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希望
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その後の昼休憩は、那月の心とは逆に穏便なものだった。いつも通りの好きな場所に心地いい風が吹いているのに、食べている弁当はいつも通り美味しいのに。
ざわつきとはまた違う、今まで変わることのできなかった日常と心に、違う色が混ざったような、そんな感覚がしていた。
「あの先輩のこと気にしてんのー?」
「えっ…」
「さっきからちょっと上の空だから。彩世先輩のこと気にしてるのかなーって。それとも、まだ思い出して怖くなった?」
「いや、ううん…、怖くないとは言えないけど、ちょっとなんていうか…上手く言えないけどあの先輩は怖いだけじゃないかもって思って」
明衣は購買で買ってきた菓子パンを片手に、「ふーん?」と微笑みながら那月の弁当箱から卵焼きを1個つまみあげた。
「あの那月がさ、怖いだけじゃないかもって感じるってことは今までと違う気がするね!?男の人にそんなふうに思うの初めてじゃない?」
「うん、男の人が怖くなってからは初めてかも…。でも、やっぱり目の前にしたら体が勝手に拒絶しちゃうけど……」
「でも体と違ったことを感じるってことは、那月の心とか本能が怖くないって言ってるんじゃない?それっていいことでしょ」
「本能?」
なるほど、本能か…と那月は頷いた。そうだとしたら体が反射的に拒否してしまっても、どこか他の人よりも恐怖感が少ない気がするのは自分の本能が働いているせいなのだろうか。なるほどとは思ったが、よく考えてみると腑に落ちたような、落ちないような気持ち。
「ねぇ明衣。もしそうだとしたらさ…、なんで彩世先輩なんだろう?今までどの人にも感じたことなかったのに」
「それは、分からん!」
「ええ……」
「人には相性っていうのもあるし、あと那月は助けてもらったのもあるかもね?気付いてないだけであの先輩の何かに惹かれたのかもよ?」
「何か……」
「まあとりあえず、男を克服する第一歩が踏み出せたと思っていいんじゃない?もしかしたら、これから彩世先輩と関わったら普通に話せるようになるかもじゃん!さっき名前聞かれてたし、またねって言ってたし」
「そんなこと…」
そんなことあるのかな、と言いかけて那月はさっき彩世が座っていたらしき場所に目を向けた。もしかしたら、そんな奇跡が起きたとしたら。ずっと苦しんできたトラウマから解放されるのかと考えながら。
何も希望が見えなかった那月の目の前に、粒のような光が差し込んだような感覚がしている。
一一一先輩は、僕の名前を呼んでくれた。またねって言ってくれた。僕のことどう思ったんだろう…。
ざわつきとはまた違う、今まで変わることのできなかった日常と心に、違う色が混ざったような、そんな感覚がしていた。
「あの先輩のこと気にしてんのー?」
「えっ…」
「さっきからちょっと上の空だから。彩世先輩のこと気にしてるのかなーって。それとも、まだ思い出して怖くなった?」
「いや、ううん…、怖くないとは言えないけど、ちょっとなんていうか…上手く言えないけどあの先輩は怖いだけじゃないかもって思って」
明衣は購買で買ってきた菓子パンを片手に、「ふーん?」と微笑みながら那月の弁当箱から卵焼きを1個つまみあげた。
「あの那月がさ、怖いだけじゃないかもって感じるってことは今までと違う気がするね!?男の人にそんなふうに思うの初めてじゃない?」
「うん、男の人が怖くなってからは初めてかも…。でも、やっぱり目の前にしたら体が勝手に拒絶しちゃうけど……」
「でも体と違ったことを感じるってことは、那月の心とか本能が怖くないって言ってるんじゃない?それっていいことでしょ」
「本能?」
なるほど、本能か…と那月は頷いた。そうだとしたら体が反射的に拒否してしまっても、どこか他の人よりも恐怖感が少ない気がするのは自分の本能が働いているせいなのだろうか。なるほどとは思ったが、よく考えてみると腑に落ちたような、落ちないような気持ち。
「ねぇ明衣。もしそうだとしたらさ…、なんで彩世先輩なんだろう?今までどの人にも感じたことなかったのに」
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「そんなこと…」
そんなことあるのかな、と言いかけて那月はさっき彩世が座っていたらしき場所に目を向けた。もしかしたら、そんな奇跡が起きたとしたら。ずっと苦しんできたトラウマから解放されるのかと考えながら。
何も希望が見えなかった那月の目の前に、粒のような光が差し込んだような感覚がしている。
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