落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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四章

再び森へ

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「弟の言葉は気にしなくて良いニャ。ルイは何時も楽しようとしてばっかりニャ」

「何言ってるにゃ?楽して生きて行きたいと思うのはネコとして当然にゃ。でも、使い道がにゃいから、現物支給とかの方が良いからいらないにゃ。それより、さっさと用事を終わらせて寝たいにゃ」

兄様の不穏な言葉やネアの態度など気にした様子もなく、あくまで自分中心のようだった。そんなルイの様子に、ウルは呆れたように片を落とすと、ティの方へと視線を向けた。

「ティ様。何時までもお邪魔してないで、そろそろ帰るニャ」

「いやよ!まだ、食べてないお菓子があるんだから!」

「あれだけ食べてたのに、まだ食べるのかよ…」

「当然でしょ!甘い物は別腹よ!」

胸焼けでもしたような表情を浮かべながら言うバルドの言葉に、ティは堂々とした態度で答えていたけど、何処にあの量が入っているのか、本当に分からない。

「使者さんにも迷惑掛けたのに、これ以上迷惑掛ける訳に行かないのニャ」

「そうだな。使いを送ったのは、昨日だったとと思ったのだが?」

「そ、それはニャ…」

「煩いのがいにゃい方が静かに寝れるのに、慌てて迎えに行くわけないにゃ。そもそも、ルイは迎えに来たくなかったにゃ」

まるで来るのが遅い事を非難でもするような父様の言葉に、ウルは口を濁しながら目を泳がせるけれど、横にいるルイはいっさい動じる様子もなく、窓際で寝そべりながら寛いだ様子で、あくび混じりに不満を口にする。

「それにゃのに、ウルがしつこくルイを起こして連れて行こうとするから、10時間しか寝れにゃかったにゃ」

「いや…十分寝てるだろ…」

「そんにゃ事にゃいにゃ!ネコにしたら短いにゃ!それに、何度も起こされたせいで寝た気がしにゃいにゃ!」

バルドが溢した呟きに、ルイは感情をあらわにしながら、威嚇するように牙を見えながら反論するけど、そんなルイを見下ろすウルは、今にもため息でも付きそうな、悲壮感にも似た空気を放っていた。

「此処に来る途中も、何度も寝ようとしたルイを起こして連れて来るのは大変だったニャ…」

「歩くだけでも疲れるのに、何度も起こされながら夜道を歩かされたルイも大変だったにゃ」

お互い大変だったと言うけれど、明らかに片方だけの負担が大きいような気がする。遅れて来た理由に、父様も半ばあきれ顔をしているような気さえする。

「でも、そんなに来たくないって言っているなら、置いて来れば良かったんじゃないのか?」

「そうにゃ。置いて行って欲しかったにゃ」

「そんなわけにはいかないニャ!ルイがティ様のお世話係になってるのに、置いて行けるわけないニャ!」

「面倒にゃ…」

「だったら、引き受けなきゃ良かっただろ…」

「引き受けたかったわけじゃないにゃ…」

「そもそも、どうやって決めるたの?」

「「くじ引きニャ(にゃ)」」

「それで良いのか…」

ルイが選ばれた理由が分からなくて訪ねたら、2人同時にそんな答えが帰って来た。仮にも女王の側近を決めるための方法が余りにも杜撰過ぎて、バルドでさえも戸惑ったような声を上げるけれど、それに答えたのは何故かティだった。

「話し合いで決まらなかったから仕方ないのよ。まぁ!それだけ私が人気だって事だけどね!ルイは当たりを引いたのよ!!」

「ある意味では、大当たりだったにゃ…」

「…良いなぁ」

まるでハズレでも引いたかのような哀愁を漂わせながらルイが俯くけれど、ティは気付いた様子もなく自慢げな顔を浮かべていた。ネアはネアで、そんなティを何処か羨ましげな視線で見ていた。

「何か疲れたにゃ…。速く帰って寝たいにゃ…」

「その方が良いニャ。さぁ、ティ様も帰るニャ。何時までもお邪魔してたら、みんなからも怒られますニャ」

「シェリア達は優しいから、私の事を怒ったりしないわよ!だから、まだ帰らないわ!」

ティはまだ帰る気がないようで、ウルから言われた事を無視するようにそっぽを向く。そんなティの様子に、ウルは困った様子を見せていると、それを見かねたようなルイが、やる気のなさそうな声を掛ける。

「此処でお菓子を独り占めにしてたら、みんにゃから嫌われるにゃ」

「ひ、独り占めになんてしてないわよ!」

「でも、一人だけ食べてるのは事実にゃ」

「うっ…ッ…」

ルイから痛い所を突かれたのか、ティは食べかけのお菓子を後ろに隠しながら、呻き声に似た声を上げる。

「でも、今お土産を持って帰れば、みんなの人気者に成れるにゃ」

「!!?し、仕方ないわね!帰って上げるわ!シェリア!お土産のお菓子をお願い!出来るだけ多くね!!」

「ふふっ、分かったわ~」

「単純で助かるにゃ」

「…やっと帰るのか」

まるで天啓でも受けたようなティの変わり身の速さに、僕は呆気に取られるけれど、お姉さんに取っては何時もの事なのか、微笑ましげな様子で笑っていた。そんな中、父様はやっとこの状況を抜け出せる事に、何処かホッとしたような声を上げていた。

急な来客などはあったけれど、朝食を食べ終わった僕達は昨日と同じように森の中を歩いていた。だけど、状況は昨日と大きく違っていた。

「なぁ?何で俺達が荷物運びさせられてるんだ?」

「仕方ないでしょ。エレナ達に荷物運びを頼むわけにはいかないし、アイツ等はやる事があるって言うんだから!それとも何!?私1人でこの量の荷物を持てって帰れって言うの!?」

お姉さんがティのために準備してくれたお土産用の菓子が、とてもティには持って行けなさそうな箱に入っており、しかも、それが狙ったかのように4つ分置かれていた。そのため、ティから言われるがまま僕達が運ばされる事になった事もあって、バルドは不満そうだった。

「持って帰れないにしても、他に誰か持てそうな奴いないのかよ!?」

「ルイ達も、持って歩けないにゃ」

「お前も歩いてすらないだろ!ネアが持つ分、俺が変わりに持ってるんだぞ!」

「無駄に体力がありそうにゃ奴は、黙ってきりきり働くにゃ」

「そうよ!きりきり働きなさい!」

歩きたくないと言い、途中で寝てしまいそうなルイをネアが抱えている分、バルドがネアが持つはずだった荷物を持っているため、前も良く見えずに歩き難そうにしているバルドは不満を口にするけれど、僕の頭の上からも容赦ない言葉が飛んでくる。

「だったら、せめて自力で歩くくらいしろよ!」

「「いや!(にゃ)」」

僕の頭の上に乗るティとネアの腕の中で寛ぐルイが、きっぱりとした口調で拒否していた。

「なんか…すまないニャ…」

「い、いや、お前は良いって!」

四足歩行で荷物を持てないウルが、申し訳なさそうな声を上げれば、バルドは少し慌てた様子でウルに声を掛けていた。

「それにしても、帰りは乗り物があって楽にゃ」

「それは良かった」

「ネア…お前は、乗り物扱いで良いのか…?」

「あぁ、腕全体に感じるぬくもりと重み、そして身動きした時に感じる毛並や肉球や感触。幸せしかない」

「そ、そっか…」

溶けるような顔で幸せそうに笑うネアに、バルドは若干引いた様子で言葉を濁していたけれど、腕の中のルイは気にした様子もなく、ネアへと声を掛ける。

「ルイを運べたお礼に、今度ささみ持って来るにゃ」

「分かった」

「いや、運んだ方がお礼っておかしくね!?」

「何言ってるんだ?ネコを運んだらお礼をするのは普通だろ?」

「普通にゃ」

「俺が間違ってるのか!?」

「今回だけは、間違ってないと思いますよ…」

「うん…」

「重ね重ね、弟達がすまないニャ…」

横を歩きながら付いて来るウルが、凄く申し訳なさそうな声を上げていた。でも、ウルが悪いわけじゃないのに、そんなに恐縮されると、こっちも申し訳なくなって来る。

「ウルが悪くないのは分かってますから、そんなに謝らなくて良いですよ」

「そうですかニャ…?何か予定とかはなかったですかニャ?」

「ううん。今日は特に何も予定はなかったよ」

「それなら良かったですニャ」

僕の答えを聞くと、ウルは安堵したような声を上げていた。母様との約束はあったけれど、屋敷を出る前に母様がお供として召喚獣を見せてくれたから、嘘は言っていない。その母様の召喚獣であるオコジョのフィーは、今は僕達の前を先導するようにして歩いていた。父様の召喚獣のカルロも、ゆっくりと旋回しながら僕達の上を飛んでいた。

「それにしても、何で猫なのに喋れるんだ?」

もう文句を言っても仕方がないと思ったのか、それともウルの反応に申し訳なくなったのか、バルドがウルへと疑問を投げかける。

「外見が猫なだけで、ウル達は妖精の一種だから話せるニャ。普通の猫は無理ニャ」

2人とは違ってしっかりと疑問に答えたくれたウルだったけれど、説明されたはずのバルドは、何処か納得行ってないような様子だった。

「じゃあ、さっきルイが猫って言ってたのは嘘か?」

「失礼にゃ。ルイは身も心も可愛いネコさんにゃ。それに、さっきから細かい事ばかり気にしてちっちゃい男にゃ。器が知れるにゃ。もてないにゃ」

「何だと!?」

「正直に言っただけなのに、可愛いネコさんに怒るなんて酷い奴にゃ」

「そうだぞ。ネコさんに謝れ」

「今のは俺が悪いのか!?先に喧嘩を売って来たのは向こうだろ!!」

「ネコさんは、何をしても許される」

「さっき猫じゃないって言ってただろ!!」

「そうだな。猫は天使ではなくて妖精だったと言う話だったな」

「いや…お前、本当に話し聞いてたか…?」

「バルド。今のネアには、何を言っても通じないと思いますよ…」

「うん…」

猫の事になると思考能力が少しおかしくなっているネアには何を言っても仕方がないと、僕達が半ば呆れながら返事を返していると、僕の頭の上に座っていたティが声を上げた。

「此処よ!着いたわ!」

そう言われて視線を向けた場所は、少し開けただけの何もない広場みたいな所だった。
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