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四章
楽園
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「本当に此処?」
「何!?私の言う事が信じられないの!?」
「そう言うわけじゃないけど…」
僕が疑うような事を言ったからか、ティが怒ったような声を上げた。だけど、みんながよく遊んでいる場所に連れて行くと言われて連れて来られた場所が、何もなければ誰もいない場所だったら、誰でも不審に思うのは仕方ないと思う。
「でも、誰もいないようですけど…」
「もう、直接家まで届けた方が速いんじゃないのか?」
「私達が暮らす場所は、人間は入れないの!」
荷物を持っているのが嫌になって来たのか、少し不機嫌そうなバルドが、戸惑いがちに言った言葉に同意を返していた。だけど、それを聞いたティは、少し慌てたような声を上げた。
「俺等は入れられないって事か?」
「そ、そう言うわけじゃないけど…」
人である僕達を拒むような言い方に、バルドが少しトゲがある言い方をすると、ティはきまり悪そうな顔をしながら言葉を濁す。昨日会ったばかりだけど、少しは仲良くなったと思っていただけに、ティの言動にショックを隠せない。そんな空気を察したのか、ティを僕達から庇うようにウルが声を上げた。
「ち、違うニャ!ティ様は意地悪で言ってるわけじゃないニャ!住処への入口は、ウル達よりも少し大きいくらいの大きさしかないから入れないだけなのニャ!」
「その入口って、大きくとかって出来ないのか?」
「女王が未熟だから出来ないにゃ」
「誰が未熟よ!」
「事実にゃ」
「今は喧嘩しないで欲しいニャ!」
バルドが上げた疑問の声にルイが途中で口を挟んだ事により、僕達を置いてけぼりにして喧嘩しそうになっているティ達を、ウルが困ったような様子で止めに入る。そうすれば、ルイは軽く鼻で笑うような声を上げた。
「しょうがにゃいにゃ。ルイの方が大人だから、今回も引いて上げるにゃ」
「ちょっと!私を子供扱いしないでよ!!それに今回も何もないでしょ!!」
「にゃに言ってるにゃ?毎回、ルイの方が折れてやってるにゃ。それに、何をしても許される子供の方が得にゃ。みんにゃからも可愛いって言って貰えるにゃ」
「それも…そうね…」
「その通りですニャ!それより今は、ティ様が嘘付き扱いにならない方が大事ですニャ!」
「そうね!みんなー!!私が帰って来たわよー!!」
ルイに言葉で丸め込まれ、それをウルに後押して促されるようにして言われたティは、広場の真ん中まで行って大きな声で呼び掛ける。けれど、広場はシーンと静まり返っていて、誰の声も聞こえなければ、誰かが出て来る気配はない。
「やっぱり、誰もいないんじゃないのか?」
「私達がいるから、逃げてしまったのでしょうか?」
「そんなわけ無いにゃ。遊び好きの彼奴等が、こんにゃ機会見逃すはずにゃいにゃ。直ぐに好奇心に負けて出て来るにゃ」
訝しげな声を上げるバルドに同意するようにコンラットが不安気な声を上げるが、ネアの腕の上で呑気に毛づくろいをするルイがそれを否定する。
「お土産のお菓子を持って来たわよ!」
僕達が話している間もティは広場の真ん中で1人、周りに呼びかけていて何だか気の毒になって来る。誰も出て来ない事に僕が少し諦め初めた時、木々の影で何かが微かに動くのが見えた。
「ほら、出て来たにゃ」
遠くてあまりよく見えないけれど、恐る恐るこちらを伺うようにして顔を覗かせのは、ティと同じくらいの年齢のオレンジ色の髪をした男の子だった。
「もう!出てくるのが遅いわよ!私が嘘つき呼ばわりされる所だったでしょ!」
「ご、ごめんなさい…」
「まぁ、良いわ!さぁ!お菓子を持って来たから食べましょ!ほら!アンタ達も速くこっち持って来て!!」
