虐げられても最強な僕。白い結婚ですが、将軍閣下に溺愛されているようです。

番外編 ジョージ＝フラメンコとは

ジョージ＝フラメンコが10歳の時だった。

お城から衛兵が家に押しかけ、王太子の婚約者だった姉も、宰相だった父も一緒に連行されて、訳が分からない。
城に行ってみれば、陛下も王妃陛下も拘束されていて、目の前で殺された。

何も食べていなかったから胃液くらいしか吐かなかったけれど、もし胃の中に食べ物が残っていたら、酷く吐き散らかしていたと思う。


第二王子のエドワード殿下は私より３つも年下だったのに、涙を目に貯めながら気丈にも耐えていた。

そして、姉の夫になるはずだった人は目の前で嬲られて…。


先天的な魅了持ちだった私は、間違いが起こらないよう、常に魅了防止の眼鏡をかけていた。

あの魔女が、魅了の力でみんなをおかしくしていると気づいたけど……、お父様とお姉さまに止められたのだ。
私の周りをみんなが囲んで、私に魅了の力で魅了を打ち消そうとするのを止めていた。

なんでってその時は思ったけど、今なら分かる。

あの状態で魅了を打ち消したところで、その力が魔女にバレたら、真っ先に狙われるのは私。

私たちは武器をとられて縛られていたし、その場で戦える術を持つ人間はいたけど、戦うことが出来ない状況にあった。
即座に魔女が魔法で私を殺してしまうことは明らかだ。

王太子殿下が敵中に捕らわれている以上、行動も抑制されていたし…。



まったくあの頃の私はみんなの足手まといで。
あの頃のことを思うと、悔やんでも悔やみきれない。

もっと私が力を使いこなせていたら、あんなことにはならなかったのではないかと。



魔女の森に武器なしで追い出されたけど、枝や蔦を切って、なんとか武器を作って生き延びて。

戦い続けて、今に至って。


大人だって心に傷を負ったあの事件は、エドワード様をはじめ、私やマックス、レイだって傷を受けた。



エドワード様がエドワルドと名を偽って王都に帰って来た時、私の婚約者だった少女は女性になって、夫人になっていた。
政略的な婚約、交流はしていたけどまだ始まったばかりで、そんなものかもしれないと思った。


ジョンやイースターは一緒に逃げた仲間内で結婚したけど、結局私たち……子どもだった者たちは、いまだに結婚相手を見つけてもいない。



私は、自分の中にある破壊衝動をうまく抑えることができない。


あの頃子どもだった者たちこそ、誰もが深刻なトラウマを抱えている。

だからこそ、エドワード様の側が心地よいのかもしれない。




「さぁ、可愛い子豚ちゃんの調教の時間だ。」


薄暗い懲罰室が私の舞台。

宰相の後継者でありながら、この国を狙う者、この国に巣食う不届きものを見つけたとき、私は拷問吏になる。

そしてそれを知る者は仲間内だけ。


私の魅了は強くかかってしまえば、距離が離れていようと、魅了をかけてから時間が経っていようと、効果は持続する。
だから定期的にこうしてかけ直せばいいのだ。


プツ、と机に設置された薄い板の紋章に手をかざせば、ドラゴニア王国にいる全ての相手の映像が空中に映る。

向こうからはこっちは３Dホログラムで映る。

魔女の森の魔道具はこの数年でかなり進歩したものだ。


刺激的な革製の服に着替え、髪をかき上げ、眼鏡を外し、黄金の瞳で見つめて、艶めかしくも威圧的に。



「子豚ちゃんたち、租〇ンを出しな？久しぶりに可愛がってやるよ♡」

黒革の鞭を舐めて、挑発する。