僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?

いちみやりょう

文字の大きさ
28 / 43

24

しおりを挟む
■笹原side

俺は、千景くんの書く本が大好きだった。
千景君が書いてるとは知らずに、千景君の本の話を熱く語っちゃった時は恥ずかしかったなぁ。

俺は無言の加害者っていうか、千景君に対するいじめを見て見ぬ振りしていた最低野郎なのに、千景君はそれを許してくれて友達になってくれた。
あの頃、千景君が死んで多くの人が悲しんだ。
テレビでは連日、千景君の死が語られるほどで書いた本は爆発的に売れ、その印税は全て各施設に寄付されたらしい。

俺は千景君から余命を伝えられていたおかげなのか、友人の死を乗り越えるのは早かった。
千景君は亡くなった時、満足そうな顔をしていたと聞いたし、待っていてくれる人がいると言っていたから、俺なりの解釈で千景君は今はどこかで静かに、幸せに暮らしているんだと思っていた。だから、薄情と言われても仕方ないかもしれないけど、千景君の死は胸にしまって前向きに生きていた。

そんなある日、俺は死にそうな顔をした青砥に呼び出された。
ストロベリー&チョコチップフラペチーノを飲みながら青戸の話を促す。
正直に言って、青砥とほとんど話もしたことないからこの空間は苦痛だ。

いまだに千景君の死を引きずってますって顔で、千景君の小説の話を始めた青砥に、俺は何も気がついてないですって顔で千景君の残した小説について語った。

その数日後くらいに、今度は和樹に呼び出された。

「呪いとかって信じる?」

開口一番そう言ってのけた和樹に俺は首を傾げた。

「いや、まぁ信じるっていうかあるんじゃないかなぁくらいは」
「最近、風邪を拗らせることが多くなったんだ。今日はたまたま体調が良いから、こうやって笹原に会えているんだけど」
「そうなんだ」

風邪を拗らせるなんて、和樹が言ってても信用ならないなと思いながら適当に答えた。
けど、見た目的に言えば確かに体調はかなり悪そうだ。顔色は青色通り越して灰色みたいだし、目の焦点もあっていないように見える。

「それ、呪いなんじゃないかと思って」

ポツリと和樹が呟いた。

「そうかー、じゃあ神社とか寺とか行ったほうがいいんじゃないの? 俺じゃなくて」
「そうなんだけど、笹原は千景と仲良かったから」
「千景君が呪ってるんじゃないかって? そんな訳ないじゃん。不愉快だよ」
「でも」
「でも、なに」
「ここ最近、ずっとついてなくて、それに3日前から目に黒いもやがかかっているように見えて、それでそれがどんどん悪化してるんだ。今は、少ししか見えてない。明日にはもう何も見えなくなるかもしれない」
「それは眼科に行ったほうがいいんじゃないか?」
「眼科なんてもう行ったよ! 内科の病院にも行った。だけど、風邪の治りも悪いままだし、目も治らないんだ」
「千景君以外にも心当たりあるでしょ?」
「そんなのないよ」
「嘘だ。色々噂は聞いてるよ。大学でも千景君にしたのと同じようなことをしてるでしょう? それで、どのアルファも青砥みたいにバカじゃないから、君はアルファから遠巻きにされてるって噂だけど?」
「っ、だって、僕は可愛くて美しいから、いいアルファを見つけないと。僕の隣には良いアルファが居るべきだから、その近くにオメガがいたら排除してたよ。でも、その中で死んでるのは千景だけだから、呪ってるなら千景でしょ!」

死んだ後まで千景君を悪く言われて、俺は心底ムカついた。

「呪うのなんて生きてる人間だってするでしょ? むしろ生きてる人間がするやつでしょ?」
「だ、だって、僕……怖いんだよ」
「自業自得だと思うな俺は」

そう告げ、お茶の代金を置いて去ろうとすると、和樹は突然咳き込み始めた。
それは仮病みたいには見えなくて、相当やばい感じだった。
カフェの店員さんがすぐに救急車を呼んでくれて、俺はそれに付き添う羽目になった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。

オメガなのにムキムキに成長したんだが?

未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。 なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。 お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。 発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。 ※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。 同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

処理中です...