついに、結婚式当日がやってきた。
朝から王都は鐘の音に包まれ、人々は花びらを手に道に集まり、子どもたちは歌を歌っている。空は雲ひとつなく晴れ渡り、風はやさしく頬を撫でた。王宮の大広間は無数の灯りと花で飾られ、国中の貴族と来賓が列席している。
控室でドレスの裾を整えながら、鏡に映る自分を見つめた。純白の衣装に包まれたわたしは、あの日とはまるで別人のように凛としていた。だが、瞳の奥にはあの頃と同じ光――“前に進みたい”という意志が宿っていた。
「レティシア様、お時間です」
侍女の声に頷き、ゆっくりと歩き出す。
長い廊下を抜け、扉が開かれると、眩しいほどの光と人々の視線が一斉に降り注いだ。
その中央に、アレクシスが立っている。
王冠を戴いたその姿は堂々として美しく、そして、わたしだけを見つめていた。
――その瞬間、胸の奥がふっと軽くなった。
恐れも、不安も、もうどこにもない。わたしの心を満たしているのは、ただ“この人と生きていく”という確かな想いだけ。
◇
一歩、また一歩と、わたしは彼のもとへと歩み寄っていく。
その道は、かつての涙と絶望の道でもあった。けれど今は、希望と誇りへと続く道だ。
そして、手が触れ合ったとき、世界が静かに変わる。
彼の温もりが指先から広がり、心がひとつになる。
「――レティシア・アルバーン。私の妻として、共に未来を歩んでくれますか?」
「ええ。喜んで」
声を震わせながらも、はっきりとそう答えた瞬間、会場から大きな歓声と拍手が湧き起こった。
涙があふれ、頬を伝う。だがそれは、もう悲しみの涙ではない。過去を超え、未来へと踏み出すための、最初の涙だった。
◇
そのとき、参列者の列の中に、ひとり静かに席を立つ女性の姿があった。
――セリーヌ・グラント。
彼女は、誰よりも静かに拍手を送っていた。かつてのような高慢な表情はどこにもなく、そこにあったのは、深い後悔と、それを超えた“祝福”のまなざしだけだった。
その視線を受け止めながら、わたしは心の中でひとつだけ言葉を紡ぐ。
――ありがとう。あなたがいたから、わたしはここまで来られた。
そして、永遠の誓いの言葉が、堂々と王国中に響き渡った。
もう、“いじめられっこ”だった少女の物語は終わったのだ。
これから始まるのは、“愛する人と共に歩む、幸福の物語”なのだから。
◇
式の後半は、夢のような時間だった。誓いの言葉を交わした瞬間から、世界はひときわ眩しく輝きだしたように見えた。大広間の天井からは光が降り注ぎ、花々が香り立ち、人々の拍手と歓声が絶え間なく響く。
その中で、わたしはただひたすらにアレクシスの手を握りしめていた。何度も何度も確かめるように。――もう二度と離れないように。
「改めて、よろしくお願いしますわね、陛下」
「こちらこそ、未来永劫、よろしくお願いします。……愛している、レティシア」
「……わたしも、心から、あなたを愛しています」
互いの言葉が静かに交わされたとき、会場全体が息を呑んだような気がした。長い道のりを共に歩んできたふたりの物語が、ついに“終わり”ではなく“始まり”を迎えたのだ。
◇
式が終わると、城の中庭では盛大な祝宴が催された。
各地の料理が並べられ、音楽隊が陽気な旋律を奏で、踊り子たちが祝いの舞を披露する。来賓たちが次々と祝辞を述べる中、わたしはひとり、少し離れた場所で夜空を仰いでいた。
――あの頃のわたしが、今の光景を見たらどう思うだろう。
きっと信じられず、夢だと笑うかもしれない。
けれど、これは確かに現実だ。涙を流し、声を殺して歩いた夜のすべてが、この瞬間へとつながっていたのだから。
「こんな場所でひとりとは、らしくないですね」
背後から聞こえた声に振り返ると、アレクシスがワインのグラスを手に立っていた。優しい笑みを浮かべ、静かに隣へと歩み寄る。
