パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第64話 新しい秩序

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 戦場から数日。
 血と炎の匂いがまだ谷に残っていたが、剣戟の音はもう響かなくなっていた。
 王を失った王都軍の兵は各地に散り、谷には捕虜や降伏した兵が集められ、追放者ギルドの管理下に置かれていた。

 その広場に、王都側の将軍や聖職者、兵の代表が集められた。
 俺たち追放者ギルドとの正式な交渉の場である。



 将軍が一歩前に出て言った。
「カイル殿。王はすでに斃れた。だが我らはこの国を維持しなければならぬ。王都は混乱し、民は行き場を失っている」

「分かっている」俺は頷いた。
「だからこそ、この交渉が必要なんだ」



 セリウスが地図を広げ、説明を始めた。
「これまでの王都は“役に立たぬ者を追放する”ことで秩序を保ってきました。だがその結果、多くの犠牲と憎しみを生んだ」

「追放者ギルドはそれを覆す。無駄者などいない。誰もが役割を持ち、互いに支え合う。それが新しい秩序だ」

 将軍たちがざわめく。
「理想論だ……」
「だが追放者に国が治められるのか……?」



 リナが立ち上がった。
「私たちは料理でみんなを支えた。食べることで、どんなに弱い人でも力を出せるようになった」

 グレンとガンツが声を重ねる。
「俺たちはただの脳筋かもしれねぇ。けど戦場じゃ盾にも剣にもなれる」
「誰も無駄じゃねぇって証明したのさ」

 フィオが杖を握りしめ、震える声で言った。
「暴発だって笑われた私の炎も……仲間を守る光になった」



 ロディとマリアが竪琴を鳴らす。
「歌は武器にならないって言われた」
「でも歌で人は立ち上がれる」

 エレナとミーナも叫ぶ。
「私たちはただの薬師かもしれない。でも命を繋ぐ力になれる!」



 俺は剣を掲げ、全員の言葉を背に言った。
「これが俺たち追放者の証だ。誰もが無駄じゃない。居場所を与え合うことで初めて国になる」

「だから――王都の民と追放者の民、もう切り捨て合うのはやめろ。新しい国を築こう。全員で」



 静寂。
 将軍たちが互いに顔を見合わせた。
 やがて一人が深く息を吐き、剣を地に突いた。

「……もはや否定はできぬ。王を失った今、我らに残された道は一つだ。共に生きること」

「そうだ……」
「もう誰も追放してはならぬ……」

 次々に兵や聖職者たちが膝をつき、降伏と同意の意を示した。



 リナが涙を流し、声を震わせて言った。
「これで……本当に終わったんだね」

「ああ」俺は剣を下ろし、深く息を吐いた。
「戦いは終わった。だが、新しい秩序を築くのはこれからだ」



 旗が風に揺れ、破れた布が朝日に照らされた。
 ――追放者ギルドと王都。二つの民が共に歩む、新しい国が今始まろうとしていた。
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