地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ

タマ マコト

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第1話 灰色の礼拝堂

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 朝の王都は薄い灰色でできている。屋根瓦も霧も、人の目つきも、全部が“とりあえず今日も生き延びる色”で塗られている。王都の外れにあるこの礼拝堂も同じだ。冷えきった石床は夜露を飲みすぎたみたいにしっとりして、歩くたび靴底が「しぃ」と鳴く。
 私はほうきを引きずり、長椅子の脚の埃を集め、指先で祭壇の亀裂をなぞる。指先は乾いた紙みたいに薄く、でもきれいに割れない。ひと針分のためらいもなく、私は古布の端を膝に広げた。

 布は祖母から受け継いだもの。縫い目は、ただの縫い目じゃない。糸の向き、針の角度、結び目の位置――それらを揃えていくと、古い詠唱が浮かぶ。誰にも読めない書体で、誰の耳にも届かない発音で、それでも確かに“そこにある”。私はそこに“祈り”を縫い込む。祈りは音じゃない。祈りは手の動きだ。息を止め、針目を数え、糸を半分だけ引く。
 カシャン、カシャン。奥の鐘が風でわずかに揺れて、鉄の舌が石の胸をかすめるような音を出した。礼拝堂は私の心臓の中、あるいは逆に私の心臓が礼拝堂の中にある。そんな錯覚は、ここで長く生きる者の特権だと思う。

「また地味って言われてたよ、イザベラ」

 裏口の扉がきぃと開いて、セレナが顔を出した。修道服の白い襟元からは朝の冷気がのぞき、頬が少し赤い。彼女はたいてい、笑いながら入ってきて、笑いながら刺さることを言う。
「おはよう、セレナ。灰色は流行色だからね」
「そういう流行、王都では聞いたことないけど?」
「王都の真ん中じゃなくて、端っこでは流行ってるの。端っこには端っこの美学があるでしょ」

 セレナは肩をすくめ、私の隣に膝をつく。
「地味は便利、って顔だね」
「地味は便利。よく見てもらえないから、好きなだけ見ていられる」
「なにを見るの?」
「継ぎ足された祈りの跡。剥がれかけた金箔の下に隠れた本音。石のひび割れの曲線に紛れた、古い文字」
「またそれ。……“鏡の聖域”の夢、まだ見る?」
「夢じゃないよ、セレナ。記憶。ぼろ布の裏地みたいに、手の中に残ってる」

 自分でも、時々怖くなる。針を動かしていると、どこからか呼吸の音が重なる。私のものじゃない、もっと古くて低い呼吸。遠い誰か――たぶん前世の私が、祈りを裁きに変えた夜の呼吸。
 最初にそれを見たのは七つのとき。礼拝堂の床にこぼしたロウを爪でこそいでいた夜、私はふと、石に映る自分の影の輪郭が二重になっているのに気づいた。外側の影がささやいた――「嘘を映す目は、光じゃなく陰から育つ」。その声を、私はずっと忘れられない。

「今朝の買い出しでね、パン屋の奥さんが言ってた。『レーン嬢は、祈ると生地がよく膨らむんだって』」
「それ、私じゃなくて酵母の仕事だよ」
「だよねえ」
 セレナはくすりと笑って、それから少し真剣な顔をした。
「でも、ほんとに気をつけて。“地味”って言葉は、時々“無害”って意味で使われるけど……誰かにとって無害じゃない瞬間が来る」
「そのときは、その人にとっての“害”を、鏡に映してあげればいい」

 私の視線は、礼拝堂の壁に掛かった古い鏡へ滑る。縁は欠け、銀は黒ずみ、映るのは現実の輪郭だけじゃない。鏡は、誰かの嘘が近づくと、薄い霜が降りるように曇る。それを知っているのは、ここで働く数人だけ。
 セレナが私の手から布をそっと奪い、針箱を閉じる。
「朝祈の時間。イザベラ、今日はあなたが前に」
「はぁい」

 祈りは嫌いじゃない。言葉を空に投げるんじゃなくて、言葉の形を指でなぞる。私は祭壇の前に立ち、胸の奥の古い節を静かにほどく。教会の祈祷文は決まっているけれど、私は時々、縫い目の裏にある別の歌を思い出しそうになる。
 ――鏡は嘘を愛さない。
 ――嘘は影で割れる。
 それは、誰かの教え。私のどこか深いところに、針で刻まれた教え。