「皆様とお話をされなくてもよろしいのですか?」
「ええ、今は何よりもあなたと話したい気分です。……それに、あなたがここにいると知っていましたから」
「ふふ、さすが陛下ですわ」
ふたりで顔を見合わせて笑う。その笑顔が、言葉以上にすべてを物語っていた。
互いにとって、最も大切な場所は“人々の中心”ではなく、“この隣”なのだと。
「これから先、きっと困難もあるでしょう。王妃として、あなたが背負うものは少なくありません」
「ええ、覚悟していますわ。どんな困難も、逃げずに受け止めます」
「それでも、私は約束します。どんなときでも、あなたをひとりにはしません。私たちは共にこの国を導く――ふたりで、未来をつくるのです」
その言葉は、誓いの言葉よりも強く、深く、心に響いた。
わたしは静かに頷き、彼の手を握る。指先に伝わる温もりは、何よりも確かな現実だった。
◇
夜が深まり、宴が終わるころ。王宮の外では、民たちが夜空に向かって灯りを放っていた。無数のランタンが空へと舞い上がり、まるで星々が地上から昇っていくようだった。
「きれい……」
「ええ。彼らなりの、私たちへの祝福の灯りです」
風に乗って舞い上がる光を見上げながら、わたしはそっと目を閉じる。
――この光の一つひとつが、人々の希望。
そして、わたしが守りたい未来そのものだ。
「レティシア、ひとつ聞かせてください」
「なんでしょう?」
「あなたにとって、“幸せ”とは何ですか?」
一瞬、答えに迷う。けれど、すぐに心の底から湧き上がる言葉があった。
「……誰かと比べることじゃありません。誰かを見返すことでもない。“今の自分”を誇れることです。そして、愛する人と共に歩めることですわ」
「――まさに、あなたらしい答えです」
アレクシスはそう言って微笑み、わたしの手をもう一度強く握った。
「では、その“幸せ”を、これからもふたりで守っていきましょう」
「はい。どこまでも、共に」
◇
宴が終わり、夜が静寂を取り戻したころ、ふたりで城の高台に上がった。眼下には灯りに照らされた王都が広がり、そのすべてがわたしたちの未来とつながっているように見えた。
「遠いですね、昔のわたしは」
「ええ。でも、彼女がいたからこそ今のあなたがいる。決して無駄な時間ではなかった」
「……そうですね。あの頃があったから、今を“幸せ”と呼べるのだと思います」
風が頬を撫で、星が瞬く。どこまでも静かで、どこまでも美しい夜だった。
この先、どれほどの試練が待っていようと、もう恐れはない。だって、隣にはこの手を離さない人がいるのだから。
「さあ、これからが本当の物語です」
「ええ、“終わり”ではなく、“始まり”ですわ」
見下ろす街の灯りが、まるで未来への道標のように輝いていた。
涙も、痛みも、憎しみも、すべてを越えて――今、わたしたちは“幸福”という場所へとたどり着いたのだ。
そして、その物語は、これからもずっと続いていく。
愛と信頼、そして誇りと共に――。
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季節はゆっくりと巡り、わたしたちの婚約発表から一年が経とうとしていた。
王都は今日も活気に満ちている。市場には新しい季節の果実が並び、子どもたちの笑い声が通りに響き、広場では新王と王太子妃への祝辞が歌として歌われていた。
――その光景の中で、かつて「無価値」と言われたわたしが、今は人々の幸せを見守る立場にいるのだと思うと、今でも胸の奥が熱くなる。
朝、王宮の執務室に入ると、窓辺でアレクシスが書類に目を通していた。長い指先がすらりと紙をめくり、鋭い眼差しがひとつひとつを確認している。彼のそうした姿を見ていると、今でもふと息をするのを忘れてしまうほどだ。
