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3年1学期
68話:体育祭準備②
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「フレン!お願い!チア入って!!」
そう言って俺の目の前で手を合わせてるのは同じ組のマリアだ。トレードマークのポニーテールが大きく揺れるほど頭を下げている彼女は、前回の体育祭でもチアに入ってて今年はリーダーをやるらしい。
「ごめん、俺、肌弱くてああいうの着れないんだよね……」
ちなみに俺は女装は苦手だけど、一応うちの学校のチアには男性衣装があるからそこは問題ない。問題なのは露出だけだ。みんなには隠してるけど夢魔の血が半分入ってる俺は、肌を出すと周りに悪影響が出る可能性がある。それは絶対に避けたいからこれは譲れない点だった。
「それなら大丈夫!アタシ達も話し合ったんだけど、肌出すの恥ずかしくない!?って子多くて今年の衣装は肌出し無しになったから!」
「あ、そうなんだ。それならまあ……」
提示された衣装案は下がミニスカート(女の子用)かショートパンツ(男の子用)に足をしっかり覆うタイツ。上も長袖で、ジャージを基調としたスポーティなデザインでこれなら確かに露出の問題は解決だ。
懸念点が解決した事で一気に俺の考えが傾く。苦手な運動で勝負事をするより、みんなを応援する方が楽しいし、チアをやるのはあり寄りのありだ。俺はマリアに参加の返事をしつつ、競技希望に応援合戦を書いて提出する事にした。
◇
「エリオ君は競技何に出るの?魔法合戦?」
「そうしようかなと思ってます。まぁ、僕以上に適任はいないでしょうし……せ、先輩はどうするんですか?」
今月末で俺のペア授業の監督は終わるけど、こうやって交流できるのはいい機会だと思う。今後もエリオ君達と何かしらで関われたらいいな、なんて事を考えながら俺はペア授業中にエリオ君にも話を聞いてみた。
「俺は応援合戦!チア誘われたからやる事になってさ、エリオ君のこともいっぱい応援してあげるね?」
「チ……っチア!?先輩チアやるんですか!?」
「……フレン、チアって何?」
エリオ君の問いかけに俺がこう返していたら、ルカが近づいてきて俺に上からのしかかりながら聞いてくる。
「チアは競技の応援をする人だよ!あとは前に言った応援合戦をするやつ。ルカもチアに興味ある?」
「……ない」
「そりゃ、ないでしょうね。……ていうか先輩本当ですかそれ?その、チアって……」
まあ確かにルカには悪いけど、チアしてるルカは想像ができない。顔は綺麗だし、スタイルもいいからやったら意外と似合うかもしれないけど絶対やらないと思う。
「うん。あ!でも女装じゃないよ!俺そういうの苦手だし。男用の衣装あるからそれ着てやるの」
「なっ、なるほど……」
「……応援って何するの?」
俺がエリオ君に説明をしているとルカがワンテンポ遅れた質問をしてくる。ルカってこういうところマイペースだよね。
「競技に出てる人が勝てる様にいっぱい声かけて、励ますみたいな感じ!」
「……俺が出たら、俺を応援する?」
いざ応援を言葉で説明すると難しいなとか思っていたら、ルカが真っ直ぐ俺を見て問いかけてくる。ルカはブロックが同じだし、俺の応援対象だ。
「もちろん!たくさん応援するよ!ルカ出たいの決まった?」
「……これでいい」
ルカはプリントに記載されたフィジカル競技の1番上の欄に書いてあるものを指差した。
「ぎ、逆境トライアスロン!?かっこいいけど1番大変なやつだよ?本当に大丈夫……?」
「……別に、問題ない」
ルカは魔力量が学園トップだ。だから戦闘力では右に出る者がいない。でもそれは魔法ありきの話。ルカは竜族だから身体能力が高い筈だけど、それを加味しても俺は心配だった。なぜならこの競技は身体能力が高い種族の生徒がそれぞれかなりしっかり体を鍛えた上で取り組むものだから。ルカは背が高いけど、結構細身で鍛えてる様には見えない。もっと別の競技がいいんじゃないかって心配する俺を他所に、躊躇いなく競技名を記入用紙に書き込むルカの姿を見て俺の中に一抹の不安がよぎった。
