パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。

さら

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第65話 新しい日々

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 戦の喧騒が消え、谷にようやく静けさが戻ってきた。
 血に濡れた大地には草花が芽吹き始め、焼け落ちた森からは新しい芽が顔を出していた。

 王を失った混乱の中、王都からは民が続々と避難し、追放者ギルドのもとに身を寄せた。
 谷は一夜にして小さな村から国の中心へと変わった。



 リナは大鍋を振り回しながら笑っていた。
「見て! 今日はパンを焼けるくらい小麦が届いたの!」
 周りでは子どもたちが歓声を上げ、焼き立ての匂いに集まってくる。

「リナさんの料理があるなら、ここで暮らせる!」
「もう飢える心配ないんだね!」

 リナは頬を赤らめ、鍋の蓋を叩いた。
「ふふん、当たり前でしょ!」



 グレンとガンツは木材を担ぎ、村の再建を進めていた。
「剣や槌ばかりじゃなく、大工仕事も悪くねぇな!」
「おう、これで新しい家が建てられる!」

 彼らの笑い声が響き、追放者と元王都兵が一緒になって作業していた。
 かつて剣を交えた者同士が、今は汗を流しながら家を建てているのだ。



 フィオは子どもたちに火の扱いを教えていた。
「炎はね、怖いけど、正しく使えばご飯も作れるし、夜を明るくしてくれる」
 小さな手に灯った火に子どもたちが目を輝かせる。
「すごい! きれい!」
「フィオ先生、もっと教えて!」

 彼女は涙ぐみながら微笑んだ。
「ありがとう……もう暴発なんて呼ばせない」



 ロディとマリアは広場で歌を奏で、民たちの不安を和らげていた。
「歌うんだ! 生き残ったことを喜ぼう!」
「踊ろう! ここが新しい国の始まりだ!」

 竪琴の音色と歌声に合わせて、子どもも大人も踊り出す。
 戦の影に覆われていた谷に、久々に笑い声が満ちた。



 エレナとミーナは診療所を開き、薬と包帯で人々を癒やしていた。
「戦で傷ついたのは兵も追放者も同じ。ここでは誰も区別しない」
「みんなで生きるために、みんなを治すの!」

 その言葉に民たちは涙を流し、深く頭を下げた。



 セリウスは机に地図を広げ、王都の代表と話し合っていた。
「まずは交易路を確立し、食料と物資を安定させる。追放者と王都の民、互いに依存し合う関係を築くのが最優先だ」

「なるほど……」
「追放者ギルドが国を治められる理由が分かった」

 王都の者たちが次々と頷いた。



 俺は高台に立ち、谷を見下ろした。
 旗はまだ破れていたが、風に力強く翻っている。
 その下で人々が笑い、働き、歌っていた。

「……段取りを間違えなければ、ここまで来られる」
 胸の奥に、静かな確信が生まれた。



 リナが駆け上がってきて、にっこり笑った。
「カイル、パンが焼けたよ! みんなで食べよ!」

「ああ、すぐ行く」
 俺は剣を腰に収め、仲間たちの元へと歩き出した。



 ――こうして、追放者ギルドの新しい国は始まった。
 血と涙で築かれたが、そこには笑顔と希望があった。

 平和なスローライフの兆しが、確かにそこにあった。
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