地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ

タマ マコト

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第2話 ガラスの宣告

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 王宮の大広間は、光で酔わせるために作られていた。頭上のシャンデリアは過剰な宝石の雨みたいに吊られ、ひとつひとつが夜を切り刻んで白く泡立てる。壁には鏡、柱には金箔、空気には白粉の匂い。笑い声はやけに硬く、刃こぼれした刃物を擦り合わせたみたいに耳の奥で軋んだ。
 私は灰色のドレスの裾を片手で持ち上げ、もう片方の手で胸の鼓動を数えた。ひとつ、ふたつ。針目を数えるみたいに。糸は見えないのに、指先が勝手に縫う準備を始める。

「イザベラ、深呼吸」
 横に並ぶセレナが小声で囁く。彼女も珍しく正装で、色を抑えた白が照明に溶けて淡い光をまとっていた。
「吸って、吐いて。ね」
「大丈夫。空気は重いけど、味はわかる」
「どんな味?」
「人の見栄と、粉砂糖」

 扉の上の紋章が開き、名のある家々が順に呼ばれていく。きらびやかな名札を胸に貼った人々は、互いの姿を映す鏡を探してさまよう。誰が誰の鏡で、誰が誰の照明か――そんなゲームの中で、私たちは端っこの影に立っていた。地味は便利。景色に溶ける。
 音楽が切り替わる。主役の入場だ。大理石の階段の上、深い紺の上着。立ち姿の直線は相変わらず美しい。アルトゥール・ヴァレン。拍手が波のように広がり、白粉の匂いを押し流して香油の匂いに変えた。彼は笑うでもなく微笑むでもなく、完璧な角度で唇を持ち上げ、王家の代理に挨拶する。その仕草は、昔、井戸の縁で片足立ちした少年を、いっそ無かったみたいに消してしまう。

「行こう」
 セレナが袖を引く。誘導の侍従がこちらへ歩いてくるのが見えたから。私は頷き、足を前に出す。石の床は冷たくて、光は熱い。冷たい熱。矛盾でできたステージ。
 名を呼ばれ、私たちは前へ進む。貴族の列がくっきりと割れ、視線だけが私のドレスの温度を測る。計量に価値があると信じている視線たち。
 アルトゥールがこちらを見た。ほんの刹那、瞳の奥に昔の青さが溶けた気がした。でも、それは鏡に映った別の誰かの光かもしれない。彼は一歩、私に近づく。そして、彼の周囲の空気がふっと引き締まった。取り巻きの笑いが準備運動を始める。

「イザベラ・レーン」
 彼は名前を切り出し、会場を一周させるように間を取った。
「今宵、この場を借りて一つの私的な……しかし公的にも意味のある発表をする」
 拍手が、前倒しに漏れる。私は深呼吸をひとつ。セレナの指が私の肘に軽く触れた。
「発表?」
「うん。たぶん、飾り文字で綴った『さよなら』」
 私の声は震えなかった。それは少し自分でも不思議で、同時に納得でもあった。私は針を持つ人間だ。切れる声は嫌いだ。均一に通った糸の緊張が好き。

 アルトゥールが手をひらりと上げる。音楽が細くなり、香油の匂いが増す。彼は正面を向いた。後ろに王家の代理、横に家門の紋章。まるで誰の責任もないと言い切る配置。
「イザベラ・レーン嬢。これまでのご厚誼に感謝する」
 ああ、その手。ありがとうから始める手。抜け目なく、礼儀正しく、冷たい。
「しかし、婚約の件は本日をもって白紙に戻す」
 ざわ、という音の粒が飛ぶ。その粒を追い越して、彼は結ぶ。
「君には――何の価値もない」

 笑い声が割れた。硬い、乾いた、刃こぼれの音。取り巻きが肩を揺らし、口元を隠し、扇子を震わせる。扇子には刺繍、扇骨には銀。私は、その銀の一本一本を糸のように数える。一本、二本。
 胸に刺さる予定だった言葉は、違う場所に落ちた。もっと深く、もっと古い引き出しの奥。痛みは熱ではなく、氷の性質を持って広がる。
 セレナの息が詰まった音がした。彼女の手が私の背に回りかける。
「やめ――」
「大丈夫」
 私は微笑んだ。微笑むのに、顔の筋肉をほとんど動かさない術を、私は祈りから学んだ。
 そして、指先で見えない“縫い目”を結ぶ。
 私は、見えていないものに針を通す。空気の繊維、光の裂け目、人の言葉の端切れ。アルトゥールの言葉には、古い約束のほつれが付いている。そのほつれに糸をかけ、ぐいと引く。
 ――鏡の聖域、応答して。
 礼拝堂の鏡とは違う、広間に幾つも立てかけられた装飾鏡。そのひとつの表面が、ほんの一瞬だけ曇った。気づく者はいない。気づくための目を持たない人ばかりの場所だから。けれど、私は指先でわかる。糸が震え、鏡が呼吸する。
 鏡は問いを映す。問いは私の中で言葉になる。
 ――本当に、価値はない?
 いいえ。ある。あなたが否定するものほど、あなたが欲している。
 糸は、まだ結びきらない。今は印だけ。痛みの場所を縫い止める印。傷を広げないための仮止め。