 祈りが終わると、いつもの人たちがちらほらと入ってきた。パン屋の奥さん、鍛冶屋の弟、街灯掃除を請け負ってる老兄弟、そして――
「おはよーございます、聖女さま」
 長い袖をだらんとさせて、若い男が斜めに入ってきた。ぶどう酒の残り香が強い。私たちは“聖女”って呼ばれるほど立派な立場じゃない。ただの賄い係、掃除係、たまに祈る人。でも、彼はわざとだ。
「おはようございます。今日は仕事は?」
「いやぁ、昨日ちょっと手を怪我しましてね。ほら、こういうのは祈りが効くって聞くんで」
 彼は手を差し出した。確かに包帯が巻いてあるけど、血は古いし、傷は浅い。
「仕事は何を?」
「えっとぉ……大工」
 嘘。その指の硬さは大工じゃない。重い荷を持つ人の節、細い刃物を扱う人の繊細さ、どちらもない。
 私は彼の手を包み、微笑む。
「そうですか。じゃあ、祈りましょう。ついでに、鏡の前で」

 礼拝堂の空気が、軽くひきつった。セレナが私を見た。私は頷き、彼を鏡の前に立たせる。
「目を閉じて、深呼吸を。あなたの影が、あなたの正直さを喜びますように」
「正直? はは、俺、正直者ですよ」
 私は、布の端をそっと持ち上げる。糸が一本、光った。針は持っていない。代わりに、指の爪で見えない縫い目を引く。
 鏡の中の彼の影が、微かに遅れて動いた。輪郭が、砂浜に落ちた波みたいに崩れ、すぐ戻る。もう一度。今度は、肩の線が二重になって、片方が肘から裂けた。
「……なにこれ?」
「ね。私もよくわからないの。けど、嘘は影で割れるの」
 影の裂け目から、小さな声が漏れた。「博打」「借金」「ポケットに入れた奉納金」。
 男は顔を引きつらせ、鏡から一歩離れた。「悪趣味だな」
「そうかもしれない。でも、面白いでしょ。正直でいるとき、影はすごくきれい」
 私はセレナを見る。セレナはそっと頷いた。「奥で話そうか」
 男は舌打ちして、さっさと帰るふりをした。でも、扉のところで振り向く。
「祈りじゃ、借金は消えないんだろ」
「消えない。でも、嘘は少し軽くなる。軽くなったら、抱え直せる」
 彼は何か言いかけて、うつむいたまま手を振り、出ていった。残ったのはぶどう酒の匂いと、鏡の表面に走る細い亀裂。私はポケットから小さな手帳を出して、さらさらと書く。

 ――嘘は影で割れる。

「書いとくんだ」
「うん。ぜんぶ忘れちゃいけないから」
「忘れちゃいけないもの、多すぎない?」
「多すぎる。でも、忘れたら、同じ嘘にまた騙されるから」

 外で陽が上がりきる。礼拝堂のステンドグラスを透過した光が床に落ち、色の薄い虹が濡れた石の上に揺れた。私はほうきを片づけ、針を取り、また布を膝に戻す。縫い目はさっきよりも素直に進む。指の腹が糸の温度を覚え、糸が指の体温で柔らかくなる。
 縫いながら、私はふいに、遠い場所の風の温度を思い出す。草の匂い、土の湿り、少年の笑い。胸の奥、古い引き出しが勝手に開く。

 ――アルトゥール。

 初めて彼に会った日は、王都より少し北の別邸で、夏の終わりだった。庭の端にある古い井戸の縁に、彼は片足で立っていた。危ないからやめて、と誰かが叫ぶ前に、彼はふっと笑って、片足を下ろした。
「落ちないよ。僕は転ばない」
 その声は、風みたいに軽かった。私が裾を握って立ち尽くしていると、彼がこちらを見た。
「君も、落ちない顔してる」
「そんな顔ある?」
「ある。落ちるのが怖い人は、地面を見てる。でも、君は縫い目を見てる」
「縫い目?」
「うん。世界の」

 彼は、あのころ、とてもよく笑った。私の針仕事を覗き込み、糸の色を褒め、祈りの姿勢に肩を並べた。夜になると、廊下に忍び足で出て、二人でこっそり月に謝った。「今日もつまらない嘘をつきました、許してください」って。
 その少年が、いつからか、笑わなくなった。家門の期待、王都の競争、誰よりも早く頂点に近づくこと――彼は勝つ方法を覚え、同時に傷つかない方法も覚えた。傷つかない人は、優しくする技術を忘れる。
 いつか彼は私に言った。
「イザベラ、君は優しすぎる。優しさは立場を弱くする。弱さは、僕の背中を引っ張る」
 その日から、彼は月に謝らなくなった。私はまだ、謝っていたけれど。

