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第6章
44.暴かれる恋心
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『フレイムの過去視や遠視をどうやってすり抜けた?』
問いかけたのはフレイムではなく、またもラミルファだった。悪神からの声かけに身を竦ませたマイカだが、観念したように口の中で呟く。
『臨時でここに派遣される時、火神様から一時的に貸し与えられた神器を使いました。燁神様のお世話が滞りなくできるようにと賜ったものです』
『なるほど。視たところ、君の霊威は相当弱い。高位神の側仕えをするには力不足だから、補助として貸与されたのだろう。熱心にアマーリエ付きを望む心を汲んでのご対応だったのかな』
疫神が委任状の在り処を追うために打ち出した雷撃は、フレイムの領域の一点を貫いていた。臨時で派遣された精霊たちのために用意した控え室を。そこにあるということは、増員された下働きの誰かが盗んだのだ。その時点で、該当する精霊の情報はラミルファやフルードたちに共有した。マイカが自身の強い希望でここに来たことも。
そして、臨時でやって来た精霊たちの内面を密かに遠視し、邪念を押し秘めている者がいないか探ったのだが、それらしい念は視えなかった。ゆえに一芝居打ち、決定的な現場を押さえることにしたのだ。おそらく、マイカは火神の神器を発動させ、こちらからは色々な物事が視えないよう結界を張っていたのだろう。
『まさかその神器を悪用し、逆にアマーリエを窮地に落とし込もうとするとは。火神様の御意を無下にするにも程がある』
『火神様は情がお篤い。下働きにも心を配る。その時点では何の非もない精霊の心の中を覗き見て、悪意や邪念があるか視通すことはせん。下位の者の尊厳にも配慮なさる御方だからな。ゆえに気付かなんだのであろう』
両手を頭の後ろで組んだラミルファと、腕組みした疫神が交互に言う。僅かにウェーブがかった長髪を揺らめかせ、暴れ神が嘲笑を纏った。
『だが、賜った神器は過剰使用で機能停止を起こしたようだ。高位神の探索を幾度もかわし続けていれば、当然そうなるだろう。所詮は補助的に賜った物でしかない』
臨時で仕える精霊の誰かが盗難者であると目星を付けたアマーリエたちだが、その影には高位神がいる可能性を考えた。フレイムの力でも小箱の所在を視通せなかったからだ。焔神と同格以上の神に命じられ、そのバックアップを受けているのではないか。ならば、下手をすればアマーリエはもちろん、フルードも返り討ちに遭いかねない。
そう考えたため、フレイムだけでなく疫神とラミルファも芝居に参加し、アマーリエとフルードを守ることにした。いざとなれば真の神格を出す腹づもりだったのだ。
『神器の壁が消えたからだろう、今はお前の心がよく視える。嫉妬と羨望が渦巻く美しい心だ』
獰猛な獣のように目を見開いた暴神が嗤う。悪神基準で美しいのだから、つまりそういうことだ。末の邪神も、楽しい玩具を見付けた顔で兄に続く。
『僕は悪神だから、火神様のような気遣いは皆無だ。君の心だろうが過去だろうがプライベートだろうが、片っ端から視てやろう。どれどれ……君はフレイムが精霊だった頃から、彼のことが好きだった。だが、素直になれず上から目線の傲慢な言動を繰り返すだけで、完全なる片想い。フレイムは君の好意に気付いてすらいなかったようだ』
『や、やめっ……』
こうなるともはや公開処刑だ。青ざめさせていた顔を一転して真っ赤に染めたマイカが制止しようとするが、ドス黒い神威の圧に声と動きをもろとも封じられる。
『フレイムが神になった後も密かに想い続け、妻を得たと聞いてアマーリエに嫉妬していた。そして大饗の宴で、フレイムと仲睦まじいアマーリエを見たことで恋慕の情が制御を外れ、暴走して今回の計画を企てたわけか』