ティに手招きされながら呼ばれた僕達は、お菓子が入った箱を持ちながら広場へと足を踏み入れた。1人が顔を出したからか、僕達が歩いている間にも他の妖精達も顔を見せ初め、広場が少しずつ賑やかになっていく。妖精達は、それぞれ髪の色や服の色は様々だけど、みんな似たような容姿をしていて同じような服を来ていた。それに、大きさもティと変わりなくて、背中には同じ色の羽が付いていた。
「ウルは、他の仲間達を呼んで来ますニャ」
「他にもいるの?」
広場に出て来ているのはティと同じ妖精の姿は見えるだけで、ウル達と同じ猫の姿が見えないから、ウル達の他にはいないのかと思っていた。
「いるニャ。住処から出て来てないからいないだけニャ」
「ルイ達は賢いから、実利がにゃいと危にゃそうにゃ所には出て来にゃいのにゃ」
ティの近くまでやって来るとウルはその場に僕達を置いて、森の方へと歩いて行ってしまった。ルイはその姿を見送って見えなくなると、ルイはピョンとネアの腕から地面へと飛び降りた。
「此処までご苦労様にゃ。手出すにゃ」
「手?」
腕からいなくなった事を名残惜しそうにしているネアへと向き合うと、ルイはネアへと声を掛けた。ネアはルイに言われるがまま手を差し出すと、ルイもネアへと前足を伸ばしてその上へと乗せた。
「ご褒美にゃ」
「うッ…ッ!」
肉球がネアの手に触れると、声を詰まらせながら感極まった様子で静かに歓声を上げていた。だけど、お菓子とか気を取られている妖精達には、そんなネアの様子が見えていない様子でティへと話し掛けていた。
「なかなか帰って来ないから、どうしたんだろうってみんなで心配してたんだよ?」
「うん!心配した!」
「心配したって言うわりに、ティだけを1人で行かせたんだな?」
「えっ?だって、ティ様が何時もドラゴンなんて簡単に倒せるって言ってたから?ねぇ?」
「うん!それに、凄く強い子分もいるって言ってた!」
「子分?」
ティを1人で危険な場所に行かせた事を問いただすように聞けば、何を言われているのか分からないようなキョトンとした顔と声で答え、思ってもいない返しが返って来た。
「うん、ティ様がよく出かけて行っていた人間の屋敷に、自分には劣るけど忠実な子分がいるって言ってた!」
「勝負を挑んではティ様に負かされて泣くから、その子分のお姉さんと慰めて上げてるんだって言ってたよ?」
「「「……」」」
「そ、そんな事言ったかしら…?」
僕達からの無言の視線を投げかけると、ティも父様が聞いたら怒りそうな事を言っている自覚があるのか、どうにか誤魔化そうと必死に惚けようとしていた。
「言ってたよ」
「うん。言ってた」
「全然、記憶にはないわ!」
どうにか誤魔化すように言葉を濁していたのに、空気を読まない周りからは無邪気な同意が返って来て、ティは冷や汗でも掻きそうなくらい動揺しているように見えた。でも、周りの妖精は見た目通り内面も幼いのか、そんなティの様子に気が付く様子がなく言葉を続ける。
「えーっ!あんなに毎日のように言ってたのにー!?」
「そうだよー!」
「い、言ってないわよ!それより!あのドラゴンは私が追い払ったから大丈夫よ!」
「えっ!?ティ様は、あんな大きなドラゴンに勝ったの!?」
「あ、当たり前でしょ!私にかかればドラゴンなんてワンパンよ!」
「ティ様!すごーい!」
「やっぱり頼りになる!」
「ふんっ!当然でしょ!」
半ば強引過ぎるくらいの勢いで話しを逸らしたティだったけれど、みんなから褒められると直ぐに得意げをしていた。それに、ティの話しを聞いた周りの妖精も、ティが言っている言葉を疑っている人は誰もいなくて、みんなティの言っているの事をそのまま信じているようだった。
「自業自得だったんだな…」
「身から出た錆とも言いますけどね…。まぁ、不当な扱いを受けているわけではないようなので、良いのではないですか…?」
「…そうだね」
ティ自身の言動が招いた事が原因だった事から、僅かに抱いていた他の妖精達への不信感が消え、見た目通りに見えるようになった。そんな僕達の耳に、明るい声が聞こえて来た。
「みんなを連れて来たニャー!」
ウルの声が聞こえた方へ視線を向ければ、長毛種から短毛種など、大きさも違う色々な種類の猫が、こっちに向かってやって来る姿が見えた。そんな猫達の行進みたいな光景に真っ先に反応を見せたのは、予想通りの人物だった。
「楽園は…此処にあった…」
そう言って膝から崩れ落ちるようにして倒れ込んだネアを見たティガ、何故だか得意げな顔を浮かべていた。
「そうでしょう!まぁ、私達の遊び場だから当然ね!」
「いや…、そうじゃないと思うぞ…」
2人の言動にバルドが控えめな声で呟き、僕もネアとティの認識は大きく違っているような気がする。けれど、本人達が気付いていないうえ、周り殆どがお構いなしに行動しているから、僕も気にしない事にした。
「ねぇ?あの子、大丈夫なの?」
お菓子を渡した事で少しだけ警戒心が薄れて来たのか、躊躇いがちに僕の袖を引っ張り、心配そうな表情で見つめる女の子の視線の先では、倒れ伏してたままだったネアが、いつの間にか猫達に周りを取り囲まれている姿があった。
「なんにゃ?こいつ?変な奴にゃ!」
「変だけど、面白いにゃ!」
「あっ!1人で遊ぶなんてずるいにゃ!にゃあも遊ぶにゃ!」
「やっつけるにゃ!」
「お前等、止めるニャ!」
何かする度に過敏に反応するネアの様子が面白いのか、周りを取り囲んで猫達はネアの上に乗っかったり、無抵抗のネアに向かって猫パンチを繰り出すなど好き放題な事をしていた。そんな仲間達をウルは止めようとしていたけれど、今はおもちゃに夢中で聞く耳を持つ気はないようだった。頑張っているウルを横目に、ルイは自分には被害が来ないような場所で、のんびりとあくびをして眠そうにしていた。
「何だか、猫が獲物をいたぶって遊んでいるようにしか見えないですね…」
「…助けた方が良いのかな?」
「本人が満足そうにしてるから、良いんじゃないか…?」
「…そうだね」
完全におもちゃに扱いになっているうえ、多少興奮しているからなのか爪が出ているのか、ネアの腕や顔には所々引っかき傷が出来ていて痛そうなのに、ネアは全く気にすらなっていないようだった。そんな幸せそうにしているネアを、僕達はそのまま邪魔しない事にした。
「何!?私の言う事が信じられないの!?」
「そう言うわけじゃないけど…」
僕が疑うような事を言ったからか、ティが怒ったような声を上げた。だけど、みんながよく遊んでいる場所に連れて行くと言われて連れて来られた場所が、何もなければ誰もいない場所だったら、誰でも不審に思うのは仕方ないと思う。
「でも、誰もいないようですけど…」
「もう、直接家まで届けた方が速いんじゃないのか?」
「私達が暮らす場所は、人間は入れないの!」
荷物を持っているのが嫌になって来たのか、少し不機嫌そうなバルドが、戸惑いがちに言った言葉に同意を返していた。だけど、それを聞いたティは、少し慌てたような声を上げた。
「俺等は入れられないって事か?」
「そ、そう言うわけじゃないけど…」
人である僕達を拒むような言い方に、バルドが少しトゲがある言い方をすると、ティはきまり悪そうな顔をしながら言葉を濁す。昨日会ったばかりだけど、少しは仲良くなったと思っていただけに、ティの言動にショックを隠せない。そんな空気を察したのか、ティを僕達から庇うようにウルが声を上げた。
「ち、違うニャ!ティ様は意地悪で言ってるわけじゃないニャ!住処への入口は、ウル達よりも少し大きいくらいの大きさしかないから入れないだけなのニャ!」
「その入口って、大きくとかって出来ないのか?」
「女王が未熟だから出来ないにゃ」
「誰が未熟よ!」
「事実にゃ」
「今は喧嘩しないで欲しいニャ!」
バルドが上げた疑問の声にルイが途中で口を挟んだ事により、僕達を置いてけぼりにして喧嘩しそうになっているティ達を、ウルが困ったような様子で止めに入る。そうすれば、ルイは軽く鼻で笑うような声を上げた。
「しょうがにゃいにゃ。ルイの方が大人だから、今回も引いて上げるにゃ」
「ちょっと!私を子供扱いしないでよ!!それに今回も何もないでしょ!!」
「にゃに言ってるにゃ?毎回、ルイの方が折れてやってるにゃ。それに、何をしても許される子供の方が得にゃ。みんにゃからも可愛いって言って貰えるにゃ」
「それも…そうね…」
「その通りですニャ!それより今は、ティ様が嘘付き扱いにならない方が大事ですニャ!」
「そうね!みんなー!!私が帰って来たわよー!!」
ルイに言葉で丸め込まれ、それをウルに後押して促されるようにして言われたティは、広場の真ん中まで行って大きな声で呼び掛ける。けれど、広場はシーンと静まり返っていて、誰の声も聞こえなければ、誰かが出て来る気配はない。
「やっぱり、誰もいないんじゃないのか?」
「私達がいるから、逃げてしまったのでしょうか?」
「そんなわけ無いにゃ。遊び好きの彼奴等が、こんにゃ機会見逃すはずにゃいにゃ。直ぐに好奇心に負けて出て来るにゃ」
訝しげな声を上げるバルドに同意するようにコンラットが不安気な声を上げるが、ネアの腕の上で呑気に毛づくろいをするルイがそれを否定する。
「お土産のお菓子を持って来たわよ!」
僕達が話している間もティは広場の真ん中で1人、周りに呼びかけていて何だか気の毒になって来る。誰も出て来ない事に僕が少し諦め初めた時、木々の影で何かが微かに動くのが見えた。
「ほら、出て来たにゃ」
遠くてあまりよく見えないけれど、恐る恐るこちらを伺うようにして顔を覗かせのは、ティと同じくらいの年齢のオレンジ色の髪をした男の子だった。
「もう!出てくるのが遅いわよ!私が嘘つき呼ばわりされる所だったでしょ!」
「ご、ごめんなさい…」
「まぁ、良いわ!さぁ!お菓子を持って来たから食べましょ!ほら!アンタ達も速くこっち持って来て!!」
ティに手招きされながら呼ばれた僕達は、お菓子が入った箱を持ちながら広場へと足を踏み入れた。1人が顔を出したからか、僕達が歩いている間にも他の妖精達も顔を見せ初め、広場が少しずつ賑やかになっていく。妖精達は、それぞれ髪の色や服の色は様々だけど、みんな似たような容姿をしていて同じような服を来ていた。それに、大きさもティと変わりなくて、背中には同じ色の羽が付いていた。
「ウルは、他の仲間達を呼んで来ますニャ」
「他にもいるの?」
広場に出て来ているのはティと同じ妖精の姿は見えるだけで、ウル達と同じ猫の姿が見えないから、ウル達の他にはいないのかと思っていた。
「いるニャ。住処から出て来てないからいないだけニャ」
「ルイ達は賢いから、実利がにゃいと危にゃそうにゃ所には出て来にゃいのにゃ」
ティの近くまでやって来るとウルはその場に僕達を置いて、森の方へと歩いて行ってしまった。ルイはその姿を見送って見えなくなると、ルイはピョンとネアの腕から地面へと飛び降りた。
「此処までご苦労様にゃ。手出すにゃ」
「手?」
腕からいなくなった事を名残惜しそうにしているネアへと向き合うと、ルイはネアへと声を掛けた。ネアはルイに言われるがまま手を差し出すと、ルイもネアへと前足を伸ばしてその上へと乗せた。
「ご褒美にゃ」
「うッ…ッ!」
肉球がネアの手に触れると、声を詰まらせながら感極まった様子で静かに歓声を上げていた。だけど、お菓子とか気を取られている妖精達には、そんなネアの様子が見えていない様子でティへと話し掛けていた。
「なかなか帰って来ないから、どうしたんだろうってみんなで心配してたんだよ?」
「うん!心配した!」
「心配したって言うわりに、ティだけを1人で行かせたんだな?」
「えっ?だって、ティ様が何時もドラゴンなんて簡単に倒せるって言ってたから?ねぇ?」
「うん!それに、凄く強い子分もいるって言ってた!」
「子分?」
ティを1人で危険な場所に行かせた事を問いただすように聞けば、何を言われているのか分からないようなキョトンとした顔と声で答え、思ってもいない返しが返って来た。
「うん、ティ様がよく出かけて行っていた人間の屋敷に、自分には劣るけど忠実な子分がいるって言ってた!」
「勝負を挑んではティ様に負かされて泣くから、その子分のお姉さんと慰めて上げてるんだって言ってたよ?」
「「「……」」」