「……顔がむかしに行ってた」
 セレナが私の頬をつつく。私は瞬きして、笑った。
「ちょっとだけ。古い引き出しが不意に開いちゃって」
「閉めといて。開けるときは私にも言って」
「うん。鍵は……持ってて」
「預かった」

 昼前、礼拝堂は一度静かになる。人々が市場へ流れ、露店の呼び声と銅貨の音が通りを満たす。セレナは台所で野菜を刻み、私は針に新しい糸を通す。
 糸を引く手は、時々自分のものじゃないみたいだ。皮膚の内側で別の記憶が指を導く。指が覚えているのは、夜の洞窟の冷たさ、石の壁に刻まれた螺旋、そして鏡。鏡の前で私は何度も問いを繰り返す――「私は祈るの? それとも、裁くの?」
 祈りは、誰かのために。裁きは、みんなのために。どちらも正しいなら、どちらを選ぶのが私?

 そんなふうに自問していたときだ。
 表の扉が、普段と違う音で叩かれた。貧しい人は拳で、裕福な人は遠慮がちに、急ぎの人は靴で叩く。今の音は、厚みがあって、礼儀正しい。木の板の繊維が低くうなる。
 セレナが顔を出すより早く、私は針を置いて立ち上がる。胸の奥の何かが、もう知っていたから。
 扉を開けると、そこに立っていたのは、色の濃い制服を着た宮廷の召使い。胸に金糸の紋章、靴先はよく磨かれている。彼は私を見ると、ほんのわずか眉を上げた。地味、という表情。次いで、丁寧な微笑。
「レーン嬢。お取次ぎにあがりました」
「ええ」
「王宮より。大舞踏会の夜会へのご招待でございます」
 差し出された封筒は、厚く、重い。封蝋の赤は、朝の祈りで見たステンドグラスの赤より血の色に近い。
 私は受け取り、扉の向こうの風景を一瞬だけ見た。王都は光の粒をばらまくみたいに眩しく、その下で、誰かの影が薄く伸びている。
「ありがとうございます」
「当夜、馬車を手配いたします。時間は日没。服装は正装で」
「正装……灰色でも?」
 彼は一瞬目を瞬いて、礼儀正しく笑った。
「灰色は、いつでも相応しい色でございます」
「そうでしょうとも」

 扉が閉まる。礼拝堂の空気が、少しだけ重くなる。セレナが台所から走ってきて、私の手元を見る。
「それ……」
「舞踏会の招待状」
「やっぱり来たか。アルは、どういうつもりなんだろ」
「わからない。けど、行く」
「危ないよ」
「危ない。だから、行く」
 封蝋を指でなぞる。柔らかい。熱の記憶がまだ残っている。指先が熱を拾い、胸の奥の針が少しだけ速く動きだす。
 私は机に封を置き、手帳を開いた。
 ――嘘は影で割れる。
 その下に、もう一行を付け加える。

 ――影は、光が濃いほどよく割れる。

 舞踏会の明かりは、王都でいちばん濃い光だ。嘘の影は、きっと潔く割れる。
 私は布をたたみ、針を箱にしまい、セレナの方を向く。
「ドレス、どうする?」
「任せて。灰色を一段明るくする。地味に見えて、誰より刺さるやつ」
「それ、最高」
 セレナが笑う。私も笑う。二人分の笑い声が礼拝堂に広がり、石の壁に跳ね返って戻ってくる。
 鐘が遠くで鳴った。鉄と空気の間をくぐる音。
 私は胸の内の古い引き出しをそっと閉じる。鍵はセレナに預けたまま。
 夜会の封蝋は、テーブルで赤く光っている。
 灰色の礼拝堂に、小さな、でも決定的な赤色が差していた。
 そして、私は気づく。ここから先、私は“祈る”だけでは済まない。針は傷口も縫うけれど、ときには嘘を切り裂く刃にだってなる。
 ――準備はできてる。
 指先が静かに告げる。
 私はうなずき、深く息を吸った。冷たい石の匂い。古い木の匂い。セレナのハーブの匂い。封蝋の甘い蝋の匂い。
 ぜんぶを混ぜて、私の一日ができている。
 その一日の先に、あの大広間が待っている。光と笑いと、決定的な一言が。
 私は封を解かないまま、手の中の重みを確かめ続けた。重さは未来、あるいは過去。
 “鏡の聖域”は、静かに目を覚ます準備をしている。
 灰色の礼拝堂は、今日も静かに息をしていた。
 そして私も、静かに、息をしていた。
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