20 / 279
本編
第19話『高嶺さんが作るお昼ご飯』
しおりを挟む
俺は食卓に座り、焼きそばを作る高嶺さんの様子を見守ることに。
今、高嶺さんは焼きそばの材料を切っている。手つきからして、料理をするのに慣れていると分かる。こういう家庭的な姿を見るのは初めてだ。新鮮でいいな。
ちなみに、卓哉さんと裕子さんはソファーに座って食後のコーヒータイム。裕子さんは娘2人からプレゼントされたバームクーヘンをさっそく食べている。美味しいのか、ニッコリとした笑顔になっている。高嶺さんの母親だけあって可愛らしい笑顔だ。
「悠真さん。冷たい麦茶をどうぞ」
柚月ちゃんは麦茶の入ったコップを置くと、俺の隣の椅子に座る。
俺は柚月ちゃんが出してくれた麦茶を一口飲む。
「美味しい」
「良かったです。今日もバイトお疲れ様でした」
「ありがとう」
柚月ちゃんに言われるとは思わなかったから、結構嬉しい。
こうして改めて見てみると、柚月ちゃんは可愛い雰囲気の子だなぁ。高嶺さんに似て、目もパッチリとしているし。さすがは姉妹。
「お姉ちゃんが悠真さんのことをたくさん話すので、悠真さんがここにいるのがとても凄いことに思えます」
「そ、そうか」
高嶺さんのご家族の反応を見ていると、何だか有名人になった気分だ。低変人としては多くの人に名が知られているけど。ただ、顔とか声を晒していないので、有名人である感覚はあまりない。
「あたしは兄がいないので、年上の男性っていいなって思います。悠真さんだからかもしれませんけど」
「そう言ってくれて嬉しいな。俺は姉がいるけど、妹はいないんだ。姉の友達とか年上の女性と遊ぶことはあったけど。年下の女性は全然関わりがなくて。妹がほしいって思ったことがあったな」
「あたしも、悠真さんのような優しいお兄さんがいるといいなって何度も思ったことがあります!」
「嬉しいことを言ってくれるね」
俺は柚月ちゃんの頭を優しく撫でる。そのことで柚月ちゃんは柔らかい笑みを浮かべてくれて。妹がいたらこんな感じだったのかなって思う。
「ふっ、ふっ、ふっ……」
高嶺さんはそんな笑い声を出すと俺達の方を向き、
「柚月。悠真君。その2つの希望を同時に叶える方法があるよ。悠真君と私が結婚すればいいんだよ! そうすれば、義理だけど柚月と悠真君が兄妹になるからね! 私は悠真君が旦那さんになるし、これでみんながハッピーになるよっ!」
言葉通りのハッピーな笑顔になる高嶺さん。
リビングの方までちゃんと聞こえていたようで、裕子さんと卓哉さんの上品な笑い声が聞こえてくる。チラッと振り返ってみると、2人とも穏やかな笑みを浮かべていて。娘がこんなことを言ったら、特に父親の方は不機嫌になったり、複雑そうな表情になったりしそうなものだけど。それだけ、俺なら大丈夫だと思ってくれているのかな。
「確かに、悠真さんがお姉ちゃんと結婚すれば、あたし達は兄妹になれるね」
「そうだよ。だから、柚月のためにも結婚を前提にお付き合いをしませんか!」
高嶺さんは目を輝かせながらそう言ってくる。御両親にも聞こえる中で、柚月ちゃんのためだと言えば断りづらいと考えたのだろうか。
「今はまだ、恋人として付き合う気はないな」
さすがにあの告白から数日ほどで、恋人として付き合いたいほど高嶺さんの印象は良くなってない。可愛いと思うことはもちろんあるけど、勝手に家に来るなど印象が悪くなった出来事もあったし。
はっきりと断ったけど、高嶺さんは悲しい様子は全く見せない。
「まだダメか。ちなみに、この前告白されたときより好感度は上がっているかな?」
「ちょっとは上がったな」
「それなら良かった」
高嶺さんはニッコリと笑うと、焼きそば作りを再開する。
もうすぐ出来上がるのか、ソースのいい匂いがしてきた。そのことで腹がかなり減ってきた。今日は朝からバイトをしていたし、朝ご飯の後に口にしたのは、休憩中に飲んだ砂糖入りのコーヒーくらいだったから。