「エリオ君、これって大丈夫なやつ?」
「さぁ?でも竜族は身体的にも優れてるので案外いけるんじゃないですか?」
「そ、そう……なら大丈夫、なのかな?」
エリオ君からの意外と肯定的な意見に俺は驚く。そういうものなのかななんて思いつつ、ルカの競技も決まって少し安心したところでペア授業の課題が始まり、この話は終わった。
◇
「クロードは何に出るの?」
「俺は総合闘技にするつもりだ。練習時間があまり取れなくても参加できるからな。フレンはどれにしたんだ?」
寮での夕食時間、俺は実習終わりのクロードと一緒に座りながら競技について質問する。クロードは確か前回もこの競技に推薦されて優勝してたからピッタリだと思う。
「俺は応援合戦!チア誘われたんだよね」
「衣装は大丈夫なのか?」
クロードは俺の体質の事も全部知ってるから、心配から入ったみたいだけど、俺が一連の流れを説明したら安心してくれた。
「クロードとはブロック違うけど、こっそり応援してあげるね?」
「ありがとう。でも手加減はしないぞ?」
「えー?ケチ!総合闘技、配点大きいのになぁ」
俺の冗談まじりな言葉を受けて、クロードが穏やかな海色の瞳を細めて俺の頭を撫でてくる。最近クロードは実習が多くてなかなか会えてなかったからこれも久しぶりだ。クロードの手は大きくて温かいから安心する。この体育祭が終わったらもっと会えなくなると思うと俺は少しだけ寂しかった。
「あ!クロードの誕生日の日って実習ある?」
「すまない。その期間は遠征中だな」
5月末にあるクロードの誕生日、俺はいつも当日にお祝いをしてたんだけど今年は難しそうだ。
「来月のフレンの誕生日の時に一緒に過ごすのはどうだ?その日なら空いてるんだが」
「あっそれいい!体育祭の翌日だから休みだしそうしよ!」
「決まりだな。外出届用意しておくから後で書いておいてくれ」
「うん!」
こんな話をしながら食事の時間は過ぎていき、俺は食べ終わった食器を片付け、寮の自室に戻る。クロードの提案で誕生日の約束もできたし、久しぶりに話せたのも嬉しかった。明日からチアの練習が始まるし、学校の飾り付けの準備もしないといけない。
体育祭まで後三週間。やることは多いけど、楽しみだ。
そう言って俺の目の前で手を合わせてるのは同じ組のマリアだ。トレードマークのポニーテールが大きく揺れるほど頭を下げている彼女は、前回の体育祭でもチアに入ってて今年はリーダーをやるらしい。
「ごめん、俺、肌弱くてああいうの着れないんだよね……」
ちなみに俺は女装は苦手だけど、一応うちの学校のチアには男性衣装があるからそこは問題ない。問題なのは露出だけだ。みんなには隠してるけど夢魔の血が半分入ってる俺は、肌を出すと周りに悪影響が出る可能性がある。それは絶対に避けたいからこれは譲れない点だった。
「それなら大丈夫!アタシ達も話し合ったんだけど、肌出すの恥ずかしくない!?って子多くて今年の衣装は肌出し無しになったから!」
「あ、そうなんだ。それならまあ……」
提示された衣装案は下がミニスカート(女の子用)かショートパンツ(男の子用)に足をしっかり覆うタイツ。上も長袖で、ジャージを基調としたスポーティなデザインでこれなら確かに露出の問題は解決だ。
懸念点が解決した事で一気に俺の考えが傾く。苦手な運動で勝負事をするより、みんなを応援する方が楽しいし、チアをやるのはあり寄りのありだ。俺はマリアに参加の返事をしつつ、競技希望に応援合戦を書いて提出する事にした。
◇
「エリオ君は競技何に出るの?魔法合戦?」
「そうしようかなと思ってます。まぁ、僕以上に適任はいないでしょうし……せ、先輩はどうするんですか?」
今月末で俺のペア授業の監督は終わるけど、こうやって交流できるのはいい機会だと思う。今後もエリオ君達と何かしらで関われたらいいな、なんて事を考えながら俺はペア授業中にエリオ君にも話を聞いてみた。
「俺は応援合戦!チア誘われたからやる事になってさ、エリオ君のこともいっぱい応援してあげるね?」
「チ……っチア!?先輩チアやるんですか!?」
「……フレン、チアって何?」
エリオ君の問いかけに俺がこう返していたら、ルカが近づいてきて俺に上からのしかかりながら聞いてくる。
