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.遠征なんて無理っ!絶対無理っ! 11
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子どものように泣いて駄々こねた感はある。ううむ。年上として恥ずかしい。
しかも嬉しくて抱き着くとか、ありえない。
「えっと、あの……。俺そろそろ寝る支度、しようかな」
「まだ日が暮れたばかりだぞ? 飯もまだだろう? それとさっきリノからパンが届いたところだ。好きだろう? リノのパンは」
あのやわらかいパン! 思い出しただけで、腹が鳴った。
「マナの身体は正直だな」
「変な言い方すんなっ!」
ってなんかエロいときに言われる言葉を言われて笑われた。
「じ、自分で食えるっ!」
「アーツに連れて行ってやるんだから、これくらいの褒美はあってもいいだろう? ほら」
何故か俺はまだハオの膝の上だ。さらに片手で拘束されている。
あれから、サイとジジが夕飯の支度をテキパキとはじめて、あれよあれよと言う間に目の前にテーブルが置かれていた。
出ようにもハオの腕とテーブルに邪魔されて、出られなかっただけだ。
しかも、なぜかハオが手ずからパンをちぎり俺の口元に運んできやがる。
「俺なんかに食べさせて何が楽しいんだよっ!」
「マナ以外に食べさせたことはない。はやく食わないと俺が全部食うぞ?」
「くそっ!」
悔しいが、リノのパンの魅力には敵わない。俺はハオの指まで噛みちぎる勢いでかぶりついた。
噛まれてもまったく痛がる様子はない。
むしろ、俺の歯のほうが痛い……っ。
仕方ないから俺はおとなしくハオの給餌を甘んじて受け入れることにした。
「そういや、なんで明日じゃダメなんだ? なんか用事あんの?」
給餌されるのは恥ずかしいけど、せっかくいっしょに飯を食うんだ。たまには会話もいいだろう。
ハオは明後日ならって言ってたけど、なんか理由があんのかな?
「その格好では、外出できないだろう?」
「……はっ! そういや俺ノーパンじゃん! 靴もねぇし」
「ノーパンがなにか知らんが、それでは馬にまたがることもできない」
そっか。なんかこの服に慣れてきたから気にしてなかったけど、たしかにこれじゃ外歩けないや。
「マナが外に出たがってると聞いて、作らせていたんだ。それがちょうど明日できあがる」
それって今日頼んだわけじゃなくて、前からってことだよな。
なんも考えずに出掛けてやるって騒いだ俺、ほんと子どもじゃん。
ハオより年上なのに……。
「あり、がとう……」
「マナのためならなんでもしてやると言っただろう? 服くらいなんということはない」
切り分けた肉を手に俺を見つめるハオに、ドキリとする。
あ、甘い……。
セリフよりも、その表情が甘すぎる。
俺は恥ずかしさを隠すために、肉を頬張った。
「ん、これなんの肉? うまっ!」
いつもの、シシやシカよりさらに淡白だけどやわらかいし臭みゼロ。ササミっぽいけど、旨みがある。
「ヘビだ」
「ヘビかぁ……ってヘビ? ヘビってあの細長くてクネクネしてるあのヘビ? 食えるんだ? うめぇな」
きっと前ならヘビって聞いたら卒倒するか吐き出してたかも。慣れてきたんだろうな。全然気にならない。むしろうまくてもう一口、ハオにねだった。
「サイ。次の狩りはヘビだ」
「かしこまりました。ちょうどインザで大蛇がでて困っていたんですよね。いやはや、マナ様のおかげでチーダは安泰ですね。クククッ」
「たまたまだろっ!」
もしかして、こういう偶然が重なってアンダーウォーカーの伝説うまれたんじゃないの?
伝説なんていい加減なもんだな。
たらふく食った上に寝不足だった俺は、ハオの膝の上でそのまま眠っていた。
子どもか。俺は!
しかも嬉しくて抱き着くとか、ありえない。
「えっと、あの……。俺そろそろ寝る支度、しようかな」
「まだ日が暮れたばかりだぞ? 飯もまだだろう? それとさっきリノからパンが届いたところだ。好きだろう? リノのパンは」
あのやわらかいパン! 思い出しただけで、腹が鳴った。
「マナの身体は正直だな」
「変な言い方すんなっ!」
ってなんかエロいときに言われる言葉を言われて笑われた。
「じ、自分で食えるっ!」
「アーツに連れて行ってやるんだから、これくらいの褒美はあってもいいだろう? ほら」
何故か俺はまだハオの膝の上だ。さらに片手で拘束されている。
あれから、サイとジジが夕飯の支度をテキパキとはじめて、あれよあれよと言う間に目の前にテーブルが置かれていた。
出ようにもハオの腕とテーブルに邪魔されて、出られなかっただけだ。
しかも、なぜかハオが手ずからパンをちぎり俺の口元に運んできやがる。
「俺なんかに食べさせて何が楽しいんだよっ!」
「マナ以外に食べさせたことはない。はやく食わないと俺が全部食うぞ?」
「くそっ!」
悔しいが、リノのパンの魅力には敵わない。俺はハオの指まで噛みちぎる勢いでかぶりついた。
噛まれてもまったく痛がる様子はない。
むしろ、俺の歯のほうが痛い……っ。
仕方ないから俺はおとなしくハオの給餌を甘んじて受け入れることにした。
「そういや、なんで明日じゃダメなんだ? なんか用事あんの?」
給餌されるのは恥ずかしいけど、せっかくいっしょに飯を食うんだ。たまには会話もいいだろう。
ハオは明後日ならって言ってたけど、なんか理由があんのかな?
「その格好では、外出できないだろう?」
「……はっ! そういや俺ノーパンじゃん! 靴もねぇし」
「ノーパンがなにか知らんが、それでは馬にまたがることもできない」
そっか。なんかこの服に慣れてきたから気にしてなかったけど、たしかにこれじゃ外歩けないや。
「マナが外に出たがってると聞いて、作らせていたんだ。それがちょうど明日できあがる」
それって今日頼んだわけじゃなくて、前からってことだよな。
なんも考えずに出掛けてやるって騒いだ俺、ほんと子どもじゃん。
ハオより年上なのに……。
「あり、がとう……」
「マナのためならなんでもしてやると言っただろう? 服くらいなんということはない」
切り分けた肉を手に俺を見つめるハオに、ドキリとする。
あ、甘い……。
セリフよりも、その表情が甘すぎる。
俺は恥ずかしさを隠すために、肉を頬張った。
「ん、これなんの肉? うまっ!」
いつもの、シシやシカよりさらに淡白だけどやわらかいし臭みゼロ。ササミっぽいけど、旨みがある。
「ヘビだ」
「ヘビかぁ……ってヘビ? ヘビってあの細長くてクネクネしてるあのヘビ? 食えるんだ? うめぇな」
きっと前ならヘビって聞いたら卒倒するか吐き出してたかも。慣れてきたんだろうな。全然気にならない。むしろうまくてもう一口、ハオにねだった。
「サイ。次の狩りはヘビだ」
「かしこまりました。ちょうどインザで大蛇がでて困っていたんですよね。いやはや、マナ様のおかげでチーダは安泰ですね。クククッ」
「たまたまだろっ!」
もしかして、こういう偶然が重なってアンダーウォーカーの伝説うまれたんじゃないの?
伝説なんていい加減なもんだな。
たらふく食った上に寝不足だった俺は、ハオの膝の上でそのまま眠っていた。
子どもか。俺は!
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