「イザベラ」
 セレナが私の名前を呼ぶ。彼女の声は硬い音の中で唯一、布に触れるみたいに柔らかい。
「ここで……何か言い返さないの?」
「ううん。今日は刺繍の下書きを見せても仕方ない」
「でも――」
「覚えたから。言葉の形も、重さも、香りも。ぜんぶ」

 会場の視線が集まる。扇子が閉じられ、香油の匂いが一瞬引く。アルトゥールは視線を私に固定し直し、形式通りに続ける。
「互いのため、将来のため、ここで潔く――」
 私は彼の言葉から三歩だけ下がり、膝を折る礼をした。礼は完璧に。儀礼は盾になる。
「ご厚情に感謝いたします、ヴァレン卿。今宵の装い、たいへんよくお似合いで」
 取り巻きが微妙な顔をした。嘲笑のピントが合わないと、人は笑いに迷う。私はその迷いの一秒を手の中に入れ、折りたたむ。
「イザベラ!」
 セレナが今度こそ前に出る。彼女の白い袖が光に焼ける。
「こんな場でそんな――」
「セレナ」
 私は小さく首を振る。
「ここで喧嘩をしても、照明の機嫌が良くなるだけ。私たちは照明のために生きてない」

 アルトゥールの口元が、わずかに引き攣れた。完璧な角度の唇にも、筋肉はある。私はそれを覚える。
 彼の隣にいる中年の廷臣が、咳払いとともに幕を降ろす。「本件はこれにて。皆さま、舞を続けていただいて」
 音楽が再び膨らみ、白粉の匂いが戻ってくる。人々の視線は新しい話題へ移る。誰かのドレス、誰かの失言、誰かの宝石。
 セレナが私の腕を取る。「出よう」
「うん。鏡が疲れる前に」

 大広間を抜ける通路は、音が薄くて私に似ていた。壁の蝋燭が息を潜め、絨毯が足音を飲み込む。扉の先に夜風。星の数はシャンデリアより少ないが、星は笑わないから好き。
 外のバルコニーで、セレナがようやく息を吐いた。
「……平気じゃないでしょ、イザベラ」
「平気じゃない。でも、壊れてもいない」
「強がり」
「強がりじゃないよ。手の中に、針がある」
 私は指先を上に向け、夜の冷気を針の代わりに刺した。空気が軽く切れる。音はしない。でも確かに、切り取られた一片の夜が私の指のひらに落ちてきた気がした。
「覚えたの」
「何を」
「言葉の形。『君には何の価値もない』って、どこから来てどこへ行くのか。誰のために言われたのか。今夜の香油の匂いと、粉砂糖の甘さと、彼の唇の角度の数字」
「数字?」
「角度は、記憶の針を通すために必要」
「……やっぱりあなた、地味じゃないよ」
「地味は見せ方。私は今夜、地味に微笑んだ。だから、彼らは見てくれたのはドレスの色だけ」

 遠くで笑い声がまた割れた。今度は誰かの踊りの失敗だ。笑いの硬さが気圧のように戻ってくる。
 私はバルコニーの手すりに手を置き、王都の屋根を見下ろす。灰色の波。うっすらと霧。灯りは点々と散らばり、どれも小さく、必死に燃えている。
「帰ろう、セレナ」
「うん。……でも、彼に最後の一言くらい言い返したかった」
「言うのは簡単。でも、言葉は一度縫うと解けにくい。今日は下書き」
「下書き?」
「本縫いは、いつか」

 私たちは王宮の裏口を通って帰ることにした。馬車の列は正面で渋滞している。裏の石畳は冷たく、夜霧は静か。
 門を出たところで、足音がひとつ、私たちを追いかけてきた。振り向くと、若い書記官が肩で息をしていた。手には巻紙。
「レーン嬢……こちらに」
 息を整えるのを待たずに彼は頭を下げ、巻紙を差し出す。封には王印。赤い蝋は新しく、縁がまだ柔らかい。
「王命の書状です。お受け取りを」
 セレナの顔から色が抜けた。
「今?」
「今」
 私は巻紙を受け取り、指先で重さを測る。舞踏会の封より軽い。軽いけれど、転ぶには十分。
 封を切ると、夜気が文字の上を滑った。書式は冷たい。言葉は簡潔。余白は冷酷。
『イザベラ・レーン嬢、明朝日の出とともに王都外周より退去を命ず。違反あらば』
 そこまで読んで、私は目を閉じた。違反の先に何が続くかは知っているから。言い換えれば、「あなたには、ここにいる価値がない」と署名した紙の言い方。
 セレナが私の肩を掴む。
「ふざけてる。今、これを渡すなんて。しかも王命――誰が――」
「王命は、王の言葉じゃないことが多い」
 私は巻紙を巻き直し、胸に抱えた。
 夜の空気が、少しだけ甘くなる。蝋の匂い。粉砂糖の匂い。白粉の匂いはもう遠い。
「……イザベラ。何も言わないの?」
 セレナの声が震える。怒りと悲しみと、守れない悔しさ。
「言うよ」
 私は静かに息を吸い、吐いた。
「大丈夫。覚えただけ」
「覚えるだけで足りるの?」
「足りない。でも、最初の針は印から始めるもの。明日の朝、ここを出る。けど――」
「けど?」
「“出る”って、必ずしも“終わる”じゃない」