「チアは競技の応援をする人だよ!あとは前に言った応援合戦をするやつ。ルカもチアに興味ある?」
「……ない」
「そりゃ、ないでしょうね。……ていうか先輩本当ですかそれ?その、チアって……」
まあ確かにルカには悪いけど、チアしてるルカは想像ができない。顔は綺麗だし、スタイルもいいからやったら意外と似合うかもしれないけど絶対やらないと思う。
「うん。あ!でも女装じゃないよ!俺そういうの苦手だし。男用の衣装あるからそれ着てやるの」
「なっ、なるほど……」
「……応援って何するの?」
俺がエリオ君に説明をしているとルカがワンテンポ遅れた質問をしてくる。ルカってこういうところマイペースだよね。
「競技に出てる人が勝てる様にいっぱい声かけて、励ますみたいな感じ!」
「……俺が出たら、俺を応援する?」
いざ応援を言葉で説明すると難しいなとか思っていたら、ルカが真っ直ぐ俺を見て問いかけてくる。ルカはブロックが同じだし、俺の応援対象だ。
「もちろん!たくさん応援するよ!ルカ出たいの決まった?」
「……これでいい」
ルカはプリントに記載されたフィジカル競技の1番上の欄に書いてあるものを指差した。
「ぎ、逆境トライアスロン!?かっこいいけど1番大変なやつだよ?本当に大丈夫……?」
「……別に、問題ない」
ルカは魔力量が学園トップだ。だから戦闘力では右に出る者がいない。でもそれは魔法ありきの話。ルカは竜族だから身体能力が高い筈だけど、それを加味しても俺は心配だった。なぜならこの競技は身体能力が高い種族の生徒がそれぞれかなりしっかり体を鍛えた上で取り組むものだから。ルカは背が高いけど、結構細身で鍛えてる様には見えない。もっと別の競技がいいんじゃないかって心配する俺を他所に、躊躇いなく競技名を記入用紙に書き込むルカの姿を見て俺の中に一抹の不安がよぎった。
「エリオ君、これって大丈夫なやつ?」
「さぁ?でも竜族は身体的にも優れてるので案外いけるんじゃないですか?」
「そ、そう……なら大丈夫、なのかな?」
エリオ君からの意外と肯定的な意見に俺は驚く。そういうものなのかななんて思いつつ、ルカの競技も決まって少し安心したところでペア授業の課題が始まり、この話は終わった。
◇
「クロードは何に出るの?」
「俺は総合闘技にするつもりだ。練習時間があまり取れなくても参加できるからな。フレンはどれにしたんだ?」
寮での夕食時間、俺は実習終わりのクロードと一緒に座りながら競技について質問する。クロードは確か前回もこの競技に推薦されて優勝してたからピッタリだと思う。
「俺は応援合戦!チア誘われたんだよね」
「衣装は大丈夫なのか?」
クロードは俺の体質の事も全部知ってるから、心配から入ったみたいだけど、俺が一連の流れを説明したら安心してくれた。
「クロードとはブロック違うけど、こっそり応援してあげるね?」
「ありがとう。でも手加減はしないぞ?」
「えー?ケチ!総合闘技、配点大きいのになぁ」
俺の冗談まじりな言葉を受けて、クロードが穏やかな海色の瞳を細めて俺の頭を撫でてくる。最近クロードは実習が多くてなかなか会えてなかったからこれも久しぶりだ。クロードの手は大きくて温かいから安心する。この体育祭が終わったらもっと会えなくなると思うと俺は少しだけ寂しかった。
「あ!クロードの誕生日の日って実習ある?」
「すまない。その期間は遠征中だな」
5月末にあるクロードの誕生日、俺はいつも当日にお祝いをしてたんだけど今年は難しそうだ。
「来月のフレンの誕生日の時に一緒に過ごすのはどうだ?その日なら空いてるんだが」
「あっそれいい!体育祭の翌日だから休みだしそうしよ!」
「決まりだな。外出届用意しておくから後で書いておいてくれ」
「うん!」
こんな話をしながら食事の時間は過ぎていき、俺は食べ終わった食器を片付け、寮の自室に戻る。クロードの提案で誕生日の約束もできたし、久しぶりに話せたのも嬉しかった。明日からチアの練習が始まるし、学校の飾り付けの準備もしないといけない。
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