「おはようございます、殿下」
「おはよう、レティシア。今日は視察の日ですね。少し緊張していますか?」
「少しだけ。でも、楽しみのほうが大きいですわ。民の暮らしをこの目で見ることができるのは、貴重な経験ですもの」
「ええ。それに、今日の視察はあなたが提案してくれたものです。民の声を聞き、共に歩む王政を――あなたの言葉が、王国の方針を大きく変えた」
彼の言葉に頬が熱くなった。
ほんの一年前、誰にも耳を傾けてもらえなかったわたしの意見が、今は“王国の未来”を形作る力の一端を担っている。夢のような変化だが、それは確かに現実だった。
◇
馬車に乗り、王都の郊外へ向かう。車窓の外には、緑の大地がどこまでも広がっていた。季節は春から初夏へと移り変わり、野原には色とりどりの花が咲き誇っている。そんな景色を眺めながら、わたしはふと、かつての自分を思い出した。
――あの頃のわたしは、いつも下ばかり見て歩いていた。
“自分には何もない”と信じ込み、未来に何の希望も持てなかった。
けれど今は、まっすぐ前を見ている。隣には彼がいて、手を取り合って歩いている。
「レティシア」
思考の中にいたわたしを、アレクシスの声が優しく呼び戻す。
「何を考えていたのですか?」
「昔のことを、少しだけ。……今がどれほど幸せなのか、改めて感じていました」
「私も同じです。あなたがいてくれるだけで、すべてが意味を持つ。王としての責務も、未来への不安も、あなたと共にいることで乗り越えられる気がするのです」
その言葉に胸が温かくなる。
――愛されるということは、こんなにも力になるものなのだと、わたしは初めて知った。
◇
視察先は、王都から少し離れた小さな村だった。
かつては荒廃していたこの土地も、近年の政策で少しずつ活気を取り戻しつつある。村人たちは畑で働き、子どもたちは学校で学び、広場では人々が集まって歌を歌っていた。
「陛下! 王妃様! ようこそいらっしゃいました!」
村長が駆け寄り、深く頭を下げる。彼の顔は希望に満ちていた。
「皆さんの暮らしが少しずつ良くなっていると聞きました。詳しくお話を伺わせていただけますか?」
「ええ、もちろんですとも! 水路が整備されて畑の収穫が増えましたし、子どもたちが読み書きを覚えるようになりました。……それも、王妃様が提案された“民の声を聞く制度”のおかげです」
驚きに息をのむ。
あのとき、ほんの思いつきのように口にした提案が、こうして実を結んでいるなんて――。
「わたしの提案なんて、ほんの小さなものですわ。でも、こうして形になるのを見られて、とても嬉しいです」
「小さな声が大きな力になるのです。あなたが教えてくれたでしょう?」
アレクシスがそう言って笑う。その笑顔が、どんな褒美よりも誇らしかった。
◇
村の人々と共に食卓を囲み、子どもたちの話に耳を傾ける。
「大きくなったら王宮で働きたい!」と無邪気に笑う少年。
「お花屋さんになって王妃様に花束を届けたい」と照れながら言う少女。
彼らの言葉ひとつひとつが、未来の輝きのように感じられた。
――これが、“幸福”というものなのかもしれない。
かつては“ざまあ”という言葉に憧れ、誰かに勝つことだけを望んでいた。けれど今は違う。
“誰かの笑顔の理由になる”ことこそが、本当の勝利なのだと心から思える。
◇
視察を終えて王都へ戻る帰り道、アレクシスがふと口を開いた。
「レティシア。今日の君の姿を見て、改めて確信しました。私は君となら、どんな未来でも恐れずに進める」
「……わたしもです。殿下と出会って、わたしの世界はこんなにも広がりました」
「では――そろそろ次の段階へ進みませんか?」