 書記官が所在なさげに立ち尽くしている。彼は若く、目がまだ濁りきっていない。手が震えているのは、夜の冷えか、命令の重さか。
「あなたの名前は?」
「え、えっと……キール」
「キール。あなたはこの手紙が、にんげんひとりの夜を変えるって知ってた?」
「……はい」
「じゃあ、あなたは今夜よく働いた。ありがとう」
 彼は驚いた顔で私を見、それから深く頭を下げて走り去った。
 セレナが呆れと泣き笑いの混ざった声で言う。
「慰めてどうするの」
「彼は鏡の向こう側に落ちない人に見えるから。落ちない人には、落ち方を教えなくていい」

 歩き出す。王宮の灯りが背中に集まって、影が前に伸びる。
 影は細く、長く、私たちの足を先回りして地面を撫でる。影を踏みながら、私は手帳を取り出し、文字を走らせた。
 ――『君には何の価値もない』。発声の角度、香油の匂い、笑いの硬さ、扇骨の数、鏡の曇り。
 ――王命。封蝋の温度、筆致の癖、配達の時間。
 セレナが横で肩をすくめる。
「書けるの、そんなに早く?」
「怖いとき、手は早く動く。震える前に縫うの」
「縫って、何になるの」
「明日、ほどけにくくなる」

 王宮から礼拝堂までは、思ったより短かった。灰色の街は夜の薄衣を肩からずらし、階段の上の月が欠けた針のようにかすかに光っている。
 礼拝堂の扉を開けると、冷たい石の匂いが迎えた。私の場所。私の胸の中。
 テーブルの上に王命を置き、蝋燭に火をつける。炎が小さく跳ね、影が壁を駆け上がる。鏡が、ほんの微かに曇った。
「見た?」
「見た」
「鏡、泣いてる?」
「違う。覚えてる」
 セレナは椅子を引き、私に温かい茶を渡す。
「眠れる?」
「眠る。朝、出るから」
「どこへ」
「風のほう。砂のほう」
「詩的に言わないで。地図で言って」
「辺境」
「はあ……。私も行く」
「だめ」
「どうして」
「礼拝堂はあなたの声を覚えてる。ここを守る人が必要」
「ひとりで?」
「ひとりじゃない。針がある」
「針は人じゃない」
「人より正確に動くときがある」

 セレナが泣くのを、私は見ない。彼女は泣き顔を見られるのが嫌いで、私も泣かせたくない。だから、私は鏡を見る。鏡は泣かない。鏡は映す。
 私はゆっくりとドレスを脱ぎ、灰色の上に灰色のショールを重ねる。色は変わらない。体温が変わる。
 テーブルの上の王命は、夜風に微かにめくれた。日付は明朝。
 ――明朝。
 紙の上の文字を指でなぞる。
 鐘が遠くで鳴った。数える。ひとつ、ふたつ、みっつ。
「イザベラ」
「なに」
「怖い?」
「うん」
「それでも行く?」
「うん」
「どうやって」
「歩幅で。針目で」
 セレナの笑いが、泣き笑いに変わった。
「あなたのそういうとこ、嫌いじゃない」
「私も。あなたのそういうとこ、好き」
 茶を飲み干し、私は手帳を閉じた。
 鏡の曇りが、ふっと晴れる。
 私は胸の奥の縫い目に指を触れ、ささやく。
 ――覚えた。
 礼拝堂の石が、静かにうなずいた気がした。
 夜は薄くなり、明朝は近づいてくる。
 王命はテーブルの上で冷たく、でももう怖くはなかった。これはただの糸巻き。私はこれを解いて、別の糸に結び直す。
 バルコニーで拾った夜の欠片が、まだ指のひらに残っている。私はそれを糸巻きに添えた。
 「大丈夫。覚えただけ」
 自分に、セレナに、鏡に、夜に。
 私はゆっくりと灯りを落とし、灰色の礼拝堂に身を預けた。
 光量過多の夜は終わり、静かな夜が始まる。
 朝になったら、私は出る。
 針と、布と、覚えた言葉を持って。
 ――ガラスの宣告は、割れて散るほどに、拾いやすい。
 私は散り方を、知っている。
 だから、怖くないとは言わない。ただ、縫えるだけだ。
 目を閉じる。
 明朝の鐘の音が、遠い海鳴りみたいに胸の奥で準備を始めていた。
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