「前にお姉ちゃんから、メガネを外したときの悠真さんの写真を見せてもらって。その写真の悠真さんがとても格好良かったので、生で見せてもらってもいいですか?」
「ああ」
高嶺さん、メガネを外した俺の写真を柚月ちゃんに見せたのか。そういえば、あのときの高嶺さんはイケメンだと褒めてくれたっけ。
メガネを外して柚月ちゃんを見ると、柚月ちゃんの頬が一瞬にして赤くなっていくのが見えた。
「お姉ちゃんの言う通り、生で見るとよりかっこいいですね!」
「でしょう?」
「……どうもありがとう」
「でも、悠真さんの前髪が長くて目が隠れがちなので、分け目を作るとよりかっこいいかもしれません。髪を触ってもいいですか?」
「いいよ」
柚月ちゃんが髪を触りやすくするために、椅子を動かし柚月ちゃんの方に向いて座る。
すると、柚月ちゃんが俺の前髪に触れてくる。そのことで、高嶺さんとは違う甘い匂いが香ってくる。
「サラサラしていて柔らかい髪ですね。あたしのクラスにも金髪の女の子がいますけど、その子よりも綺麗かも」
金髪についても昔から馬鹿にされることが多かったので、柚月ちゃんに褒めてもらえるのは嬉しい。この金色の髪は染めているんじゃなくて、両親からもらったものだから。
「うん! よりかっこよくなった気がします!」
「えっ、うそっ!」
高嶺さんは柚月ちゃんの後ろに回り込んで、俺を見てくる。すると、柚月ちゃんとは比べものにならないほどの笑みを浮かべ、
「凄くかっこいいよ! 写真撮ってもいいかな?」
「はいどうぞ」
高嶺さんは食卓に置いてあったスマホを手に取って、俺のことを撮影した。そんな結衣の横で柚月ちゃんもスマホで撮っていた。よく似た姉妹だなと実感する。
いい写真を撮れた、と高嶺さんは幸せな様子になり、料理を再開する。ただ、完成間近だったようで、それからすぐにお皿に焼きそばをよそった。
「悠真君、ソース焼きそばができました!」
高嶺さんはソース焼きそばを俺の前に置く。
「とっても美味しそうだ」
「ありがとう。焼きそばは得意料理の一つだから、味にも自信があるよ!」
「そうなのか。より楽しみだ」
玉子焼きもタコさんウィンナーも美味しかったから、この焼きそばも期待できそうだ。
エプロンを脱いだ高嶺さんは食卓を挟み、俺と向かい合うようにして席に座った。
「じゃあ、さっそく食べようか!」
「そうだな。いただきます」
「いただきます!」
高嶺さんが作ってくれたソース焼きそばを一口食べてみる。
「おっ、美味い!」
味加減がほどよく、肉や野菜の具材の火の通り具合もちょうどいい。あと、柔らかくなっている天かすがいいな。
俺が美味いと言ったからか、高嶺さんはとても嬉しそうな様子で焼きそばを食べている。モグモグしている高嶺さんは子供っぽさも感じられて可愛らしい。
「うん、美味しくできてる。こうやって、悠真君と一緒に食事をしていると同棲しているみたい。それは昨日、悠真君の家でお昼ご飯をいただいたときにも思ったけど」
今ほどじゃないけど、昨日の昼食のときも高嶺さんは嬉しそうにざるそばを食べていたな。
「あと、悠真君に美味しいって言ってもらえて嬉しい。前から思っていたんだけど、悠真君は美味しいものを食べたときはちゃんと『美味しい!』って言うよね。普段は物静かだから、そんなイメージがなくて」
「学校で弁当を食べているときは黙って食べるけど、家で食事するときは普通に美味しいって言うよ。美味しいって言うとより美味しく感じられるし。もちろん、この焼きそばも本当に美味しいと思った。作ってくれてありがとう、高嶺さん」
「……うん。どういたしまして」
高嶺さんは顔を真っ赤にして、しおらしい雰囲気になる。両親や妹の前で褒められたのが照れくさいのだろうか。俺の隣で柚月ちゃんが「かわいい」と微笑んでいる。
「ゆ、悠真きゅんっ! あううっ」
甲高い声が出て、しかも噛んでしまったからか、高嶺さんは頬を赤くし、視線をちらつかせている。
「お、美味しいって言ってくれたお礼に、私が一口食べさせてあげるよ!」