彼は優しくわたしの手を取った。その瞳は、どこまでも真っ直ぐで、揺るぎない決意を宿している。
「レティシア・アルバーン。私と結婚してください。今度は“婚約者”ではなく、“妻”として、人生を共に歩んでほしい」
時が止まったようだった。胸の奥で鼓動が激しく鳴り、目の奥が熱くなる。
涙があふれそうになりながら、わたしは彼の瞳を見つめ返した。
「……はい。喜んで、お受けいたします」
言葉と同時に、世界が静かに動き出す。
彼の笑顔、夜風の香り、遠くで鳴る鐘の音――すべてが幸福の音色のように聞こえた。
◇
その日、馬車の窓から見えた夕焼けは、生涯忘れられないほど美しかった。
かつて“いじめられっこ”だった少女は、今、愛する人と共に未来を歩もうとしている。
そしてその未来は、復讐やざまあではなく、“優しさと希望”で満たされていた。
――幸福とは、誰かを打ち負かすことではない。
大切な人と手を取り合い、共に笑い合うことなのだ。
わたしはそっとアレクシスの手を握りしめた。
この手を、もう二度と離さない。
そして、どこまでも共に歩んでいくのだと、心から誓った。
△
それからの日々は、穏やかで、けれどめまぐるしく過ぎていった。王家の正式な結婚式に向けて、準備は早くも始まり、王宮は昼も夜も慌ただしく人の出入りが絶えない。各地から届けられる祝電や贈り物、諸外国からの使節団との会談、そしてドレスや式次第の打ち合わせ……。ひとつひとつが現実味を増すたびに、胸の奥が熱くなるのを感じた。
「レティシア様、こちらが式用のティアラ案ですわ」
「こちらは王家の紋章をあしらったマントでございます」
「指輪のデザインも、殿下がすべてお決めになりました」
侍女たちが差し出す品々はどれも見事なものばかりで、まるで夢の中にいるようだった。だが、夢ではない。
――あの日、涙をこらえながら廊下の影で一人きりだったわたしが、今は“王妃になるための準備”をしているのだ。
そう思うと、胸の奥が静かに震えた。
「……少し、信じられない気分ですわ」
呟いたわたしに、傍らで帳簿を整理していたメアリが微笑んだ。
「信じられなくても、現実です。あなたはもう、誰かの後ろで怯えていた令嬢ではありません。これからは“国の顔”として、人々に笑顔を与える存在になるのですわ」
「……ありがとう、メアリ。あなたがいてくれて、本当によかった」
「ふふ。こちらこそ、最初から見てこられたことが誇りですわ。あの頃の涙も、今ではすべて意味がありましたわね」
メアリの言葉に、わたしは静かに頷いた。
そう――あの苦しみも、孤独も、すべては今へと続く道だったのだ。
◇
準備が進む中で、わたしはもう一つ、大切なことを決めていた。
それは、「結婚式にあの人を招待する」こと――かつてわたしを嘲笑い、傷つけた張本人、セリーヌ・グラントだった。
なぜ、と自分でも思う。
けれど、彼女を憎む気持ちは、もう心の中に残っていなかった。
むしろ、あの過去があったからこそ今のわたしがあるのだと、どこかで感謝すらしていた。
「本当に招待状を出すのですか?」
「ええ。出席するかどうかは、彼女次第ですけれど」
アレクシスにそう告げたとき、彼は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
「あなたらしい決断ですね。復讐ではなく、赦しを選ぶ――だからこそ、あなたはこんなにも強いのだ」
「赦すというより……過去を終わらせたいんです。あの頃のわたしに、ちゃんと“さよなら”を言いたいの」
「ならば、きっと彼女にもそれが伝わるでしょう」
◇
結婚式の前日、王宮の庭園は夜遅くまで灯りが消えなかった。
星空の下、アレクシスとふたりで歩きながら、わたしは静かに言葉を紡ぐ。
