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またここで
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後日、また訪れた昼休み。今日は明衣が他クラスの友人と約束があるため、那月1人で中庭にやってきた。いつものように賑やかな廊下を抜けて、そろそろと中庭に入り草木を囲ったベンチへと腰かける。先日のことがあるせいか、いつもよりも少し体が緊張気味だ。
また誰かがいるかもしれないと思い、隣の大きな木の向こうを覗いてみたが、今日は誰もいないようだ。安堵か拍子抜けか分からないため息をついてから那月は膝の上に乗せた弁当の蓋を開ける。
一一一やっぱり彩世先輩、この前はたまたま電話するためにここに来たのかな。あれから2週間くらい経つけど、あの日以降いないみたいだし。いや、そんなしょっちゅう会うわけないか。会ってもどうにもできないし特に用もないけど…。
「何気にしてるんだろ。とりあえず食べよ。お腹空いた」
今日はポカポカと太陽が心地いい。時々眩しく感じる陽の光も、それの影となってくれる葉の匂いも。ここではその全部が寄り添ってくれてるような気がして、独り言が多い那月も不思議と独りで話してる感触はしない。
「いただきます…」
その心地よさに癒されながら、那月は箸を持って弁当に手をつける。好物の甘い卵焼きを真っ先に口に放り込み、咀嚼した那月から自然と笑みがこぼれた。
「んー、美味しい」
満足気に呟き、またおかずに箸をつけようとした時。どこからかキシッと木のベンチの軋む音が聞こえてきた。
驚いて両隣りを見渡すが、那月の座ってるベンチには誰もいない。まさか、と思い恐る恐る木に遮られている向こう側のベンチを覗いてみる。
すると、さっきは誰もいなかったのにいつやって来たのか。木の影から、また見覚えのある角度で膝から下の足が見えた。大きな木で上半身は隠されていて、座っているだろうという角度で足だけが出ている状態。
しかも学生服、ズボン、男。3年生の色の上履き。那月はあの時と条件が一致していることに気付き、ゴクッと唾を飲んだ。
一一一デジャヴだ。いつからいたんだろう。もしかして…いや、前と条件が同じでもこの人が彩世先輩だって決まったわけじゃないけど。もし知らない人だったら余計にやばい。心の準備ができてないし変な態度取ってしまったら…。
那月は弁当を軽く持ち、立ち上がろうと腰を上げた。どちらにせよ、今そこにいるのが男である以上怖いと思ってしまうし、また相手を不快にさせると思ったから。
「そんなに美味いんだ、弁当」
だけど完全に腰を上げる前に、聞こえてきたその声。弁当を食べているのはこの場に自分だけ。あと周りに人はいない。那月はその人に話しかけられたと一瞬で悟った。
前ほど驚かなかったのは、それが低くて耳にじわりと響く聞き覚えのある声だったからだ。
「あ…」
「めっちゃ美味そうに食べるね」
「は、は、あ…あ、はい」
「ナツくんでしょ?この前の、セーターの」
浮いた腰を下ろして、那月はまたその場に座る。自分に話しかけてきた声と、呼ばれた名前。顔は見えなくても、そこにいるのが彩世だと分かった。
でもそれ以上に驚いたのが、咄嗟に話しかけられたにも関わらず、自分が返事をできたことだ。
「何となく来ただけだから、またここにいると思わなかった」
また誰かがいるかもしれないと思い、隣の大きな木の向こうを覗いてみたが、今日は誰もいないようだ。安堵か拍子抜けか分からないため息をついてから那月は膝の上に乗せた弁当の蓋を開ける。
一一一やっぱり彩世先輩、この前はたまたま電話するためにここに来たのかな。あれから2週間くらい経つけど、あの日以降いないみたいだし。いや、そんなしょっちゅう会うわけないか。会ってもどうにもできないし特に用もないけど…。
「何気にしてるんだろ。とりあえず食べよ。お腹空いた」
今日はポカポカと太陽が心地いい。時々眩しく感じる陽の光も、それの影となってくれる葉の匂いも。ここではその全部が寄り添ってくれてるような気がして、独り言が多い那月も不思議と独りで話してる感触はしない。
「いただきます…」
その心地よさに癒されながら、那月は箸を持って弁当に手をつける。好物の甘い卵焼きを真っ先に口に放り込み、咀嚼した那月から自然と笑みがこぼれた。
「んー、美味しい」
満足気に呟き、またおかずに箸をつけようとした時。どこからかキシッと木のベンチの軋む音が聞こえてきた。
驚いて両隣りを見渡すが、那月の座ってるベンチには誰もいない。まさか、と思い恐る恐る木に遮られている向こう側のベンチを覗いてみる。
すると、さっきは誰もいなかったのにいつやって来たのか。木の影から、また見覚えのある角度で膝から下の足が見えた。大きな木で上半身は隠されていて、座っているだろうという角度で足だけが出ている状態。
しかも学生服、ズボン、男。3年生の色の上履き。那月はあの時と条件が一致していることに気付き、ゴクッと唾を飲んだ。
一一一デジャヴだ。いつからいたんだろう。もしかして…いや、前と条件が同じでもこの人が彩世先輩だって決まったわけじゃないけど。もし知らない人だったら余計にやばい。心の準備ができてないし変な態度取ってしまったら…。
那月は弁当を軽く持ち、立ち上がろうと腰を上げた。どちらにせよ、今そこにいるのが男である以上怖いと思ってしまうし、また相手を不快にさせると思ったから。
「そんなに美味いんだ、弁当」
だけど完全に腰を上げる前に、聞こえてきたその声。弁当を食べているのはこの場に自分だけ。あと周りに人はいない。那月はその人に話しかけられたと一瞬で悟った。
前ほど驚かなかったのは、それが低くて耳にじわりと響く聞き覚えのある声だったからだ。
「あ…」
「めっちゃ美味そうに食べるね」
「は、は、あ…あ、はい」
「ナツくんでしょ?この前の、セーターの」
浮いた腰を下ろして、那月はまたその場に座る。自分に話しかけてきた声と、呼ばれた名前。顔は見えなくても、そこにいるのが彩世だと分かった。
でもそれ以上に驚いたのが、咄嗟に話しかけられたにも関わらず、自分が返事をできたことだ。
「何となく来ただけだから、またここにいると思わなかった」
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