俺の返答を聞く前から、一口分の焼きそばを掴んだ箸を俺の近くまで持ってきている。俺に食べさせる気満々のようだ。見ているのは柚月ちゃんだけだからいいか。
「分かった。じゃあ、お願いするよ」
「うん! じゃあ……あ~ん」
高嶺さんに焼きそばを食べさせてもらう。すぐ側から「きゃーっ」と柚月ちゃんの黄色い声が聞こえるけど気にするな。
「うん、美味しいよ、高嶺さん」
「良かった。さらに幸せな気持ちになりました。……もし、悠真君さえよければ、一口でいいから悠真君に食べさせてほしいなって」
「高嶺さんならそう言うと思ったよ。学校で玉子焼きを食べさせたこともあるし、全然かまわないよ。……はい、あーん」
「あ~ん」
高嶺さんの一口が分からないので、自分よりも少なめの焼きそばを高嶺さんに食べさせる。高嶺さんは今が至福のときと言わんばかりの笑顔で食べている。
「凄く美味しくなった。悠真君に食べさせてもらうのが最高の調味料だね」
「そりゃどうも」
「お姉ちゃんと悠真さんを見ていると、仲のいいカップルに見えてくるよ。凄くキュンとなっちゃった」
「そうね。お父さんと付き合い始めた頃を思い出すわ……」
柚月ちゃんと裕子さんはうっとりとした表情で俺と高嶺さんのことを見る。というか、裕子さんは柚月ちゃんの側まで来ていたのか。全然気付かなかった。
前に高嶺さんが玉子焼きを持ってきてくれたとき、高嶺さんに食べさせた。ただ、もしかしたら、その様子を見て、俺達が付き合うようになったと思った生徒がいたかもしれないな。
その後も、柚月ちゃんと裕子さんの熱い視線を浴びながら焼きそばを食べた。ごちそうさまでした。
今、高嶺さんは焼きそばの材料を切っている。手つきからして、料理をするのに慣れていると分かる。こういう家庭的な姿を見るのは初めてだ。新鮮でいいな。
ちなみに、卓哉さんと裕子さんはソファーに座って食後のコーヒータイム。裕子さんは娘2人からプレゼントされたバームクーヘンをさっそく食べている。美味しいのか、ニッコリとした笑顔になっている。高嶺さんの母親だけあって可愛らしい笑顔だ。
「悠真さん。冷たい麦茶をどうぞ」
柚月ちゃんは麦茶の入ったコップを置くと、俺の隣の椅子に座る。
俺は柚月ちゃんが出してくれた麦茶を一口飲む。
「美味しい」
「良かったです。今日もバイトお疲れ様でした」
「ありがとう」
柚月ちゃんに言われるとは思わなかったから、結構嬉しい。
こうして改めて見てみると、柚月ちゃんは可愛い雰囲気の子だなぁ。高嶺さんに似て、目もパッチリとしているし。さすがは姉妹。
「お姉ちゃんが悠真さんのことをたくさん話すので、悠真さんがここにいるのがとても凄いことに思えます」
「そ、そうか」
高嶺さんのご家族の反応を見ていると、何だか有名人になった気分だ。低変人としては多くの人に名が知られているけど。ただ、顔とか声を晒していないので、有名人である感覚はあまりない。
「あたしは兄がいないので、年上の男性っていいなって思います。悠真さんだからかもしれませんけど」
「そう言ってくれて嬉しいな。俺は姉がいるけど、妹はいないんだ。姉の友達とか年上の女性と遊ぶことはあったけど。年下の女性は全然関わりがなくて。妹がほしいって思ったことがあったな」
「あたしも、悠真さんのような優しいお兄さんがいるといいなって何度も思ったことがあります!」
「嬉しいことを言ってくれるね」
俺は柚月ちゃんの頭を優しく撫でる。そのことで柚月ちゃんは柔らかい笑みを浮かべてくれて。妹がいたらこんな感じだったのかなって思う。
「ふっ、ふっ、ふっ……」
高嶺さんはそんな笑い声を出すと俺達の方を向き、
「柚月。悠真君。その2つの希望を同時に叶える方法があるよ。悠真君と私が結婚すればいいんだよ! そうすれば、義理だけど柚月と悠真君が兄妹になるからね! 私は悠真君が旦那さんになるし、これでみんながハッピーになるよっ!」
言葉通りのハッピーな笑顔になる高嶺さん。