「ここまで来るのに、本当にいろいろなことがありましたね」
「ええ。でも、どの一歩も無駄ではなかった。苦しかった日々も、泣いた夜も、全部が今の私たちへと繋がっていた」
「……わたし、あの頃の自分に会えたら、こう言います。“大丈夫、ちゃんと報われるよ”って」
「きっと、今のあなたの姿を見たら、昔のあなたは信じられずに泣き出すでしょうね」
ふたりで顔を見合わせ、思わず笑ってしまう。
それは、ただの幸福の笑いではなかった。長い時間を共に歩んだからこそ、心からこぼれた、未来へと続く笑いだった。
◇
そして――ついに、結婚式当日がやってきた。
朝から王都は鐘の音に包まれ、人々は花びらを手に道に集まり、子どもたちは歌を歌っている。空は雲ひとつなく晴れ渡り、風はやさしく頬を撫でた。王宮の大広間は無数の灯りと花で飾られ、国中の貴族と来賓が列席している。
控室でドレスの裾を整えながら、鏡に映る自分を見つめた。純白の衣装に包まれたわたしは、あの日とはまるで別人のように凛としていた。だが、瞳の奥にはあの頃と同じ光――“前に進みたい”という意志が宿っていた。
「レティシア様、お時間です」
侍女の声に頷き、ゆっくりと歩き出す。
長い廊下を抜け、扉が開かれると、眩しいほどの光と人々の視線が一斉に降り注いだ。
その中央に、アレクシスが立っている。
王冠を戴いたその姿は堂々として美しく、そして、わたしだけを見つめていた。
――その瞬間、胸の奥がふっと軽くなった。
恐れも、不安も、もうどこにもない。わたしの心を満たしているのは、ただ“この人と生きていく”という確かな想いだけ。
◇
一歩、また一歩と、わたしは彼のもとへと歩み寄っていく。
その道は、かつての涙と絶望の道でもあった。けれど今は、希望と誇りへと続く道だ。
そして、手が触れ合ったとき、世界が静かに変わる。
彼の温もりが指先から広がり、心がひとつになる。
「――レティシア・アルバーン。私の妻として、共に未来を歩んでくれますか?」
「ええ。喜んで」
声を震わせながらも、はっきりとそう答えた瞬間、会場から大きな歓声と拍手が湧き起こった。
涙があふれ、頬を伝う。だがそれは、もう悲しみの涙ではない。過去を超え、未来へと踏み出すための、最初の涙だった。
◇
そのとき、参列者の列の中に、ひとり静かに席を立つ女性の姿があった。
――セリーヌ・グラント。
彼女は、誰よりも静かに拍手を送っていた。かつてのような高慢な表情はどこにもなく、そこにあったのは、深い後悔と、それを超えた“祝福”のまなざしだけだった。
その視線を受け止めながら、わたしは心の中でひとつだけ言葉を紡ぐ。
――ありがとう。あなたがいたから、わたしはここまで来られた。
そして、永遠の誓いの言葉が、堂々と王国中に響き渡った。
もう、“いじめられっこ”だった少女の物語は終わったのだ。
これから始まるのは、“愛する人と共に歩む、幸福の物語”なのだから。
◇
式の後半は、夢のような時間だった。誓いの言葉を交わした瞬間から、世界はひときわ眩しく輝きだしたように見えた。大広間の天井からは光が降り注ぎ、花々が香り立ち、人々の拍手と歓声が絶え間なく響く。
その中で、わたしはただひたすらにアレクシスの手を握りしめていた。何度も何度も確かめるように。――もう二度と離れないように。
「改めて、よろしくお願いしますわね、陛下」
「こちらこそ、未来永劫、よろしくお願いします。……愛している、レティシア」
「……わたしも、心から、あなたを愛しています」
互いの言葉が静かに交わされたとき、会場全体が息を呑んだような気がした。長い道のりを共に歩んできたふたりの物語が、ついに“終わり”ではなく“始まり”を迎えたのだ。
◇
式が終わると、城の中庭では盛大な祝宴が催された。
