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四章
来客
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その鷹は、何処かで見たことがあるような気がしたけれど、何処で見たのかまでははっきりとは思い出せなかった。だけど、胸元には紋がある事から、誰かの召喚獣ではあるようだった。
「……やっと来たか」
僕が思い出せずに悩んでいると、父様は疲れを滲ませながらも何処か安堵した様子で呟く。すると、誰も触ってもいないのにその窓が軽い音を立てて自然に開き、鷹はそれをまるで待っていたかのように羽を広げ飛び立つと、そっと父様の左手へと止まった。
「それ?父様の?」
「そうよ。リュカは見た事なかったかし…ッ!カルロは普段から屋敷内にいない事が多いから、リュカは見た事がないかもしれないわね!ねぇ!?アル!」
「そうだね。昨日から仕事を頼んでいたし、確かに屋敷にいない時の方が多いかな」
僕が母様に訪ねると、母様は途中で少し言葉を濁しながら、同意を求めるようにして父様へと話しを振っていた。話しかけれた方の父様は、まるで母様を落ち着かせるようとするかのような穏やかな声で返事を返していた。
「それに、カルロの爪は意外と鋭くて危ないから、怪我をするといけないしね」
僕が小さい頃は牙や爪もあって危ないという事で、小動物くらいしか触らせて貰えなった。だけど、フェリコ先生から召喚獣の事を見せて貰った後は、契約しているなら大丈夫だと言われ、父様が帰って来る前に母様に頼んでみた事があった。その時は、母様から儀式の日まで探してみてねと言われ、僕はかくれんぼの鬼になったかのようにして庭を探して回ったいた。けれど、僕には屋敷の庭は広すぎて見つけられる事が出来なかった。
儀式が終わった後に見せてくれる約束になっていたけれど、あの件があってからは、その話しを含めて誰も僕の前では召喚獣の話しをしなくなって、僕の方からもその話題を振る事もなかった。
去年の事があってからは、少しづつ母様達とはそう言った話しをするようになったけれど、信用出来る一部の使用人達にしかその件を知らせていないため、屋敷内にはそう言った話しを避ける雰囲気がまだあった。だから、母様も今此処でその話しをしても良いのか迷っているような雰囲気だった。
それに、僕に召喚獣を見せない配慮をしていた事を意識させたくないのや、失敗した事を僕がまだ気にしているんじゃないかという不安もあるようで、母様は少し不安そうな顔を滲ませていた。
「最近は姉からエレナ達の事を教えて欲しいと、何度も最足の手紙が届いてもいたからね」
「だって、こういう機会がないと、貴方は教えてくれないでしょう~?だから、エレナ達の事は全部知ってるから大丈夫よ~」
「そうなんですね」
そんな母様の気持ちを汲んだかのように話す父様達の話しを聞いて、母様は何処か安堵したような表情を浮かべていた。今までは、それまでの事もあってお互いあまり触れずにいたけれど、来年からは授業でも始まるからには避けてはいられない。だからこそ、何時までも甘えているだけじゃなくて、僕から一歩踏み出そう。
「僕…母様のも見てみたいな…?」
「…ッ!え、えぇ!もちろん良いわよ!食事が終わったら見せて上げるわね!」
僕が躊躇いがちに言った言葉に、母様は一瞬驚いたような顔をして固まった後、まるで花が咲くような笑顔を見せながら言った。それは何だか、子供の成長でも喜ぶような視線だったため、向けられた視線が何だか少し照れくさい。そんな僕達の様子を微笑ましそうに見守っていたお姉さんが、それを止めるようにして声を上げる。
「そうね~。でも、お客様が来ているようだがら、それは食事の後の方でも良いかしら~?」
「お客様?」
僕が疑問の声を上げながら首を傾げていると、窓の方から聞き慣れない声が聞こえて来た。
「もう、話しは終わりましたかニャ?」
「ゲッ!口煩いのが来た!」