リビングの方までちゃんと聞こえていたようで、裕子さんと卓哉さんの上品な笑い声が聞こえてくる。チラッと振り返ってみると、2人とも穏やかな笑みを浮かべていて。娘がこんなことを言ったら、特に父親の方は不機嫌になったり、複雑そうな表情になったりしそうなものだけど。それだけ、俺なら大丈夫だと思ってくれているのかな。
「確かに、悠真さんがお姉ちゃんと結婚すれば、あたし達は兄妹になれるね」
「そうだよ。だから、柚月のためにも結婚を前提にお付き合いをしませんか!」
高嶺さんは目を輝かせながらそう言ってくる。御両親にも聞こえる中で、柚月ちゃんのためだと言えば断りづらいと考えたのだろうか。
「今はまだ、恋人として付き合う気はないな」
さすがにあの告白から数日ほどで、恋人として付き合いたいほど高嶺さんの印象は良くなってない。可愛いと思うことはもちろんあるけど、勝手に家に来るなど印象が悪くなった出来事もあったし。
はっきりと断ったけど、高嶺さんは悲しい様子は全く見せない。
「まだダメか。ちなみに、この前告白されたときより好感度は上がっているかな?」
「ちょっとは上がったな」
「それなら良かった」
高嶺さんはニッコリと笑うと、焼きそば作りを再開する。
もうすぐ出来上がるのか、ソースのいい匂いがしてきた。そのことで腹がかなり減ってきた。今日は朝からバイトをしていたし、朝ご飯の後に口にしたのは、休憩中に飲んだ砂糖入りのコーヒーくらいだったから。
「前にお姉ちゃんから、メガネを外したときの悠真さんの写真を見せてもらって。その写真の悠真さんがとても格好良かったので、生で見せてもらってもいいですか?」
「ああ」
高嶺さん、メガネを外した俺の写真を柚月ちゃんに見せたのか。そういえば、あのときの高嶺さんはイケメンだと褒めてくれたっけ。
メガネを外して柚月ちゃんを見ると、柚月ちゃんの頬が一瞬にして赤くなっていくのが見えた。
「お姉ちゃんの言う通り、生で見るとよりかっこいいですね!」
「でしょう?」
「……どうもありがとう」
「でも、悠真さんの前髪が長くて目が隠れがちなので、分け目を作るとよりかっこいいかもしれません。髪を触ってもいいですか?」
「いいよ」
柚月ちゃんが髪を触りやすくするために、椅子を動かし柚月ちゃんの方に向いて座る。
すると、柚月ちゃんが俺の前髪に触れてくる。そのことで、高嶺さんとは違う甘い匂いが香ってくる。
「サラサラしていて柔らかい髪ですね。あたしのクラスにも金髪の女の子がいますけど、その子よりも綺麗かも」
金髪についても昔から馬鹿にされることが多かったので、柚月ちゃんに褒めてもらえるのは嬉しい。この金色の髪は染めているんじゃなくて、両親からもらったものだから。
「うん! よりかっこよくなった気がします!」
「えっ、うそっ!」
高嶺さんは柚月ちゃんの後ろに回り込んで、俺を見てくる。すると、柚月ちゃんとは比べものにならないほどの笑みを浮かべ、
「凄くかっこいいよ! 写真撮ってもいいかな?」
「はいどうぞ」
高嶺さんは食卓に置いてあったスマホを手に取って、俺のことを撮影した。そんな結衣の横で柚月ちゃんもスマホで撮っていた。よく似た姉妹だなと実感する。
いい写真を撮れた、と高嶺さんは幸せな様子になり、料理を再開する。ただ、完成間近だったようで、それからすぐにお皿に焼きそばをよそった。
「悠真君、ソース焼きそばができました!」
高嶺さんはソース焼きそばを俺の前に置く。
「とっても美味しそうだ」
「ありがとう。焼きそばは得意料理の一つだから、味にも自信があるよ!」
「そうなのか。より楽しみだ」
玉子焼きもタコさんウィンナーも美味しかったから、この焼きそばも期待できそうだ。
エプロンを脱いだ高嶺さんは食卓を挟み、俺と向かい合うようにして席に座った。
「じゃあ、さっそく食べようか!」
「そうだな。いただきます」
「いただきます!」
高嶺さんが作ってくれたソース焼きそばを一口食べてみる。
「おっ、美味い!」
味加減がほどよく、肉や野菜の具材の火の通り具合もちょうどいい。あと、柔らかくなっている天かすがいいな。