各地の料理が並べられ、音楽隊が陽気な旋律を奏で、踊り子たちが祝いの舞を披露する。来賓たちが次々と祝辞を述べる中、わたしはひとり、少し離れた場所で夜空を仰いでいた。
――あの頃のわたしが、今の光景を見たらどう思うだろう。
きっと信じられず、夢だと笑うかもしれない。
けれど、これは確かに現実だ。涙を流し、声を殺して歩いた夜のすべてが、この瞬間へとつながっていたのだから。
「こんな場所でひとりとは、らしくないですね」
背後から聞こえた声に振り返ると、アレクシスがワインのグラスを手に立っていた。優しい笑みを浮かべ、静かに隣へと歩み寄る。
「皆様とお話をされなくてもよろしいのですか?」
「ええ、今は何よりもあなたと話したい気分です。……それに、あなたがここにいると知っていましたから」
「ふふ、さすが陛下ですわ」
ふたりで顔を見合わせて笑う。その笑顔が、言葉以上にすべてを物語っていた。
互いにとって、最も大切な場所は“人々の中心”ではなく、“この隣”なのだと。
「これから先、きっと困難もあるでしょう。王妃として、あなたが背負うものは少なくありません」
「ええ、覚悟していますわ。どんな困難も、逃げずに受け止めます」
「それでも、私は約束します。どんなときでも、あなたをひとりにはしません。私たちは共にこの国を導く――ふたりで、未来をつくるのです」
その言葉は、誓いの言葉よりも強く、深く、心に響いた。
わたしは静かに頷き、彼の手を握る。指先に伝わる温もりは、何よりも確かな現実だった。
◇
夜が深まり、宴が終わるころ。王宮の外では、民たちが夜空に向かって灯りを放っていた。無数のランタンが空へと舞い上がり、まるで星々が地上から昇っていくようだった。
「きれい……」
「ええ。彼らなりの、私たちへの祝福の灯りです」
風に乗って舞い上がる光を見上げながら、わたしはそっと目を閉じる。
――この光の一つひとつが、人々の希望。
そして、わたしが守りたい未来そのものだ。
「レティシア、ひとつ聞かせてください」
「なんでしょう?」
「あなたにとって、“幸せ”とは何ですか?」
一瞬、答えに迷う。けれど、すぐに心の底から湧き上がる言葉があった。
「……誰かと比べることじゃありません。誰かを見返すことでもない。“今の自分”を誇れることです。そして、愛する人と共に歩めることですわ」
「――まさに、あなたらしい答えです」
アレクシスはそう言って微笑み、わたしの手をもう一度強く握った。
「では、その“幸せ”を、これからもふたりで守っていきましょう」
「はい。どこまでも、共に」
◇
宴が終わり、夜が静寂を取り戻したころ、ふたりで城の高台に上がった。眼下には灯りに照らされた王都が広がり、そのすべてがわたしたちの未来とつながっているように見えた。
「遠いですね、昔のわたしは」
「ええ。でも、彼女がいたからこそ今のあなたがいる。決して無駄な時間ではなかった」
「……そうですね。あの頃があったから、今を“幸せ”と呼べるのだと思います」
風が頬を撫で、星が瞬く。どこまでも静かで、どこまでも美しい夜だった。
この先、どれほどの試練が待っていようと、もう恐れはない。だって、隣にはこの手を離さない人がいるのだから。
「さあ、これからが本当の物語です」
「ええ、“終わり”ではなく、“始まり”ですわ」
見下ろす街の灯りが、まるで未来への道標のように輝いていた。
涙も、痛みも、憎しみも、すべてを越えて――今、わたしたちは“幸福”という場所へとたどり着いたのだ。
そして、その物語は、これからもずっと続いていく。
愛と信頼、そして誇りと共に――。
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