集った全員の前で容赦なく恋心を暴かれ、少女の形をした精霊は羞恥と悲憤に震えている。その目がアマーリエを睨み、悔しげに細められた。
問いかけたのはフレイムではなく、またもラミルファだった。悪神からの声かけに身を竦ませたマイカだが、観念したように口の中で呟く。
『臨時でここに派遣される時、火神様から一時的に貸し与えられた神器を使いました。燁神様のお世話が滞りなくできるようにと賜ったものです』
『なるほど。視たところ、君の霊威は相当弱い。高位神の側仕えをするには力不足だから、補助として貸与されたのだろう。熱心にアマーリエ付きを望む心を汲んでのご対応だったのかな』
疫神が委任状の在り処を追うために打ち出した雷撃は、フレイムの領域の一点を貫いていた。臨時で派遣された精霊たちのために用意した控え室を。そこにあるということは、増員された下働きの誰かが盗んだのだ。その時点で、該当する精霊の情報はラミルファやフルードたちに共有した。マイカが自身の強い希望でここに来たことも。
そして、臨時でやって来た精霊たちの内面を密かに遠視し、邪念を押し秘めている者がいないか探ったのだが、それらしい念は視えなかった。ゆえに一芝居打ち、決定的な現場を押さえることにしたのだ。おそらく、マイカは火神の神器を発動させ、こちらからは色々な物事が視えないよう結界を張っていたのだろう。
『まさかその神器を悪用し、逆にアマーリエを窮地に落とし込もうとするとは。火神様の御意を無下にするにも程がある』
『火神様は情がお篤い。下働きにも心を配る。その時点では何の非もない精霊の心の中を覗き見て、悪意や邪念があるか視通すことはせん。下位の者の尊厳にも配慮なさる御方だからな。ゆえに気付かなんだのであろう』
両手を頭の後ろで組んだラミルファと、腕組みした疫神が交互に言う。僅かにウェーブがかった長髪を揺らめかせ、暴れ神が嘲笑を纏った。
『だが、賜った神器は過剰使用で機能停止を起こしたようだ。高位神の探索を幾度もかわし続けていれば、当然そうなるだろう。所詮は補助的に賜った物でしかない』
臨時で仕える精霊の誰かが盗難者であると目星を付けたアマーリエたちだが、その影には高位神がいる可能性を考えた。フレイムの力でも小箱の所在を視通せなかったからだ。焔神と同格以上の神に命じられ、そのバックアップを受けているのではないか。ならば、下手をすればアマーリエはもちろん、フルードも返り討ちに遭いかねない。
そう考えたため、フレイムだけでなく疫神とラミルファも芝居に参加し、アマーリエとフルードを守ることにした。いざとなれば真の神格を出す腹づもりだったのだ。
『神器の壁が消えたからだろう、今はお前の心がよく視える。嫉妬と羨望が渦巻く美しい心だ』
獰猛な獣のように目を見開いた暴神が嗤う。悪神基準で美しいのだから、つまりそういうことだ。末の邪神も、楽しい玩具を見付けた顔で兄に続く。
『僕は悪神だから、火神様のような気遣いは皆無だ。君の心だろうが過去だろうがプライベートだろうが、片っ端から視てやろう。どれどれ……君はフレイムが精霊だった頃から、彼のことが好きだった。だが、素直になれず上から目線の傲慢な言動を繰り返すだけで、完全なる片想い。フレイムは君の好意に気付いてすらいなかったようだ』
『や、やめっ……』
こうなるともはや公開処刑だ。青ざめさせていた顔を一転して真っ赤に染めたマイカが制止しようとするが、ドス黒い神威の圧に声と動きをもろとも封じられる。
『フレイムが神になった後も密かに想い続け、妻を得たと聞いてアマーリエに嫉妬していた。そして大饗の宴で、フレイムと仲睦まじいアマーリエを見たことで恋慕の情が制御を外れ、暴走して今回の計画を企てたわけか』
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