ティが呻き声を上げて見つめる視線の先には、窓枠にちょこんと座りながらこちらを見ている一匹の猫がいた。黒い毛に、胸元と足先だけが白いその猫は、まるで靴下を履いたようなその姿で、何処かで見た事がある気がしたけれど、声がした方に人の姿はない。
「朝から呼ばれて来たのに、こっちを無視するなんて酷いにゃ。それと、その言葉使いは女王としてはどうかと思いますニャ」
「どんな言葉使いをしようが私の勝手でしょ!」
「良くはないニャ。イメージ最悪ですニャ」
「猫が…喋ってる…?」
声に合わせて口が動いているし、さっきの声と声色が同じだから、喋っているのは眼の前の猫なんだろうけど、どうにも信じられない。
「えっと…夢じゃないですよね…?」
「俺にも聞こえてるから、たぶん夢じゃないと思うぞ…」
「…可愛い」
1人だけ噛み合わない事を言っているけど、母様達に驚いた様子はない。
「母様達はどうして驚いてないの?」
「先に聞いていたからよ」
「父様から聞いてたの?」
「いいえ、ティから教えて貰ったのよ。何時もアルは、大事な事を私に教えてくれないようだから」
僕が言った言葉はどうやらやぶ蛇だったようで、ニッコリと笑いながら言った母様からの一言に、そっと目を反らしていた。そして、その横に座っている兄様も、何故か気不味そうに父様の影に隠れていた。
「すまない…迎えを呼ぶ事に気を取られていたようだ…」
「アルは今回だけじゃないわよね?」
「……」
父様は、母様の言葉にぐうの音も出ないように黙り込んでいた。そうすると、様子を見ていた相手が、話す人がいなくなるのを待っていたように口を開いた。
「自己紹介しても良いですかニャ?私はティ様のお世話係をさせられているウルと言いますニャ。そちらの方には、お世話になりましたニャ」
ウルと名乗った猫は、座ったままの姿勢で僕へとペコリと頭だけを下げた。
「またリュカの知り合いか?」
「リュカは、変わった知り合いしかいないんですね…」
「知らないよ!?たぶん…」
僕の認識があらぬ方向に行きかけて抗議するけれど、記憶力に自身がないから最後の方の言葉がどうしても弱くなる。そんな僕をしり目に兄様は納得の声を上げる。
「あぁ、やっぱりあの時の猫か」
「兄様、知ってるの?」
「以前、リュカとの魔法の練習中に、怪我をして治療した猫がいただろう?」
「えっ…?あぁ!!」
僕はあの時の事を思い出しながら声を上げると、表情からは分からないけれど嬉しそうな声を上げた。
「思い出して頂けましたかニャ?人前では気軽に話せないせいで、あの時はお礼の言葉もなく失礼しましたニャ。変わりに渡したお返しは、気に入って頂けましたかニャ?」
「え…?う、うん…」
あの時に渡された虫の死骸を思い出しながら、僕は何とも微妙な気持ちで返事を返しながら頷く。
「それなら、良かったですニャ。やっぱり、おやつ感覚で食べれるのにして正解でしたニャ」
「いや…食べはしないかな…」
猫で表情は分からないけれど、満足そう声を上げる相手に、僕は戸惑いを感じながら言葉を濁していると、その会話に割って入って来る人がいた。
「ちょっと待って!こっちにあった事があるって事は、ウルはコイツの屋敷に行ってたの!?」
「行こうと思って行った訳じゃないですニャ。それに、似てるなと思っただけで、その後は言ってないですニャ」
兄様の方と父様の方を指さしながら騒ぐティに、まるで煩いとばかりに耳を少し伏せながら、淡々とした口調で答えていた。だけど、ティはそれが気に入らないようだった。
「似てるって思った時点で、私に教えなさいよ!!」
「教えたら直ぐにでも飛んで行きそうだったから黙ってましたニャ。それに、今みたいにお菓子に夢中になって帰って来ないのが落ちニャ」
「そんな事ないわよ!」
「現に、昨日は帰って来なかったニャ」
「シェリアから頼まれたから帰らなかっただけよ!」
今も食べかけのお菓子を片手に持ちながら反論している姿は、全く説得力の欠片もなかった。そう思ったのは僕だけじゃないようで、やれやれと言った雰囲気でウルは首を左右に軽く振っていた。
「とりあえず、今はそう言う事にしておきますニャ。ほら、お前もそんな所で寝ようとしてないで速く登って自己紹介すうニャ!」
「ふにゃ~、面倒くさいにゃ…」
窓の外側へと視線を下ろしながら、誰かに向かって怒っているように声を荒げると、やる気のなさそうな声が下から返って来ていた。他に誰かいるのかと思いながら見ていると、下の方からぴょんと影が飛び出てきて、ウルの隣に並ぶようにして窓枠に着地すると、眠そうなアクビをしながら右足で目や顔を擦っていた。
「少しはしゃきっとするニャ!兄として恥ずかしいニャ!」
「最初から兄と思ってないから安心するにゃ」
グレーの毛並みに同じように胸元と足元だけが白い猫は、兄に怒られても気にした様子もなく、自身のペースを崩した様子はない。
「こっちは弟のルイニャ」
「ふぁ~っ」
変わりに自己紹介して貰った事に、ルイと呼ばれた猫はあくびで返事を返していて、やる気も覇気も感じられない。
「ちょっと!私の話しは終わってないんだけど!?」
「可愛すぎて目に入らなかったにゃ」
「そ、そう!それなら、仕方ないわね!」
明らかな棒読みで、興味なさそうに言った言葉にも、顔を赤らめながら嬉しそうな顔で恥ずかしがっていた。
「相手するのが面倒になったら、適当に褒めておけば良いから楽で良いニャ」
「なぁ…?あの猫、何気に酷い事言ってないか…?」
「猫が酷い事を言うわけがないだろう」
「いや…言ってるだろ…」
真面目な顔で言うネアに、バルドは信じられないと言った様子で突っ込んでいた。何時もとは逆の事が起きている事に違和感しかないけれど、ネアにとってはそんな事は些細な事のようだった。
「猫は何を言っても許される。それに、幾らだって貢げる」
「それなら、好きなだけ貢ぐと良いニャ。全財産くれるなら、肉球くらいなら触らせてあげるニャ」
「いや!全然割に合わねぇからな!!止めとけよ!」
放っておけば本当に貢いでしまいそうな雰囲気のネアに、バルドは慌てた様子で止めに入っていた。
「バルドがネアを止めていると、違和感しかないですね…」
「…全財産か」
戸惑いの声を上げるコンラットと違って、真剣な顔と声で何とも不穏な言葉を口にする兄様の声が聞こえた。
「……やっと来たか」
僕が思い出せずに悩んでいると、父様は疲れを滲ませながらも何処か安堵した様子で呟く。すると、誰も触ってもいないのにその窓が軽い音を立てて自然に開き、鷹はそれをまるで待っていたかのように羽を広げ飛び立つと、そっと父様の左手へと止まった。
「それ?父様の?」
「そうよ。リュカは見た事なかったかし…ッ!カルロは普段から屋敷内にいない事が多いから、リュカは見た事がないかもしれないわね!ねぇ!?アル!」
「そうだね。昨日から仕事を頼んでいたし、確かに屋敷にいない時の方が多いかな」
僕が母様に訪ねると、母様は途中で少し言葉を濁しながら、同意を求めるようにして父様へと話しを振っていた。話しかけれた方の父様は、まるで母様を落ち着かせるようとするかのような穏やかな声で返事を返していた。
「それに、カルロの爪は意外と鋭くて危ないから、怪我をするといけないしね」
僕が小さい頃は牙や爪もあって危ないという事で、小動物くらいしか触らせて貰えなった。だけど、フェリコ先生から召喚獣の事を見せて貰った後は、契約しているなら大丈夫だと言われ、父様が帰って来る前に母様に頼んでみた事があった。その時は、母様から儀式の日まで探してみてねと言われ、僕はかくれんぼの鬼になったかのようにして庭を探して回ったいた。けれど、僕には屋敷の庭は広すぎて見つけられる事が出来なかった。
儀式が終わった後に見せてくれる約束になっていたけれど、あの件があってからは、その話しを含めて誰も僕の前では召喚獣の話しをしなくなって、僕の方からもその話題を振る事もなかった。
去年の事があってからは、少しづつ母様達とはそう言った話しをするようになったけれど、信用出来る一部の使用人達にしかその件を知らせていないため、屋敷内にはそう言った話しを避ける雰囲気がまだあった。だから、母様も今此処でその話しをしても良いのか迷っているような雰囲気だった。
それに、僕に召喚獣を見せない配慮をしていた事を意識させたくないのや、失敗した事を僕がまだ気にしているんじゃないかという不安もあるようで、母様は少し不安そうな顔を滲ませていた。
「最近は姉からエレナ達の事を教えて欲しいと、何度も最足の手紙が届いてもいたからね」
「だって、こういう機会がないと、貴方は教えてくれないでしょう~?だから、エレナ達の事は全部知ってるから大丈夫よ~」
「そうなんですね」
そんな母様の気持ちを汲んだかのように話す父様達の話しを聞いて、母様は何処か安堵したような表情を浮かべていた。今までは、それまでの事もあってお互いあまり触れずにいたけれど、来年からは授業でも始まるからには避けてはいられない。だからこそ、何時までも甘えているだけじゃなくて、僕から一歩踏み出そう。
「僕…母様のも見てみたいな…?」
「…ッ!え、えぇ!もちろん良いわよ!食事が終わったら見せて上げるわね!」
僕が躊躇いがちに言った言葉に、母様は一瞬驚いたような顔をして固まった後、まるで花が咲くような笑顔を見せながら言った。それは何だか、子供の成長でも喜ぶような視線だったため、向けられた視線が何だか少し照れくさい。そんな僕達の様子を微笑ましそうに見守っていたお姉さんが、それを止めるようにして声を上げる。
「そうね~。でも、お客様が来ているようだがら、それは食事の後の方でも良いかしら~?」
「お客様?」
僕が疑問の声を上げながら首を傾げていると、窓の方から聞き慣れない声が聞こえて来た。
「もう、話しは終わりましたかニャ?」
「ゲッ!口煩いのが来た!」
ティが呻き声を上げて見つめる視線の先には、窓枠にちょこんと座りながらこちらを見ている一匹の猫がいた。黒い毛に、胸元と足先だけが白いその猫は、まるで靴下を履いたようなその姿で、何処かで見た事がある気がしたけれど、声がした方に人の姿はない。
「朝から呼ばれて来たのに、こっちを無視するなんて酷いにゃ。それと、その言葉使いは女王としてはどうかと思いますニャ」
「どんな言葉使いをしようが私の勝手でしょ!」
「良くはないニャ。イメージ最悪ですニャ」
「猫が…喋ってる…?」
声に合わせて口が動いているし、さっきの声と声色が同じだから、喋っているのは眼の前の猫なんだろうけど、どうにも信じられない。
「えっと…夢じゃないですよね…?」
「俺にも聞こえてるから、たぶん夢じゃないと思うぞ…」
「…可愛い」
1人だけ噛み合わない事を言っているけど、母様達に驚いた様子はない。
「母様達はどうして驚いてないの?」
「先に聞いていたからよ」
「父様から聞いてたの?」
「いいえ、ティから教えて貰ったのよ。何時もアルは、大事な事を私に教えてくれないようだから」
僕が言った言葉はどうやらやぶ蛇だったようで、ニッコリと笑いながら言った母様からの一言に、そっと目を反らしていた。そして、その横に座っている兄様も、何故か気不味そうに父様の影に隠れていた。
「すまない…迎えを呼ぶ事に気を取られていたようだ…」
「アルは今回だけじゃないわよね?」
「……」
父様は、母様の言葉にぐうの音も出ないように黙り込んでいた。そうすると、様子を見ていた相手が、話す人がいなくなるのを待っていたように口を開いた。
「自己紹介しても良いですかニャ?私はティ様のお世話係をさせられているウルと言いますニャ。そちらの方には、お世話になりましたニャ」
ウルと名乗った猫は、座ったままの姿勢で僕へとペコリと頭だけを下げた。
「またリュカの知り合いか?」
「リュカは、変わった知り合いしかいないんですね…」
「知らないよ!?たぶん…」
僕の認識があらぬ方向に行きかけて抗議するけれど、記憶力に自身がないから最後の方の言葉がどうしても弱くなる。そんな僕をしり目に兄様は納得の声を上げる。
「あぁ、やっぱりあの時の猫か」
「兄様、知ってるの?」
