神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘

文字の大きさ
49 / 601
第1章

49.邪神の事情②

しおりを挟む
『初めは僕も納得していた。霊威が弱ければ無能扱いされてもおかしくはない。だが……段々と違和感を感じ始めた。確かにこの世界は霊威至上主義だが、神が全面的に認める気を持つ者に対して、さすがに侮蔑が過ぎるのではないかと』

 悪神にすらはっきりと言われ、ダライとネイーシャは今にも倒れそうになっている。フレイムがそら見たことかと言わんばかりにふんと鼻を鳴らした。

『それに、神使選定では被選定者の精神や人格も考慮されるから、気が美しいというのは大きな加点要素になる。なのに姉は、お前など神使に選ばれるはずがないと何度も言われていた。判を押したように霊威が弱いと繰り返されているばかりで、気が綺麗だという話題は欠片も出ない。おかしいと思ったよ』

 聖威師たちの目が険しい。フルードが普段と打って変わって冷ややかな目で、ダライたちを睨んでいる。

『どういうことだろうと、色々な可能性を考えた。そして、その中の一つとしてある推測を出した。もしかしたら、

 ……実際はそれ以前の問題で、神託そのものが届いていなかったわけだが。
 黙って聞いていたフレイムが言った。

「つまり……アマーリエを他の神に会わせて気がどう見えるかを確認してないから、その美しさに気付いてないんじゃないかってことか?」
『ああ。もしそうなら、僕の基準が他の神と違っていることも分からないから、僕たちが悪神だとは気付いていないだろう。……といっても、この推測は数ある可能性の一つに過ぎない。もう少し調べてみようかと思った』
「何でわざわざ調べるんだよ。神威で過去を視れば一発じゃねえか」

 ラミルファはフレイムのように神格を抑制しているわけではない。色々と憶測を巡らせずとも、過去視をしてしまえば何がどうなって今の状況になったのか分かるはずだ。だが、返事は否だった。

『天界も今はピリピリしている。神々とて良い神使を確保したいからね。神同士は結束が強いから、大きな問題までは起きていないが……ちょっとした小競り合いは発生し始めている。それもあり、天界では神威の使用をなるべく控えるようにという通達が最高神から出た。君が地上に降りた後のことだ』

 そして、ラミルファが本格的にサード家の面々に疑問を持つようになったのも、通達が出た後だったのだという。

「は? マジか……。神使選定の開催は失敗だったんじゃねえか。神使の割り当てで色んな神がぎゃあぎゃあ言うから、最高神たちがイラッとして、じゃあ自分たちで決めろって言い出したのが最初だったよな」

 フレイムが天を仰いで言い、それを聞いたアマーリエも遠い目になった。どうやら、神々の世界も色々とあるようだ。

『まだ初回だ。今後改善していく余地はある。……まあそういうわけで、余計な神威は使わない方がいいと思ったのだよ。だから過去視はせず、レフィーとその周辺を遠視するだけに留めていた。それに、せっかく見付けた愛し子を早く手に入れたいという思いもあった。だから機を見てレフィーに接触し、仮誓約を結んだ。姿は見せず声だけを下ろして』

 ミリエーナがラミルファの容姿を伝え聞いており、かつ悪神ではないかということに思い至っていることを想定し、姿を見せなかったのだろう。無用な心配だった訳だが。

『結果は上々だったよ。我が愛し子は何の疑いもなくコロリとこの手に転がり込んで来てくれた。これで聖威師も手が出せない』
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

元侯爵令嬢の異世界薬膳料理~転生先はみんな食事に興味が無い世界だったので、美味しいご飯で人の身も心も癒します~

向原 行人
ファンタジー
 異世界へ転生して数日。十七歳の侯爵令嬢、アリスとして目覚めた私は、早くも限界を迎えていた。  というのも、この世界……みんな食事に興味が無くて、毎食パンとハムだけとか、ハムがチーズに変わるとか、せいぜいその程度だ。  料理というより、食材を並べているだけって感じがする。  元日本人の私としては温かいご飯がたべたいので、自分で食事を作るというと、「貴族が料理など下賤なことをするのは恥だ!」と、意味不明な怒られ方をした。  わかった……だったら、私は貴族を辞める!  家には兄が二人もいるし、姉だっているから問題無いでしょ。  宛てもなく屋敷を飛び出した私は、小さな村で更に酷い食事事情を目の当たりにする。  育ち盛りの子供たちや、身体を使う冒険者たちが、それだけしか食べないなんて……よし、美味しいご飯でみんなも私も幸せになろう!  医食同源! 大食いモフモフ聖獣に、胃袋を掴んでしまった騎士隊長と一緒に、異世界で美味しくて身体に良い食材探しだ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました

ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、 ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。 理由はただ一つ―― 「平民出身の聖女と婚約するため」。 だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。 シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。 ただ静かに席を立っただけ。 それだけで―― 王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、 王国最大の商会は資金提供を打ち切り、 王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。 一方シャウラは、何もしていない。 復讐もしない。断罪もしない。 平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。 そして王国は、 “王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、 聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。 誰かを裁くことなく、 誰かを蹴落とすことなく、 ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。 これは、 婚約破棄から始まる―― 静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。 「私は何もしていませんわ」 それが、最強の勝利だった。

旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?

白雲八鈴
恋愛
 我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。  離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?  あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。  私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?

ローザリンデの第二の人生

梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。 彼には今はもういない想い人がいた。 私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。 けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。 あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。 吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)

処理中です...