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番外編 タイガーとスージー
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「結婚してください!」
101回めのプロポーズ。
「私は…………もう37歳ですわ。どこぞの後妻にならまだしも、あなたの妻になど…………私には荷が重いのです。」
「子どもなんていてもいなくてもいいんだ!スージーがいてくれたら!」
しゅん、とした顔がかわいそうになる。
頭の上の三角の耳はぺたりと寝て、尻尾は地面に垂れて。
でもだめよ、スージー。
タイガー様はまだ24歳よ。
一回り以上違う。
私はすぐにおばさんになる。
王子様のお妃になんてなれないわ。
私なんて選ばなくても、若くて可愛い令嬢はたくさんいるでしょう?
「王位継承権は放棄しました。」
「えっ?」
「あなたのこと、誰にも言わせません。だから、結婚してください!」
「はい………!」
タイガーとスージーは結婚式を挙げた。
周りの人は不満そうだが、タイガーはスージーへの意地悪を許さない。
実家との交流は最小。社交もしない!と言い切ったが、それをスージーはよしとしなかった。
純白のドレスを身にまとったスージーは誰よりも神々しい。
「お姉さま…!お美しい!!」
スティーブは娘の旅立ちに感極まり、ジョージもまた喜んだ。
能力を制限するためにかけている眼鏡。
もしよからぬ者が出たら外そうと思っていたが、その必要はなさそうだ。
「スージーも結婚するのだから、お前もそろそろ身を固めぬとな。フラメンコ公爵家の当主になるのだから。」
「もちろんですよ。結婚相手には私の闇は見せません。ちょうど発散相手もいますしね。」
「ふふっ。お前ならば宰相と影の統括をこなしてしまうのだろうな。」
「皆さま。」
スージーの凛とした声が響く。
ここはブラックキャット王国。
スティーブとジョージはエドワードの名代を兼ねて参列しているが、周りはこの国の貴族ばかり。
スージーにとっては敵地でしかない。
「私はフォックス王国の元王太子の婚約者として、王太子妃教育を受けて来た者です。ご存じのように王位簒奪があり、私の婚約者であった王太子は亡くなってしまい…、私はこの年まで婚約者の弟君をお支えすることを生きがいに生きてまいりました。女としての幸せを諦めていた私を根気よく求めてくれたタイガー殿下の御心に応えるためにも、私が身に着けた知識や教養、そして私が得て来た人脈を可能な限りにおいてこの国の発展のために活かしてまいります。」
それは、たとえ子ができなくとも。
自分の力、価値を宣言する。
まるで王妃のような圧倒的な輝き。
たとえ、肩身が狭くても。スージーは逃げるのではなく、タイガーの隣で妃として立つことを望んだ。
タイガーはスージーの手を握りしめ、眩しく見つめて、前を向いた。
「俺の妃は素晴らしい人だ。この人だから俺は惚れたのだ。俺たちは兄上をお支えし、必ずやこの国を豊かにすると誓おう。」
ぶんぶん、と勢いよく左右にタイガーの尻尾が揺れた。
101回めのプロポーズ。
「私は…………もう37歳ですわ。どこぞの後妻にならまだしも、あなたの妻になど…………私には荷が重いのです。」
「子どもなんていてもいなくてもいいんだ!スージーがいてくれたら!」
しゅん、とした顔がかわいそうになる。
頭の上の三角の耳はぺたりと寝て、尻尾は地面に垂れて。
でもだめよ、スージー。
タイガー様はまだ24歳よ。
一回り以上違う。
私はすぐにおばさんになる。
王子様のお妃になんてなれないわ。
私なんて選ばなくても、若くて可愛い令嬢はたくさんいるでしょう?
「王位継承権は放棄しました。」
「えっ?」
「あなたのこと、誰にも言わせません。だから、結婚してください!」
「はい………!」
タイガーとスージーは結婚式を挙げた。
周りの人は不満そうだが、タイガーはスージーへの意地悪を許さない。
実家との交流は最小。社交もしない!と言い切ったが、それをスージーはよしとしなかった。
純白のドレスを身にまとったスージーは誰よりも神々しい。
「お姉さま…!お美しい!!」
スティーブは娘の旅立ちに感極まり、ジョージもまた喜んだ。
能力を制限するためにかけている眼鏡。
もしよからぬ者が出たら外そうと思っていたが、その必要はなさそうだ。
「スージーも結婚するのだから、お前もそろそろ身を固めぬとな。フラメンコ公爵家の当主になるのだから。」
「もちろんですよ。結婚相手には私の闇は見せません。ちょうど発散相手もいますしね。」
「ふふっ。お前ならば宰相と影の統括をこなしてしまうのだろうな。」
「皆さま。」
スージーの凛とした声が響く。
ここはブラックキャット王国。
スティーブとジョージはエドワードの名代を兼ねて参列しているが、周りはこの国の貴族ばかり。
スージーにとっては敵地でしかない。
「私はフォックス王国の元王太子の婚約者として、王太子妃教育を受けて来た者です。ご存じのように王位簒奪があり、私の婚約者であった王太子は亡くなってしまい…、私はこの年まで婚約者の弟君をお支えすることを生きがいに生きてまいりました。女としての幸せを諦めていた私を根気よく求めてくれたタイガー殿下の御心に応えるためにも、私が身に着けた知識や教養、そして私が得て来た人脈を可能な限りにおいてこの国の発展のために活かしてまいります。」
それは、たとえ子ができなくとも。
自分の力、価値を宣言する。
まるで王妃のような圧倒的な輝き。
たとえ、肩身が狭くても。スージーは逃げるのではなく、タイガーの隣で妃として立つことを望んだ。
タイガーはスージーの手を握りしめ、眩しく見つめて、前を向いた。
「俺の妃は素晴らしい人だ。この人だから俺は惚れたのだ。俺たちは兄上をお支えし、必ずやこの国を豊かにすると誓おう。」
ぶんぶん、と勢いよく左右にタイガーの尻尾が揺れた。
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