「以前、リュカとの魔法の練習中に、怪我をして治療した猫がいただろう?」
「えっ…?あぁ!!」
僕はあの時の事を思い出しながら声を上げると、表情からは分からないけれど嬉しそうな声を上げた。
「思い出して頂けましたかニャ?人前では気軽に話せないせいで、あの時はお礼の言葉もなく失礼しましたニャ。変わりに渡したお返しは、気に入って頂けましたかニャ?」
「え…?う、うん…」
あの時に渡された虫の死骸を思い出しながら、僕は何とも微妙な気持ちで返事を返しながら頷く。
「それなら、良かったですニャ。やっぱり、おやつ感覚で食べれるのにして正解でしたニャ」
「いや…食べはしないかな…」
猫で表情は分からないけれど、満足そう声を上げる相手に、僕は戸惑いを感じながら言葉を濁していると、その会話に割って入って来る人がいた。
「ちょっと待って!こっちにあった事があるって事は、ウルはコイツの屋敷に行ってたの!?」
「行こうと思って行った訳じゃないですニャ。それに、似てるなと思っただけで、その後は言ってないですニャ」
兄様の方と父様の方を指さしながら騒ぐティに、まるで煩いとばかりに耳を少し伏せながら、淡々とした口調で答えていた。だけど、ティはそれが気に入らないようだった。
「似てるって思った時点で、私に教えなさいよ!!」
「教えたら直ぐにでも飛んで行きそうだったから黙ってましたニャ。それに、今みたいにお菓子に夢中になって帰って来ないのが落ちニャ」
「そんな事ないわよ!」
「現に、昨日は帰って来なかったニャ」
「シェリアから頼まれたから帰らなかっただけよ!」
今も食べかけのお菓子を片手に持ちながら反論している姿は、全く説得力の欠片もなかった。そう思ったのは僕だけじゃないようで、やれやれと言った雰囲気でウルは首を左右に軽く振っていた。
「とりあえず、今はそう言う事にしておきますニャ。ほら、お前もそんな所で寝ようとしてないで速く登って自己紹介すうニャ!」
「ふにゃ~、面倒くさいにゃ…」
窓の外側へと視線を下ろしながら、誰かに向かって怒っているように声を荒げると、やる気のなさそうな声が下から返って来ていた。他に誰かいるのかと思いながら見ていると、下の方からぴょんと影が飛び出てきて、ウルの隣に並ぶようにして窓枠に着地すると、眠そうなアクビをしながら右足で目や顔を擦っていた。
「少しはしゃきっとするニャ!兄として恥ずかしいニャ!」
「最初から兄と思ってないから安心するにゃ」
グレーの毛並みに同じように胸元と足元だけが白い猫は、兄に怒られても気にした様子もなく、自身のペースを崩した様子はない。
「こっちは弟のルイニャ」
「ふぁ~っ」
変わりに自己紹介して貰った事に、ルイと呼ばれた猫はあくびで返事を返していて、やる気も覇気も感じられない。
「ちょっと!私の話しは終わってないんだけど!?」
「可愛すぎて目に入らなかったにゃ」
「そ、そう!それなら、仕方ないわね!」
明らかな棒読みで、興味なさそうに言った言葉にも、顔を赤らめながら嬉しそうな顔で恥ずかしがっていた。
「相手するのが面倒になったら、適当に褒めておけば良いから楽で良いニャ」
「なぁ…?あの猫、何気に酷い事言ってないか…?」
「猫が酷い事を言うわけがないだろう」
「いや…言ってるだろ…」
真面目な顔で言うネアに、バルドは信じられないと言った様子で突っ込んでいた。何時もとは逆の事が起きている事に違和感しかないけれど、ネアにとってはそんな事は些細な事のようだった。
「猫は何を言っても許される。それに、幾らだって貢げる」
「それなら、好きなだけ貢ぐと良いニャ。全財産くれるなら、肉球くらいなら触らせてあげるニャ」
「いや!全然割に合わねぇからな!!止めとけよ!」
放っておけば本当に貢いでしまいそうな雰囲気のネアに、バルドは慌てた様子で止めに入っていた。
「バルドがネアを止めていると、違和感しかないですね…」
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