「そ、そんな事言ったかしら…?」
僕達からの無言の視線を投げかけると、ティも父様が聞いたら怒りそうな事を言っている自覚があるのか、どうにか誤魔化そうと必死に惚けようとしていた。
「言ってたよ」
「うん。言ってた」
「全然、記憶にはないわ!」
どうにか誤魔化すように言葉を濁していたのに、空気を読まない周りからは無邪気な同意が返って来て、ティは冷や汗でも掻きそうなくらい動揺しているように見えた。でも、周りの妖精は見た目通り内面も幼いのか、そんなティの様子に気が付く様子がなく言葉を続ける。
「えーっ!あんなに毎日のように言ってたのにー!?」
「そうだよー!」
「い、言ってないわよ!それより!あのドラゴンは私が追い払ったから大丈夫よ!」
「えっ!?ティ様は、あんな大きなドラゴンに勝ったの!?」
「あ、当たり前でしょ!私にかかればドラゴンなんてワンパンよ!」
「ティ様!すごーい!」
「やっぱり頼りになる!」
「ふんっ!当然でしょ!」
半ば強引過ぎるくらいの勢いで話しを逸らしたティだったけれど、みんなから褒められると直ぐに得意げをしていた。それに、ティの話しを聞いた周りの妖精も、ティが言っている言葉を疑っている人は誰もいなくて、みんなティの言っているの事をそのまま信じているようだった。
「自業自得だったんだな…」
「身から出た錆とも言いますけどね…。まぁ、不当な扱いを受けているわけではないようなので、良いのではないですか…?」
「…そうだね」
ティ自身の言動が招いた事が原因だった事から、僅かに抱いていた他の妖精達への不信感が消え、見た目通りに見えるようになった。そんな僕達の耳に、明るい声が聞こえて来た。
「みんなを連れて来たニャー!」
ウルの声が聞こえた方へ視線を向ければ、長毛種から短毛種など、大きさも違う色々な種類の猫が、こっちに向かってやって来る姿が見えた。そんな猫達の行進みたいな光景に真っ先に反応を見せたのは、予想通りの人物だった。
「楽園は…此処にあった…」
そう言って膝から崩れ落ちるようにして倒れ込んだネアを見たティガ、何故だか得意げな顔を浮かべていた。
「そうでしょう!まぁ、私達の遊び場だから当然ね!」
「いや…、そうじゃないと思うぞ…」
2人の言動にバルドが控えめな声で呟き、僕もネアとティの認識は大きく違っているような気がする。けれど、本人達が気付いていないうえ、周り殆どがお構いなしに行動しているから、僕も気にしない事にした。
「ねぇ?あの子、大丈夫なの?」
お菓子を渡した事で少しだけ警戒心が薄れて来たのか、躊躇いがちに僕の袖を引っ張り、心配そうな表情で見つめる女の子の視線の先では、倒れ伏してたままだったネアが、いつの間にか猫達に周りを取り囲まれている姿があった。
「なんにゃ?こいつ?変な奴にゃ!」
「変だけど、面白いにゃ!」
「あっ!1人で遊ぶなんてずるいにゃ!にゃあも遊ぶにゃ!」
「やっつけるにゃ!」
「お前等、止めるニャ!」
何かする度に過敏に反応するネアの様子が面白いのか、周りを取り囲んで猫達はネアの上に乗っかったり、無抵抗のネアに向かって猫パンチを繰り出すなど好き放題な事をしていた。そんな仲間達をウルは止めようとしていたけれど、今はおもちゃに夢中で聞く耳を持つ気はないようだった。頑張っているウルを横目に、ルイは自分には被害が来ないような場所で、のんびりとあくびをして眠そうにしていた。
「何だか、猫が獲物をいたぶって遊んでいるようにしか見えないですね…」
「…助けた方が良いのかな?」
「本人が満足そうにしてるから、良いんじゃないか…?」
「…そうだね」
完全におもちゃに扱いになっているうえ、多少興奮しているからなのか爪が出ているのか、ネアの腕や顔には所々引っかき傷が出来ていて痛そうなのに、ネアは全く気にすらなっていないようだった。そんな幸せそうにしているネアを、僕達はそのまま邪魔しない事にした。
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