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第三十五話 決断の刻
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王都は、裂け目からついに崩壊へと向かおうとしていた。
王太子派と第二王子派――もはや両陣営は水面下ではなく、公然と対立し始めていた。
「殿下こそ正義だ!」
「いや、第二王子殿下を支持せねば国は滅ぶ!」
街角で怒声が飛び交い、商人たちは取引先を慎重に選び、庶民すらどちらの名を囁くかで争いが起こる。
◇
その日、公爵家に再び王宮からの通達が届いた。父が封を切り、読み上げる声は低く震えていた。
「……“公爵家に与する者は反逆の徒とみなす”」
母が蒼白になり、メアリは手を口に当てた。
「殿下は、ついに公然と我らを敵としたのだ」
父の言葉に、わたしの胸は冷たくなる。けれど、俯きはしなかった。
「お父様。わたしは檻に戻りません」
「……覚悟はできているのだな」
「はい」
◇
その夜、レオンハルトが屋敷を訪れた。外套に雪を纏い、真剣な眼差しで言う。
「兄上はついに公爵家を完全に切り捨てた。次は兵を動かす可能性すらある」
「兵を……」
「だが、怯える必要はない。あなたが檻を拒み続ける限り、わたしは必ず隣に立つ」
彼の言葉は力強く、心を貫いた。わたしは白いハンカチを取り出し、胸に当てた。
「レオン……わたしはもう決めています。どんな嵐が来ても、檻には戻らない」
「ありがとう。……あなたのその強さが、私を導いてくれる」
◇
数日後、王宮で緊急の評議が開かれた。重臣たちが集まり、殿下は高らかに宣言した。
「公爵家と第二王子は国を乱す反逆者だ。断罪は避けられぬ」
だが、その場にいた一部の重臣が声を上げた。
「殿下、第二王子殿下の言葉に心を動かされた者も少なくありません。国を二つに割ることは危険です!」
「黙れ! 力で従わせねば、誰も王家に従わぬ!」
殿下の声は怒りに震えていた。硝子の微笑は崩れ、その奥の焦りが露わになっていた。
◇
夜、わたしは机に地図を広げた。白いハンカチを重ね、深く息を吸う。
「……決断の刻が来る」
逃げれば家は守れるかもしれない。けれど、それは檻に戻ること。進めば国を敵に回すかもしれない。
けれど、もう迷いはなかった。
――悪役令嬢クラリッサは、檻を拒み続ける。
――そして、自由と愛のために決断する。
王太子派と第二王子派――もはや両陣営は水面下ではなく、公然と対立し始めていた。
「殿下こそ正義だ!」
「いや、第二王子殿下を支持せねば国は滅ぶ!」
街角で怒声が飛び交い、商人たちは取引先を慎重に選び、庶民すらどちらの名を囁くかで争いが起こる。
◇
その日、公爵家に再び王宮からの通達が届いた。父が封を切り、読み上げる声は低く震えていた。
「……“公爵家に与する者は反逆の徒とみなす”」
母が蒼白になり、メアリは手を口に当てた。
「殿下は、ついに公然と我らを敵としたのだ」
父の言葉に、わたしの胸は冷たくなる。けれど、俯きはしなかった。
「お父様。わたしは檻に戻りません」
「……覚悟はできているのだな」
「はい」
◇
その夜、レオンハルトが屋敷を訪れた。外套に雪を纏い、真剣な眼差しで言う。
「兄上はついに公爵家を完全に切り捨てた。次は兵を動かす可能性すらある」
「兵を……」
「だが、怯える必要はない。あなたが檻を拒み続ける限り、わたしは必ず隣に立つ」
彼の言葉は力強く、心を貫いた。わたしは白いハンカチを取り出し、胸に当てた。
「レオン……わたしはもう決めています。どんな嵐が来ても、檻には戻らない」
「ありがとう。……あなたのその強さが、私を導いてくれる」
◇
数日後、王宮で緊急の評議が開かれた。重臣たちが集まり、殿下は高らかに宣言した。
「公爵家と第二王子は国を乱す反逆者だ。断罪は避けられぬ」
だが、その場にいた一部の重臣が声を上げた。
「殿下、第二王子殿下の言葉に心を動かされた者も少なくありません。国を二つに割ることは危険です!」
「黙れ! 力で従わせねば、誰も王家に従わぬ!」
殿下の声は怒りに震えていた。硝子の微笑は崩れ、その奥の焦りが露わになっていた。
◇
夜、わたしは机に地図を広げた。白いハンカチを重ね、深く息を吸う。
「……決断の刻が来る」
逃げれば家は守れるかもしれない。けれど、それは檻に戻ること。進めば国を敵に回すかもしれない。
けれど、もう迷いはなかった。
――悪役令嬢クラリッサは、檻を拒み続ける。
――そして、自由と愛のために決断する。
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