俺が美味いと言ったからか、高嶺さんはとても嬉しそうな様子で焼きそばを食べている。モグモグしている高嶺さんは子供っぽさも感じられて可愛らしい。
「うん、美味しくできてる。こうやって、悠真君と一緒に食事をしていると同棲しているみたい。それは昨日、悠真君の家でお昼ご飯をいただいたときにも思ったけど」
今ほどじゃないけど、昨日の昼食のときも高嶺さんは嬉しそうにざるそばを食べていたな。
「あと、悠真君に美味しいって言ってもらえて嬉しい。前から思っていたんだけど、悠真君は美味しいものを食べたときはちゃんと『美味しい!』って言うよね。普段は物静かだから、そんなイメージがなくて」
「学校で弁当を食べているときは黙って食べるけど、家で食事するときは普通に美味しいって言うよ。美味しいって言うとより美味しく感じられるし。もちろん、この焼きそばも本当に美味しいと思った。作ってくれてありがとう、高嶺さん」
「……うん。どういたしまして」
高嶺さんは顔を真っ赤にして、しおらしい雰囲気になる。両親や妹の前で褒められたのが照れくさいのだろうか。俺の隣で柚月ちゃんが「かわいい」と微笑んでいる。
「ゆ、悠真きゅんっ! あううっ」
甲高い声が出て、しかも噛んでしまったからか、高嶺さんは頬を赤くし、視線をちらつかせている。
「お、美味しいって言ってくれたお礼に、私が一口食べさせてあげるよ!」
俺の返答を聞く前から、一口分の焼きそばを掴んだ箸を俺の近くまで持ってきている。俺に食べさせる気満々のようだ。見ているのは柚月ちゃんだけだからいいか。
「分かった。じゃあ、お願いするよ」
「うん! じゃあ……あ~ん」
高嶺さんに焼きそばを食べさせてもらう。すぐ側から「きゃーっ」と柚月ちゃんの黄色い声が聞こえるけど気にするな。
「うん、美味しいよ、高嶺さん」
「良かった。さらに幸せな気持ちになりました。……もし、悠真君さえよければ、一口でいいから悠真君に食べさせてほしいなって」
「高嶺さんならそう言うと思ったよ。学校で玉子焼きを食べさせたこともあるし、全然かまわないよ。……はい、あーん」
「あ~ん」
高嶺さんの一口が分からないので、自分よりも少なめの焼きそばを高嶺さんに食べさせる。高嶺さんは今が至福のときと言わんばかりの笑顔で食べている。
「凄く美味しくなった。悠真君に食べさせてもらうのが最高の調味料だね」
「そりゃどうも」
「お姉ちゃんと悠真さんを見ていると、仲のいいカップルに見えてくるよ。凄くキュンとなっちゃった」
「そうね。お父さんと付き合い始めた頃を思い出すわ……」
柚月ちゃんと裕子さんはうっとりとした表情で俺と高嶺さんのことを見る。というか、裕子さんは柚月ちゃんの側まで来ていたのか。全然気付かなかった。
前に高嶺さんが玉子焼きを持ってきてくれたとき、高嶺さんに食べさせた。ただ、もしかしたら、その様子を見て、俺達が付き合うようになったと思った生徒がいたかもしれないな。
その後も、柚月ちゃんと裕子さんの熱い視線を浴びながら焼きそばを食べた。ごちそうさまでした。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ
桜庭かなめ
恋愛
高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。
あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。
3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。
出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2026.1.21)
※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録や感想をお待ちしております。
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる